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裏カジノの闘技場へ



「ここがカジノなのね。結構キレイな場所じゃない」

 ルルエルが周りを見回すとそこには、壁や天井にまで、多種多様、思いつく限りの装飾がされている。

 そのホールに、総勢千は越えようかという、着飾った貴人、貴婦人……いわゆる貴族といわれる者たちが談笑していた。

「一体どんな場所想像してたんだよ……」

「なんか薄暗くて狭いところ」

「まあ確かにそういうカジノもあるが……商業国家っていうくらいだからこの国のカジノは規模が違うよな」

 ユウとルルエルとレイとシスがそんなことを話しているとホールから一人の男が現れ、

「お客様は初めての方々ですか?」

 レイはそれに、

「あんたは?」

 すると男は、ニッコリと笑いながら言った。

「私はこのカジノの支配人でございます」

 レイはその言葉にうんざりした顔になり、

「支配人……支配人ね。このカジノは初めてだけど説明とかとかはいらないから」

 すると男は頭を下げて、

「ではごゆくっり」

 踵を返しホールの奥へと消えて行った。

「まずは金をチップに交換するかって……レートが馬鹿高え!?」

 レイはカジノのチップのレートを見て目を丸くした。

「どうしたのレイ?」

 レイは顔をしかめて、

「チップ一枚5万ゴールドだと?これじゃあ賭けにならないぞ……」

「じゃあどうするのさ」

「俺にいい考えがある。ちょっと待ってろ」

 レイはカジノのホールへと消えて行った。

「大丈夫かなあ」

 ユウはレイが向かって行った方向を心配そうに見つめる。

「支配人頼みたいことが一つある」

「なんでしょうか?」

「裏カジノの方に通してもらいたい」

 支配人は首をすくめて、

「はて?なんの事でしょうか……そんな物私は存じ上げませんね」

「すっとぼけても無駄だぜ。非合法のカジノがあるって事はバレてんだよ。別に口外するつもりはないさ」

「まあ……いいでしょう。私たちは裏カジノでなにが起きようが責任を持てませんので……カジノが閉店の時間になったらまた来てください」

「わかった、またくるよ……」


 夜

「眠いんだけど……なんでこんな時間にカジノに行くのさ?」

 ユウは不思議そうにレイに聞いた。

「カジノが閉店の時間になると非合法の裏カジノが行われるんだとよ」

「ふーん……」

 ユウは興味なさげにレイの話を受け流す。

「そんなカジノにレイは私たちを連れてこうとしてるわけ?」

「そうだが」

 レイは不意にそんな事を言う。

「まあ……ギャンブルの負け分は全部レイに背負ってもらえばいいわね」

「ルルエル……それってエグすぎないか?」

 ルルエルは神妙にうなずいて、

「現実は得てしてエグいものよ」

 そんなことを話しながらユウとルルエルとレイとシスはカジノへと向かっていった。

「なんか昼間と違って暗くて不気味だねー」

 レイは部屋の中空を見上げ、

「おーい支配人いるかー」

「そんな大きな声を出さなくても聞こえてますよ」

 暗闇の中から、声が聞こえて来る。

 その方向に目を向けるとそこには、背筋がピンっと伸びたスーツ姿の男が立っていた。

「ちゃんと来てやったぞ。んで?最近のカジノの支配人は気配消して客に近づくのか?」

 すると支配人は頭を下げて、

「これはこれは……失礼いたしました。流石は裏カジノに来るお客様……私の気配に気付けなければ追い返していましたよ」

 その言葉にレイは顔をしかめ、

「ちっ……なんか試された感じで気にくわないが。一応は合格って事だな?」

「はい。では裏カジノの方へ案内させていただきます」

 ユウとルルエルとシスはあきれた声音で、

「私はなんかすご〜くイヤな予感しかしないけどね……」

「それにはオレも同感……」

「僕は今すぐにでも寝たいよ……」

 ユウとルルエルとレイとシスが支配人についていくとその先には、闘技場のような場所とそして、その闘技場へ続く道が伸びていた。

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