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エピローグ

「お〜い!ユウ!」

 と叫んで、レイがこちらに手を振りながら走ってくる。

 それにユウが手を振りかえす。

「よくやったなユウ」

「うん」

 それにユウはうなずく。

「とりあえず戻ろうか……ルビスのところによ」

「そうだね。でも……この血まみれの服はどうにかしないとね」

「それなら心配ねーよ。シスが転移魔法の準備をしてくれてる」

「なら大丈夫かな。シスお願い」

 ユウが言うと、シスはうなずいて、魔法を詠唱し始めた。

「じゃあ行くぞ」

 シスの魔法の詠唱が終わると、ユウとルルエルとレイとシスは、ルビスの待つ神殿へと跳んだ。


「皆さまお帰りなさいませ。こちらにもアンデッドが沸いて大変だったのですが……そちらで何かありました?」

「狂気の魔術師と戦って倒してきたよ」

「本当ですか?」

「そうだよ。あと一つ聞きたいんだけど……ルビスの横に立ってる人は誰?」

「ああ……メガミさんとかいうお方で先程からユウ様をお待ちしてる方です」

「メガミ?聞いた事があるような無いような……」

 ユウは眼鏡をかけた女性を見つめ、言った。

「異世界転生会社のメガミです!あなたに異能力を与えてこの世界に送り込んだのは私です!」

 眼鏡をかけた女性が、うんざりしたように怒鳴る。

「あ!あの時僕の事を根暗って言った女の人だな!」

 それにメガミはあきれ顔で、

「そうそう……って根に持つタイプなんですね。まぁ思い出してくれたならそれでいいですけど」

「ユウ……この女の人が言ってる事はどういう事なの説明して?」

 いつもとは違う深刻そうな顔をして、ユウが言う。

「僕はね……実はこの世界の人間じゃないんだ」

「冗談だろ?」

 とうめくレイ。

「…………」

 しかし、ユウはうつむいて黙ったまま。

「マジかよ……」

 メガミは無表情で、ルルエルとレイとシスとルビスを見つめてキッパリと。

「狂気の魔術師と戦っていて貴方達も分かったでしょう?この世界にとって異能力者がどれだけ危険かが……」

「じゃあユウはどうなるの?」

「異能力を取り上げて元の世界に帰っていただきます」

 するとレイは言う。

 まっすぐメガミの方を見つめ。

 鋭い瞳で見つめて、

「それじゃあ俺たちとの思い出はどうなるんだよ!」

「なくなりはしないと思いますが……夢だと思いますね」

 ルルエルは寂しそうな顔になって、

「そんな……まだ伝えたい事いっぱいあるのに」

「私も忙しいので……伝えたい事があるなら簡潔に」

 淡々とした口調であっさりと言う。

「ずっと言えなかったけど。ずっと好きだったよユウ」

「ユウ様、あちらの世界でもお元気で」

「普通とは違うとは思ってたけど。まさか異世界人だったとはな……シスとはちゃんと結婚するから心配すんな」

「ユウのおかげでこのチキンが結婚する気になってくれてよかったよ」

「では……和泉遊。元の世界に帰りますよ」

 瞬間、ユウはルルエルの手に襟首をつかまれて、引っ張られた。

 今度はルルエルの両手がユウの首に回され、

「うん。みんなさよ……む」

 言葉の途中で突然、ユウの口が、ルルエルの口に塞がれた。

 当然ユウの言葉は止まる……

「………………」

 しばらくの沈黙。

 レイのひゅうっという口笛。

 やがて、ルルエルの力が緩むと、二人は離れて……

 ユウはあまりのことにぼけっとした表情のまま何も言えないでいる。

 そんなユウをルルエルが見つめて、

「ユウのことなんで好きになったか分かったような気がする。最初は弟みたいな存在だと思ってたけど違った。本当は優しくて強い……私にとっての本物の勇者だったから」

 なんてことを言われても、ユウはまだ答えられないでいる。

「時間です。行きますよ和泉遊」

 メガミが言うと、ユウの目の前に目が眩むような光が降り注いだ。

「絶対にみんなの事忘れないから……」

 ユウは最後に一言だけそう言うと、メガミに連れられて、ゆっくりと光の中へと歩き出した。

 光に触れると、身体から重さが消える。

 そして、身体がゆっくりと光の中へと吸い込まれた。


「これより避難訓練を始める!放送が始まったら机の下に速やかに隠れるように」

 がたいのいい体育教師が大きな声で注意した。

 しかし、生徒たちは体育教師の注意を聞かずにガヤガヤと騒いでる。そんな喧騒の中一人惰眠をむさぼっている生徒がいた。和泉遊だ。寝癖だらけの黒髪に、まったくやる気というものに欠ける眠たそうな顔をしている。緊張感ゼロなことこのうえない。

 それどころか避難訓練が始まるという緊迫した状況にもかかわらず、

「う〜ん。みんなさよなら」

 なんて寝言を言って幸せそうに寝ている。こんな危機的状況でも寝れるからには彼はとてつもない

大物なのだろう。

 そう。

 どんな状況下でも生き残れるような...…

 そんな彼の右手には小さな鉄の板が握られていた。

 彼が異世界でナイフに変化させて数々の強敵を倒してきた武器が……

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