転生
遊が目を覚ますと目の前には見知った顔の人間はだれもおらず。
何もない空間が広がっていた。
「もうしわけございませんでした。今回は完全なる当社のミスでございます」
眼鏡をかけたスーツ姿の女性が頭を下げて謝ってくる。
「それよりあんただれよ?」
遊はスーツ姿の女性をぼーっと半眼で見ながら言った。
「もうしおくれました。わたくし異世界転移会社のメガミという者です。以後お見知りおきを」
名刺を胸ポケットからスッと取り出して渡してきた。
「そのメガミさんが僕になんか用?用が無いなら帰ってゲームして寝たいんだけど」
「それについてなんですが、送り込むのは一人だけのつもりだったんですが、転移の範囲を大きく設定しすぎてしまって、あなたも異世界転移することになったんです」
あいからずやる気のない声音で、
「へー異世界転移かー。いいんじゃないの」
「おどろかないんですね...…では、概要を説明いたします。あなたは事故による転移であるため転移ではなく、転生扱いになります。お詫びにわたくしから一つ能力をお渡しいたしましょう」
特殊な能力がもらえるというのは魅力的な提案だ。
「暗殺系の能力がいい」
「根暗ですね…わかりました。能力はこちらで用意しておきますので」
「今、根暗って!」
こうして遊は異世界に転生した。