用心棒の正体
目の前の男……いや、顔をフードですっぽり隠していているので女かもしれないが。
とにかく目の前のこいつは……
「お前、何者?」
ユウが聞いた。
すると。
目の前の用心棒とか言うやつが言った。
「俺の名前はゲン。狂気の魔術師と言った方がお前らにはとおりがいいかな?」
「狂気の魔術師……って誰だっけ?」
ユウは首をかしげながら呟いた。
ルルエルはユウのことを睨みつけ、
「ユウ……あなた馬鹿でしょ!私たちは狂気の魔術師を倒すために旅をし続けてきたのよ!?」
「あーそういえばそうだったね……」
「おい!二人とも早く逃げんぞ!」
レイは叫んだ。
「うん」
「ちょっとレイ!わたしとシスはドレスで走りにくい格好してるんだけど!」
レイは頭をボリボリとかきながら、
「仕方ねぇな……ユウはルルエル抱えて……俺はシスを抱えて出口まで走る!それでいいな?」
「わかったよ……」
ユウは嫌そうな顔をしてうなずいた。
「邪悪なる精霊よ死者の魂を呼び起こせ……」
狂気の魔術師が魔法を詠唱すると、大量のアンデッド達が低いうなり声を上げながら現れた。
「やばいな……相手がこれだけ多いと逃げらんねぇ」
レイがうめいた。
「じゃあどうするの?」
「戦うしかないだろ!」
「オレがアンデッド如き燃やし尽くしてやるよ……炎の精霊よ我に仇なす者を地獄の業火で燃やし尽くせ!」
シスは炎の魔法を大量のアンデッド達に向かって詠唱し始めた。
大量のアンデッドに向かって轟音と共に爆炎が放たれる!
はずだった……
がーー
一瞬早くシスの方を振り向いた狂気の魔術師が、いつの間にか魔法を詠唱し、シスの魔法を無効化してしまった。
「な!?」
シスとユウとレイとルルエルは一斉に驚きの声をあげる。
「一体何をしたんだアイツは?」
正直言って、シスの魔法の実力は、かなりのもののはずだった。魔導国家で天才と言われるくらいだ。そのシスの魔法に反応して、反魔法を放てる人間。
そんな物は人間じゃない……
それは、誰もが一瞬でわかるくらいの事だった。だから、シスとユウとレイとルルエルの
衝撃は大きかった。
そもそも反魔法自体が、実用的ではない。相手の放った魔法を見てから、それを分析してその魔法の効果を打ち消す能力を持った魔法を放つ。
こんな事できる人間がいるわけないのだ。
もし、いるとすれば……
とんでもない化け物……
目の前ではシスの魔法に反応して向かってくる大量のアンデッド達が見えた。




