アル対魔王
様々な問題をクリアした僕は、魔王との対決の日取りを決めるべく、王都のカフェで魔王と街わせをしている。魔王と神がカフェで待ち合わせって、よくよく考えたら凄くシュールだが、カモフラージュとしては最適だ。
「よう、アル待たせたな」
「久しぶりだな、ルシフェル」
「あれ?お前キャラ変わった?」
「基本的には変わってないよ。ようやく人との距離の取り方に慣れただけだ」
「なるほど、言われてみれば、前のアルは丁寧と言うよりは、他人行儀感に溢れてたもんな」
「まあ、そう言うなよ、僕も何も知らない中で、上手く立ち回るのに必死だったんだ」
「と言う事は、もう戻ったんだな」
「ルシフェル白々しいぞ、クロノスからとっくに聞いているのだろ?」
「ははは、確かにそうだ。御子息から事の顛末は聞いたよ」
「その上でだ、それでも君は僕との戦いを望むのだな?」
「うん、まあ、そうだな。多分お前の考えている通りだ。俺には俺の役割がある、きっちりお前を見極めさせてもらう」
「折角同じ道を歩める土台が出来たのに、残念だよ」
「俺は魔王だぞ?その辺は勘違いするな。例えお前達と目的が同じだったとしても行く道は違うんだよ」
「そうか……」
「俺はもう引き返せない、それはお前が気にする事じゃない。もちろん御子息も含めてな
……俺の怠慢だ。俺の撒いた種てもあるんだ。だから俺なりの責任の取り方があるんだよ」
「それを言われると耳が痛いな……僕も似たような物だからな」
「そうだな、半分はお前のせいだからな」
本来なら僕達は同じ道を歩めたのかも知れない。しかし、その芽を摘んだのは、他でもない僕だ。
「で、どうするんだ?日時を決めて世界大戦と行くか?それとも……」
「どちらの準備もしてきた。でも選択の余地があるのならタイマンだ」
「オーケー分かった。タイマンでやろう。だが、魔族との戦は避けれないぞ?」
「それも、想定内だ」
「抜け目ないヤツだなぁ」
「準備期間をもらえたら、そうするだろ」
「まあいい、それで何時、何処でやる?」
「タイミングはルシフェル、君に任せる。場所はクロノスに教えてもらった、戦闘用の神界だ」
「ははは、それはイイな!トコトンやれるじゃねーか!」
「いいぜ、神界でやろう」
「やっぱり今すぐか?」
「ああ、今すぐだ」
「なあ、郊外に移動してもいいか?ここで神界を作ったら……」
「大丈夫だ、いくら何でもそこまで、せっかちじゃ無いさ」
「僕の屋敷からゲートで移動しよう。それなら邪魔されないだろ?」
「ああ、それでいいぜ」
また勝手に決めてしまった。これは確実に怒られるだろう。でも会話の流れを思い返してみても、この流れは自然だから不可避だ。
僕達は屋敷からゲートでエスクワイヤーに移動し、戦闘用の神界へ向かった。
「ルシフェル、本音を言うとね、今でも僕は君と戦いたくない」
「俺はお前の伴侶を殺してるんだぞ?よくそんな寝ぼけたことが言えるな」
「でも、魂は解放してくれていた。レイアは既に転生していて僕と出会っていたよ」
「知ってる知ってる、勇者だろ?」
「ええ」
「あのなアル、そう言う感傷的な事は置いといて、きっちり落とし前つけようぜ、後のことはそれから考えろ、今のお前に選択肢は無い」
「……分かった……それが僕の罰だね」
「んじゃま、行くぞ」
ルシフェルは双剣を手にした。僕と同じスタイルなのだろうか。僕もルシフェルと合わせ、神の剣からいつもの双剣をチョイスした。
ルシフェルとの戦いが始まった。
いままでの戦いと違い、真っ向勝負、力と力の戦いの様相を呈している。剣技はほぼ互角、このまま続けていても永遠に決着はつかないだろう。
「ははは、これはダメだな、真っ向勝負じゃ永遠に決着がつかないな」
「そうですね」
ルシフェルは、少し距離を取り、神の裁きと同質の攻撃を繰り出してきた。僕は結界と回避でしのぐ。オールレンジの神の裁きの厄介さを身を以て知った。
僕もお返しとばかりに、神の裁きで対抗する。ルシフェルも僕と同様、結界と回避で神の裁きをしのぐ。
今度は僕が神の剣で波状攻撃をかける。ルシフェルは背後に円形の防衛システムのような物を顕現させ、神の剣をしのぐ。
ここまでの戦いは全くの互角だ。
「気持ちいいぐらいに互角だな」
「そうだな」
「なぁ、こう言う勝負、何が明暗を分けるか知ってるか?」
「なんだろう?引き出しの多さとか?」
「ふん、やっぱお前は頭でっかちになっちまったな、その点に於いては前のお前の方が優れていた」
「なに?」
「まあ、過去を全て否定する必要はないってことだ」
「ふむ」
「話が逸れちまったな、教えてやるよ」
「……」
「気合だ」
「!!!!」
そう言い放ち、ルシフェルは肉弾戦を仕掛けてきた。まさか気合が来るとは想定していなかった僕は、2、3発いいのをもらってしまった。
頂上決戦が殴り合いと言うことに、何も感じないわけではないが、これはこれで嫌じゃない。あの手この手と手を凝らすよりも、シンプルでわかりやすい。
ルシフェルの拳は重い、この拳にはルシフェルの想いが詰まっているのだろう。
だが、想いの強さなら僕は負けない。ルシフェルの背負っている想いが、どれほど切実で強くても、破滅を選択した彼に僕が負けるわけがない。
僕とルシフェルの殴り合いはしばらく続いた。しかしルシフェルの言うとこの気合は、僕の方が勝っていたようだ。僕はルシフェルとの殴り合いに勝利した。
仕事の都合で、しばらく更新止まります。




