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新たな火種

 なんとも原始的な戦いでルシフェルとの戦いに勝利することができた。これでレオフェン消滅は回避できた。後はウラノスを倒すのみ。諸々問題はあるだろうがまずはウラノスだ。


「なあ、アル……俺はひとつお前に謝らなければいけない」

「なんだ?」

「あの……実はな……」

 ルシフェルにしては歯切れが悪い。もしかして!


「お前まさか!」

「うん、そのまさかだ……ブラックホールは既に発動している。魔界の俺の部屋だ」

「えぇぇぇぇ……魔界ってまた……」

「魔界の悲願は地上の覇権を握ることだ。もうそれ以外のことは、俺の言うことでも聞きやしない……悪いけど自力で頑張ってくんないかな?」

 レオフェン消滅の危機を回避したと思ったのも束の間、ブラックホールが既に発動していたとは。


「安心しろ、魔力が溜まるのに5年かかる!……発動してると言っても5年は無害だ!」

「いや、そんなこと言われても安心なんて出来ないから!」

「そうだな、俺はとりあえず御子息の元へ向かう、お前達はブラックホールを何とかしてからでいいぞ!」

「当たり前だ!……っとに……魔界って結構な軍勢が居るんだろ?」

「地上を取れるだけの軍勢は揃ってるぜ!、俺の言うこと聞かねーけどな」

「今聞いたよ!……」

「そう熱くなんなよ、冷静が今のお前の取り柄だろ」

「僕は冷静だ!冷静に憤慨ふんがいしているだけだ!」

「あはは、そん変わり教えてやるよ、今の魔界を取り仕切っているのはラバスとリリトだ」

「ラバス……リリト……」

「2人とも元々は女神で超美人だぜ、女にあまいお前には戦い難い相手かもな」

「マジか……僕は別にフェミニストは掲げてないけど……」

「ま、頑張ってくれ!じゃあな!」


 ルシフェルは新たな火種を残し足早に去っていった。

 

 魔界との戦いは色んな理由で避けられないものだったが……なんだかやるせない。順序が入れ替わったと思えばいいのか……。


 ルシフェルには、いつか必ずお仕置きする。神に誓ってこの落とし前は必ずつける。僕は固く誓った。魔王との戦いはまだ終わらないのだ。


 ___とりあえず、皆んなの待つリビングへ戻った。


「ただいま」

『『おかえりアル』』


「ってアル……あなた、まさか魔王と戦ったんじゃないでしょうね」

「えっ、ユイリ何で?」

「「ユイリ何で?」じゃないわアルくん……鏡を見なさい鏡を」

 アンナ先生に言われた通り鏡を見た。ボロボロとまではいかないが、明らかな争いの跡が見受けられる。


「アル、君は我らの事を舐めているのか?」

「レイラ、決してそんなつもりは!」

「まぁ、今に始まった事じゃないしね」

「いつものこと」


「で、勝ったのですか?」

「ああ、勝ったよ、魔王には勝った」


『『おおー』』


「でも、勝ったにしては浮かない顔ね……」

「うん、そうなんだよ、また新しい悩みのタネがね……」


 僕は魔王戦の事、その後、魔王に告げられたブラックホールの事を包み隠さず話した。

「魔界か、また厄介な事に……」

「ひええって感じね」

「あひゃって感じ」

 どんな感じだよ……。


「魔界へ乗り込むメンバーは最大で此処にいる6人とベルだ。魔界には瘴気があるからな」


「そうなるでしょうね……でも、魔王の話しだと相当な軍を揃えているみたいね」

「数はまあ、僕がなんとかする、だから魔神クラスはみんなに頼る事になる」

「ちなみに敵の魔神は女神でラバスとリリスらしい」

「ラバス……リリス……」

「ん、ユイリ心当たりでも?」

「ラバスはパズズの妻です。リリスは……クロノスを相当恨んでいましたね……」

 昔の僕、いい加減にしてほしい……。


「また僕絡みか……」

「まあ、正確にはクロノスとノルンですね……」


「えっ私?!」


 僕の事を皆にカミングアウトしたタイミングで、勇者パーティーにはユイリの事とアンナ先生の事も話しておいた。


「アンナ……あなたもそろそろ記憶を取り戻しておいた方がいいと思います。魔界での戦力的なこともありますし、リリスの件はあなたの責任ですし……」


「えっ私何かやらかしたの?!」

「私の口からはなんとも……」

 僕は全く記憶にない、クロノスの記憶は不確かな事はあっても全く覚えていないなんて事はない。ノルンとの間になにか確執があったのかもしれない。


「なんか気になるわね……ユイリは知ってるんでしょ?」

「はい」

「アルくんは?!」

「僕は知らないみたいだ」

「アルは知らないと思います」


「ね、ねえ……ノルンってどんな女性だったの?」

「豪胆な方でしたよ」

 今のアンナ先生と変わんないじゃんとは口が裂けても言えない。


「そう……」

「記憶を取り戻すって、どうすればいいの?」

「アルに神界に連れていってもらえば……後は成り行きで……」

「成り行き?って事はあっち系?」

 ジニー鋭い……。


「ユイリ顔真っ赤」

「そ、そんな事はありませんよ!」

「ムキになるところが怪しいな」

「えっ、えっ、って事はユイリ、アルくんとしたの?……」

 ド直球キターーーーーー!


「私の口からはなんとも……」

「ユイリ顔真っ赤」

「あーユイリ抜け駆けズルい!」

「な、な、な、なんの話だ」

 それぞれ個性のある反応だ……。


「えっ、えっ、って事は私、アルくんとするの?……」

 アンナ先生に見つめられたが、まともに目を合わせられなかった。


「私の口からはなんとも……」

「あっ!アルが目を逸らしたよ!図星なんだ!」

「この鬼畜野郎」

「こ、こ、こ、こう言う事はもっとお互いの事を深く知り合って……」

 レイラは半分壊れている。


「わ……分かったわ、行きましょうアルくん、神界へ!」


 アンナ先生は覚悟を決めたが、僕はまだ覚悟を決められていなかった。神になってもチキン野郎健在だった。


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