10話 お休みの日①
この話はフィクションです。
団体名、ブランド名など存在しておりません。
金曜日の夕方、お昼寝セットを持ち帰ってきた三つ子を褒め、早速サンルームに布団を干し、シーツやブランケットは洗濯機で洗う。 今日してないと、明日の朝はまた洗濯物が増える。
明日の予定は、随分前から決まっている。
真琴が母の日絵画コンクールで入賞して学園都市水族館に飾られてるから見に行くのだ。
明日は久しぶりに外食なので、僕も楽できるが、あくまでもお昼だけ。朝と夜はしっかり作らなきゃならないのだ。
朝はパンで工夫して食べさせる。サンドイッチ作ってみようか?
キヨちゃんに相談するとレシピがメールで送信されて来た。あ、割りと簡単にできるんだ!これなら早起きしなくていいかも!
やってみると主夫業は休むヒマなんか無い!ヒマがあれば家中の掃除!リビングダイニングには、どこに食べこぼしが在るか解らないから念入りに!だ。
それに、三つ子の服の汚れを部分漂白するのが、大変!世の中のお母さん方、ご苦労さまです。
寧々と凛々は食べ汚し。真琴は絵の具の汚れ。優秀な洗剤があってよかった。
他の子たちはシミ一つ無い私服で登園してるのに、うちの子だけ食べ汚しのシミがひどかった。見かねたミミ先生が、食べ汚し用の洗剤と部分漂白の仕方を教えてくれたのだ。
他の子たちはシミが出来たら服を買い替えるらしい。……ブランドモノなのに?マジか。って思ったよ!うちの使ってる子供服ブランドはクレッシェンドって言う外国生まれのブランドで、Tシャツ1枚8000円からとお高いがとにかく上品でカワイイ系。
シミだらけのTシャツは雑巾になり、代わりの服を買って朝は着替える前にご飯を食べる習慣が出来た。
真琴は滅多に汚さないから、汚すと泣きながら帰って来る。夢中になってると仕方ないって慰めるのだが、真琴は自分に厳しいから、どんどん落ち込んだ。
それを案じた大貴兄が、子供用の割烹着を買ってきた。袖口にゴムが入っていてこれなら、普段の服も袖口を汚さないと、真琴は一気にご機嫌に。大貴兄のホッペにチュウしてた。さすが真琴マスター!僕には真似出来ないよ!
そんなこんなで土曜日を迎えた。
無事サンドイッチも作れた僕は、真琴から何回目かの「およめさんにしてあげる!」をいただき、皆でオシャレして学園都市水族館に車で向かった。
入口の吹き抜けのロビーに母の日絵画コンクールの入賞作品がズラリと展示されていた。中でも目を惹くのが天井からワイヤーで吊り下げてる大作。
「天の川だな。水彩画で、この大きさって珍しいな。塗るの大変だったろうな!さて、真琴のはどこにあるかな?」
真琴は天井から吊り下げられてる1枚を指差す。大貴兄と僕は呆然とした。
才能の塊だろ?!
大貴兄が真琴を抱き上げ顔中にキスした。
「きゃあ!だいちゃん、やめて!」
「凄いぞ!真琴!確かに母さんがいる場所だ!大ちゃんは感動した!お家のどこに飾ろうか?!」
真琴はポシェットから出したミニタオルで自分の顔を拭くとあっけらかんととんでもない事を言った。
「うっちゃったから、おうちにかざれないよ?あとでおかねもらうから、ねねちゃんとりりちゃんにたくさんおようふくかってあげて」
大貴兄はシリアスな顔になり、人がいないところに真琴を連れて行った。
寧々と凛々は買って貰えるお洋服の事で盛り上がっている。
邪魔になるので水族館の大水槽をゆっくり回って観た。しかし、寧々と凛々が喜んだのは、魚じゃなくて、餌を与えている飼育員さんの重装備だった。
歩き過ぎて足が痛いと、泣き出した凛々を背負い、それをうらやましがって泣き出した寧々を抱っこして展示会場に戻ったら、大貴兄が携帯で写メを撮っている。真琴はその背中に背負われて眠っている。泣きはらした顔が痛々しい。
「洸、重そうだな?持とうか?」
「いいよ。ご飯何処にする?」
「回転寿司。今だけ食べ放題なんだ」
「アハハ!3人とも喜びそうだね!」
バカみたいに広い駐車場を車まで、早歩きで移動して車に乗ってから、大貴兄は真琴の話をした。
「あの絵、1450万だってさ」
「真琴お金持ちだな」
車は駐車場を出て回転寿司屋に向かった。
「学園の方で手配して個人弁護士が付けられたらしい」
「はぁああ?!マジか!!!」
「静かに!起きるだろ?つまり、描いた絵を売るのは真琴の胸先三寸なわけよ。俺たちは売らなくても生活できるって言うのに、真琴め、「じゃあ、たっくんはなんでこうこういかないの?」と言いやがった!俺も不意打ち食らって言い返せなかった……スマン」
「僕も真琴と話してみるよ。大貴兄、気を使わせてごめん。高校に行かないのは僕のワガママなのにね」
「俺、洸が頑張ってる分も頑張って勉強するから!」
「大貴兄は頑張ってるよ。毎日遅くまで勉強ツラいよね?体壊したら元も子もないから、もっと力抜きなよ!」
真琴とお話か。僕が好きでしてることなのに、どうやって納得させようか。
「ありがとうな。洸。今日は夕飯が入らないくらい寿司喰えよ!」
「ふふふ、奢りなら遠慮なく!!!」
食べ放題なら遠慮なく食べられるし、ね!
回転寿司のお店に着いたらとりあえず真琴を起こした。凛々は僕が、寧々は大貴兄が抱えて店に入ると休日なのに空いている。
案内されて広々とした席に付くと同時に寧々と凛々が起きた。回転寿司のレーンを観て興奮度MAXだ。外食に連れて行ったことが無いのでやりたい放題されて、大貴兄より先に僕がキレた。
「大貴兄、帰ろう!こんなに行儀の悪いガキ連れて歩けない!僕は恥ずかしい!」
「そうだな、帰ろう。真琴ごめんな。お行儀よくしてたのに、お姉ちゃん達のせいで、お店に来られなくなっちゃって」
「「えー?!やだやだ!かえらない!」」
「いいよ。お店に置いてくから歩いて戻ったら?」
「うん!そうする!」
寧々は状況がわかってない。凛々は怯えた目になった。
「りりもかえる!バイバイねねちゃん!」
「えー?!つまんなーい!アタシもかえる!」
家に帰ったら御説教だな。
※※※※※※※2時間後
泣き叫ぶ寧々と凛々。鬼瓦の顔をした大貴兄に「大声を上げて叫んだり、お店の中を走り回ったり、お店の機械で遊んで壊すような行儀の悪いガキは、もうお外に連れて行かない!」と言われて理解した途端泣きじゃくり出したのだ。
「「いや、いや!つれてって!」」
「行儀が悪いのが治るまで、お外に連れて行かない!!友達のお家に泊まるのもダメだ!」
「なんであそんだらダメなの!」
「家でご飯食べてる時は遊んでるか?あそこはご飯食べる場所で遊ぶ場所じゃない!お前らの他に叫んだり、走り回ったりしてる人がいたか?!」
「だって、たっくんもだいちゃんもおしえてくれなかったもん!!ねねちゃんとりりちゃんはわるくない!わるいのは、いつもおとなだってすどうせんせいもいってたもん!」
パシン!
「うわぁあああん!たっくんがねねちゃんのことぶった!うわぁあああん」
「言ったよね?大きな声出さないで、って!走り回ったりしたらお店の人に迷惑だから、やめて、って!ゲームじゃないから遊ばないで、って!!それを聞かなかったフリして全部大人のせいにするの?!」
凛々が泣く。
「たっくんごめんなさい!ゆるしてください!ねねちゃんとりりちゃんがわるかったです!うわぁあああん」
「凛々、謝れて偉いね。じゃあ、今日と同じことしちゃダメだよ?わかった?」
声無くうなずく凛々の頭を撫でて、寧々を見る泣くだけで反省しない様子。
「寧々は行儀が直せないみたいだから、いらない。うちの子じゃなくていいね。そのお行儀でいいって言ってくれるお家に行ったらいいよ。さよなら」
寧々を玄関から放り出し玄関の鍵をかける。
泣き叫ぶ声が聞こえたが、しばらくほっとく。10分後隣の家の老夫婦が泣きはらした顔の寧々を連れて来た。
「ああ!よかったね、寧々。お行儀悪くても寧々がいいって言ってくれる人がいて!」
寧々は号泣した。
「ごめ、んなさ、い!たっくん、こ、のおうちがいい、からいい、こになり、ます!」
「約束だよ?寧々」
隣の家の老夫婦、奈良さんには、ご迷惑を掛けたお詫びにチーズケーキをお持ち帰りして貰ったら、月曜日にタケノコのお寿司が入って返って来た。お隣さんgetだぜ!




