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たっくんのお弁当  作者: 榛名のの(春夏冬)
24/41

24話 オメガライスの日

テーブルの上には今朝作ったお弁当が38個も積み上げられてる。


「青空市場直売所に出品した分デス。……残ってました」


最初は売れないって、聞いてたけど、これはキツい物があるな。

ジェルミさんに抱っこされた真琴が僕に抱き付いて来た。


「そんなかおしないの!じゅうにこもうれたんだよ!?」


お顔をタコサンにされ、真琴に喝を入れられた。梶さんは、ご飯とおかずに分けて揚げ物はオーブンでカリッとするまで焼き、ご近所さんに配ってくるとジェルミさんと真琴が勢いよく玄関から出て行った。

 梶さんに言われてハヤシライスを人数分作り、お弁当のご飯は、梶さんの手で小松菜とニンジンとそぼろ煮を使ったチャーハンへと変貌を遂げた。はわわ、スゴい!梶さん。

使った調味料は多少の塩コショウだけ、残して置いたらしい4人分のカツを卵でとじ、盛り付けたチャーハンの上に載せて行く。


「美味しそう!」


「「ただいまぁ!」」


「お帰りなさい。酷いこと言われなかった?」


「たっくんはしんぱいしすぎ、みな、いいひとだったよ!あ、カツどんだ!」


「手洗いうがいしなさい。真琴くん」


「はぁい、かじさん♬」


梶さんは、チャーハンとじ卵カツのせにハヤシライスのソースを掛けた。


 これ、絶対美味いヤツ!!

洗面所から走り出てきた真琴をイスにすわらせるとスプーン一つで食べ進めた。

 普段食べ汚しをあれほど気にする真琴が顔中ソースだらけにして食べている。


「かじさん、コレなんておりょうり!?」


「さあ?お弁当の残り物で作ったから、メガに「お」をつけてオメガライスって、実家の弁当屋では言ってたな。美味しいか?」


「「「おいしいです!」」」


「たまにはゴージャスなのもいいだろう?たまには、な」


梶さんの目が笑ってなかった。

残り物のきんぴらゴボウと肉じゃがとヒジキのサラダはカレーの具になった。カレーって、万能選手なんだね!

冷蔵庫に鍋ごと入れて翌日食べた。美味しかった!


翌日の昼、由美さんを呼んで残り物を出さない為にはお弁当をどう売るべきか、焼き立てのスコーンと紅茶をお供に話し合った結果、青空市場直売所で売るには価格が高すぎるのではないか?という結論になった。

 もう少し小さなお弁当にして、おかずも鮭弁当とのり弁当が1番人気でカツ丼やミックスフライ弁当、唐揚げ弁当の揚げ物がメインの3つは、ガッツリ残ってた。おふくろの味弁当も見向きされなかった。

焼き菓子の詰め合わせは、昨日だけで40個も売れてたらしい。

 早速マルチパックに行きお弁当の控えめなサイズを買う。とりあえず100個。

 

 青空市場直売所で売るのにはオヤツはいらないだろうという梶さんの経験測でその分何を入れるか、どんな副菜がいいか、真琴が帰って来るまでとことん話し合って副菜は奇抜でない、庶民的な食べ慣れた毎日、同じ物を入れることになった。


あと、漬け物を業務用の物でいいから彩りに添えることで話はまとまった。

ジェルミさんが申し訳なさそうに、お弁当を5つダイニングテーブルの上に出した。

 今日は、青空市場直売所には20個しか持って行かなかったのに、5個売れ残ったのだ。


「真琴、今晩は、闇鍋カレーだぞ!」


「こわそうなカレーだね!どきどきする!」


揚げ物はカレーのトッピングとして各自が好きなだけ盛った。お弁当のお惣菜はカレーの中へドボーンと入れた。カレーのルーは甘口を使ったが、リンゴのすり下ろしとたっぷりのハチミツだけじゃ真琴には辛かったらしい。梶さんが生卵を真琴のカレー皿に投下して混ぜたら、がっついて食べ始めた。

 一口もらうとかなり、マイルドな味になっていた。梶さんスゴい!


青空市場直売所、販売3日目。

値段を600円まで落としてそれなりの価値のお弁当の内容にしたら、やっと、売り切れた!

皆で2日前のお弁当のご飯を冷凍保存してたのをオムライスにして食べた!

具はタマネギ、ニンジン、ピーマンのみじん切りに極小さく切った鶏のモモ肉をフライパンで炒める。具に火が通ったら、塩コショウをキツメにして解凍したご飯を入れご飯がパラパラになるまで炒める。具も均一になるようにヘラで切るようにして炒め、一度味見をする。塩コショウが足りないようならここで足して調整する。ケチャップを少しづつ入れてあまり、ベチャベチャにならないくらいでやめる。ケチャップライスの完成。


別のフライパンで薄焼き玉子を焼く。

ちょっと生焼けな時にケチャップライスを真ん中に盛り付けて着物を着せるように左右の薄焼き玉子の端を真ん中に折り畳み、フライパンを滑らせて本体を端まで寄せると皿を片手に持ち、気合いでフライパンをひっくり返す。オムライスの出来上がりだ。

真琴のにはケチャップでハートを描いて給仕すると、お顔がとろけている。


「エヘヘ、ぼくだけハート、ぼくだけ!」


食べてる時もずっと言ってた。よほど嬉しかったらしい。

 ちなみに僕はケチャップかけない派。だって中にケチャップかかってるよね?

 梶さんはちょっと。ジェルミさんはたっぷり。

 電話がかかって来た。誰か確認すると、キヨちゃんだった。


「どうしたの?キヨちゃん」


『今日の生配信はエグい再生回数になってる!ハートマークのオムライスを誰が食べたかでスレッドが乱立するぐらいね!』


「それで?」


『弟に食べさせたって今すぐ配信しなさい!』


「了解!」


洗面所に行って髪の毛を整え、ケチャップが顔に付いてないか確かめてキッチンに行って生配信。


「えっと、盛り上がってる所申し訳ないですが、ハートマークのオムライスは僕の弟が食べてます!また、明日ね!」


すぐに切って食事に戻る。

 すると、真琴の機嫌が悪い。


「なんで、おむこさんの、ぼくが、たべてるって、いわないの!たっくんのバカ!」


「真琴の事は僕だけの秘密にしたいんだ。ダメ?」


「ズルい!ズルい!たっくんが、ズルい!たっくんは、ぼくだけのたっくんなのに、いろんなひとにみられてる~!ぼくだけのたっくんじゃないじゃない!」


これは弱った。

 おや?また、キヨちゃんから電話?


「はい、洸です」


『たっくんが誰のかわかったから、真琴くんにも主張の機会を与えてあげなさい。まだ、配信中よ』


マジか。ヤベェな。


通話が聞こえたらしく、ジェルミさんに言ってイスから引っこ抜いてもらった真琴はキッチンに走って行った。


「たっくんはぼくのおよめさんなんだからね!あげないもんね!」


ああ?!真琴!!そのケチャップまみれの顔で配信デビューはマズいでしょ!


慌ててカメラを止めた。

子供って、びっくり箱みたい。どきどきが止まらない。


「たっくんのうわきもの!バカ、バカ、バカー!」


「せっかく僕のお婿さんとして配信されるのに、ケチャップまみれの顔でいいの?カッコいい真琴がみたいな」


「……そうなの?」


「そうだよ。お顔を拭いてもう一度自己紹介しようね」


大変元気よくなった真琴を抱っこしてお顔を拭いて配信をオンにすると真琴はネイティブな英語で自己紹介した挙げ句、僕の頰にキスして配信を切った。


「何言ってたの?真琴」


「たっくんはしらなくていいんだよ!」


ジェルミさんを見ると僕と目を合わせない。キヨちゃんに電話すると、ゲラゲラ笑っていて話しにならない。

 一瞬、エゴサーチってのをやってみようかと思ったのだが、やめた。

何か怖かったから!

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