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たっくんのお弁当  作者: 榛名のの(春夏冬)
17/41

17話 準備諸々

夕方、帰宅してから寧々と凜々には、留学のことを詳しく聞いた。


「映画の撮影で留学って、どういうこと?」


「「バレエのえいがのこやくなの!」」


「何でそんなことになったの?」


「「オーディションのけんがくしてたら、つかまえられたの!」」


「さんねんかん、さつえいさせてください、って、おねがいされたの!」


「きびしいレッスンですけど、がんばれっていわれたの!」


「何で3年も掛かるの?」


「「ドキュメンタリーえいがだから!」」


なるほど。


「どんな役?」


「「しゅやくなの!りりちゃんとねねちゃんでひとりなの!」」


「?」


どういうこと?


「二人とも同じレッスン受けて一つの役をシーンごとにスタミナ優先してバテたら交代して撮影するんだと」


大貴兄が付け足す。


「何で、留学の費用諸経費、出してくれないの?あちらのお国って、そういうのキッチリしてるでしょ?それこそ契約に盛り込んでもおかしくないじゃない!」


「「えいがかんとく、ビンボウなの!!いまは」」


「どういうこと?大貴兄」


大貴兄は、面倒そうに説明した。

あちらのお国のとある大御所プロデューサーに新人監督が見いだされた。

 それは、実在した日系人の美形天才バレエダンサーの短い生涯を別人を使って映画化したショートフィルムだったのだが、大御所プロデューサーは、言う。


「この話に幼年期を付け足すと間違いなく、この映画はヒットする!」


しかし、日系人の美形バレエダンサーの子供が見つからず6年経ち、潤沢にあった資金も底をつく。

 見かねた大御所プロデューサーが日本でのオーディションに踏み切った。

その会場内で一番可愛くて、しかもバレエセンス抜群の寧々と凜々に決定したらしい。

ナニソレ、悪夢じゃない!巻き込まれたにも程がある!


真琴がボソッと呟く。


「それが、うんめいのきょうせいりょく」


「真琴~~!何で知ってたなら、昨日たっくんに言ってくれなかったの?」


「いったところで、とめられないよ。だったら、しらなくていい」


「知ってたら、あんなにびっくりしなくて良かった!今度から、言ってね?」


「もうゆりかえしがおわったから、こんなことはたっくんにはないよ。ぼくがクサビだから」


「クサビ?」


真琴はニッコリ笑うと僕に抱きつく。


「いいの!いまはわからなくても」


何だか意味深でござる。真琴の頭を撫でていると、寧々と凜々が大貴兄に頭を撫でてと、要求している。

 大貴兄はワシワシと頭をワンハンドでつかんで手荒く撫でている。ああ、そんな扱い方したら……


「「もっとやさしくなでるの!」」


大貴兄は怒った寧々と凜々に蹴りつけられていた。

 ああ、ああ!ほら見たことか!


「ぼく、つかれた。おやすみなさい」


んん?!ちょっと待て!夕飯は?!お風呂は?!真琴~~!


「疲れたんだろ?ベッドに入れとけ」


真琴は軽い。お姫様抱っこして寝室に連れて行くと後ろに寧々と凜々が付いて来た。


「「たっくん、まこちゃんはいっぱいうらないしてたから、つかれたの!」」


そういえば、大きな占いの後、ちい兄も、寝込んでたな。


「「たっくんにおねがいがあるの!」」


「何?」


「「まこちゃんはかならず、おむこさんにしてあげてね!」」


子供って、不思議。昨日はケンカしてたのに、今日はこんなこと頼むんだからね。


「真琴が大人になっても僕をお嫁さんにしたいって言ったら、ね。約束するよ」


「「まこちゃんはたっくんのこと、ずっとすきだったけど、だいちゃんが、にほんからとんでっちゃわないようにくっついてたから、たっくんにあまえられなかったの。クサビだから」」


「クサビって?」


「「……けいちゃんがいってた!」」


ちい兄が。フーン?わかんないな。

 でも、確かに僕をお嫁さんに云々言い始めた辺りから大貴兄の背中に乗らなくなったな。

 そして、大貴兄たちは海外へ。


「大貴兄に優しくしてあげてね?乱暴なことするけど、ああ見えて繊細だから、大貴兄をよろしくお願いします!」


「ええ?だいちゃんがせんさい?ない、ない!ぜったいない!!」


「寧々、だったらせめてヘコんでる時には心配してるフリしてあげて」


「「わかったーー!!」」


「今日、何食べたい?」


「「おそば!!」」


なるほど!久しぶりだね、それも。

真琴をパジャマに着替えさせて、ベッドに入れると、お蕎麦を10人前茹で、野菜のかき揚げをして天ぷらそばを食べた。


「「たっくん、このサクサクするのおかわり!!」」


「俺も!」


「ハイハイ、お蕎麦はおかわりしないの?」


「「「おそばがあるのはあたりまえなの(だろ)!」」」


子供が3人で、あちらのお国で暮らして行けるんだろうか?

 これも大貴兄がちい兄の助言を素直に聞かなかったせい。仕方ない。頑張れ、大貴兄!


「真琴の足が無いな。お弁当も大学に運ばなきゃならないし、買い物も大量だろう?運転手の派遣社員さん住み込みで頼むか!」


そばを3杯食べた大貴兄は、不意にそんなことを言い始めた。


「確かに、車が無いのが致命的だね。男の人がいいな」


「学園都市の方に申請して、派遣してもらう」


早速、大貴兄はパソコンでチョチョイと申請してしまった。

 どんな人が来るんだろ?真琴が懐くといいんだけど。あ、メール。キヨちゃんだ!


【動画再び配信してます。また、バイト3日後にお願い!】


「了解、送信!」


由美さんに連絡して明日から2週間ほどお弁当を休むことの説明をすると、残念がっていたが、お弁当屋が堂々と開けることにお祝いを言ってくれた。

 お給料ちゃんと支払わないとね!


翌日からは、あちらのお国に引っ越す3人の為の荷造り。

 大貴兄も自分たちの衣類や、寧々と凜々の勉強道具などをまとめて段ボールに入れていた。僕は日本食の用意をした。

 ふりかけ、インスタントのみそ汁やラーメン、カレーや味付けのりなどをとにかく売るのかと思われるくらい詰め込む。プラスチック製の衣装ケースに2つ分用意をした。


派遣社員さんは、荷造りがひと段落付いた頃我が家に引っ越して来た。

 予想外。あちらのお国の人だった!


「ジェルミ、イイマス!よろしく」


淡い金髪に水色の瞳のふくよかなおじさんは、たちまちそのポヨポヨボディーとステキな笑顔で3つ子と友達になった。

3つ子たちとは英語で会話し、なかなか流暢な日本語で、僕と大貴兄と話す。

 日本人の奥さんと去年末に死別して、子供達も留学してるし、働かなきゃいけないけど、スキルが無いのが難点だったらしい。

 そこに学園都市の仕事が割りと簡単で儲けられると聞いて派遣社員さんに登録したらしい。

大貴兄の求人条件は、

○車の運転が出来ること。

○子育ての経験があること。

○食材の買い物を任せていいくらい料理の知識があること。

○人や荷物の運搬を手伝えること。


だったそうな。料理の知識と子育ての経験がある日本人男性がいなくて、ジェルミさんにお鉢が回って来たらしい。


しかし、僕たちはわかってなかった。

 学園都市の派遣社員さんがどれだけ高給か。

契約書を読む大貴兄の頰が引き攣っていた。

 そして大貴兄は真琴に借金の申し込みを密かに行い、あちらのお国の住み家を決める為、まず一度、一人で旅立つ。

3日後の金曜日、荷物を新しい住み家に送るように国際電話で言われて宅配便を呼んだ。

 寧々と凜々は、急に行きたく無いとぐずり始めて、僕と真琴を困らせた。

 ジェルミさんがあやして、あちらのお国の楽しみをここぞとばかりに二人に聞かせたらまた、留学する気になったらしい。

 単純な二人にそこはかとない不安を感じる僕と真琴だった。

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