5年後…
5年後…
「いた…」
視線の先には魔物の赤熊…
2種類の魔法を発動して準備をする。 1種類は氷の魔法もう一種類は風の魔法…
「…っし!」
魔物の前足に風の刃で傷をつけると、驚いた赤熊が吠えながら体を起こす、タイミングを合わせて45度の角度で太い氷柱を投げる!
魔物の形を形取るように熊の魔物を地面に縫い付ける。
魔物は動いて逃れようとするがピッタリと氷柱に挟まれている為動けない… 最後にもう一本細長い氷柱で側頭部を撃ち抜くと魔物は絶命した…
「やったぁ〜!」
氷の氷柱を消して魔物を空間収納へ入れて帰路につく…
5年の間に私は魔法を覚えて、今は自分で狩りに出て食料の確保をしている。
ここでの暮らしが始まってから暫くは魔法の基礎を学び、魔力の操作を覚えた。体が小さいから使える魔力が少なかったから、体力づくりもした…
日本にいた頃は自分の足では歩けなかったから、体力づくりもそんなに苦ではなかった♪
創造神様は身体能力の底上げをしてくれたけど、どうやら私は他の人よりちょっと俊敏で魔力量が多い感じらしい…なので接近戦よりは基本魔法で攻撃をしている。
異世界転生ものの無双!的な感じにはなってないみたい笑。 でも使える魔法も全属性で後は創造魔法と錬成・錬金術も使える。後は付与魔法もそれなりに得意だからやっぱりチートなのかな?
* * * *
「ただいま〜!」
『『おかえり〜』』
山の中腹にある洞窟の結界に入ると、精霊達が寄ってくる…
精霊達とは魔力操作を覚えてから言葉がわかるようになった。皆んなは色々なことを教えてくれるし、畑や果実の世話をしてくれるのでいつも美味しいものが食べられる! 本当に助かってます! 魔法を使えるようになるまでは水くれとかちょっと大変だったけど、今は簡単に出来るから、山の麓の森へ狩りに行ったり、素材集めしたりして、過ごすことが多い。
「とりあえずご飯作って食べよう〜っと!」
マジックアイテムの時間経過しない冷蔵庫のようなものの中からお肉と野菜を取り出して調理していく…
魔導のコンロを使い薄くスライスしたお肉を焼き、タレをつけて味付けをする。
野菜と一緒にパンに挟めば、お肉サンドの出来上がり!
「美味しい〜」
精霊達によって育てられた果実のジュースも飲むと思わず頬が緩む…
「じゃあ、お腹も膨れたから作業しよっと!」
増設した作業部屋に入り今日集めた素材を出していく、
何を作るかというと〜〜〜!
アクセサリー作りですょ〜! 日本にいた時はハンドメイド作家として多少はファンもいたから、こっちでも出来ないかなーって思ってやってみた。きっかけはトリスの鱗がたまたま取れた時にその鱗をもらって作ったネックレスが始まりかな。
最初は加工とかも出来なかったからマクラメ編みで鱗を包んでネックレスにしてたら、食料を届けに来てくれたヘルマンさんが凄く興味を持って、その後マルクスさんまで来て何個が作って欲しい!って事になったの!
でもたまたま剥がれた鱗をもらって作ったから…って言ったら竜人族の人はたまに剥がれる鱗を売って収入にしてるらしく、素材は集められた。
そしたらトリスさんが鱗ならいっぱいあるから使っていいよって言って今までに入ったことのない部屋に入ったら山の様な鱗が…というか脱皮した脱け殻が…数百年か千年くらいで、脱皮してより大きく硬い体になるらしく元々大きいから凄い量の鱗と皮があった… 脱皮した後の鱗と皮は時間の経過と共に色も薄まり、強度も落ちるから加工するのには丁度良かった。…そうは言ってもドラゴンの皮や鱗だから大変だけど…魔法を使わなければ無理ですね…
今は色んなものを試行錯誤した結果、金やミスリルなどで金具を作り、ドラゴンの鱗や魔法で作った押し花やシェルや魔石などを使い日本にいた時に使っていたレジンに似たものも精霊達に聞いたら似た性質の樹液を出す木があったので樹液を錬金術で変化させて理想通りのアクセを作れるようになったの! デザインの参考にしてるのはスマホで随時他の作家さんをチェックして真似して取り入れたりしてます!
え? 真似は良くない? この世界では私だけだから平気です! 笑
私が作るアクセはトリスの鱗を使ってるものが多いから、竜帝を崇拝している人に人気みたい♪
「そろそろヘルマンさんが来るから仕上げちゃわないと…」
* * * *
「茗ちゃん、こんにちは〜」
「あっ、ヘルマンさん!作業部屋にいます〜!」
「了解だょ!先に食料補充しておくね〜」
「ありがとうございます!」
冷蔵庫のようなものの中に食料を入れると、ヘルマンさんは作業部屋に入ってきた。
「茗ちゃん今回は何か仕留めてあるの?」
「はい!今回は3体です。」
「茗ちゃんは魔物も狩れるし、アクセサリーも作れるから凄いね!収入はその年では異例だね」
「早く皆さんに返済したいですから!」
返済というのは、勉強してわかった事だけど、あっという間に建ててもらった家や家具が実は超高額だった事が分かってから、何とか返済出来ないかと思って素材が買い取ってもらえる魔物を狩り、最近はアクセサリーの売上も返済に当てている。
「いや、トリースティー様の役に立てるのは嬉しいなんで気にしなくていいんだけど…。」
「ダメです!お国のお金はもっと違う事につかうべきです! 」
いつ完済出来るか分からないけど、少しづつでも返していく予定です。
「じゃあアクセサリーも納品お願いします。
ネックレスが30とピアスが5種類30セット・ストラップが50になります。」
「確かに、預かっていきますね!」
ヘルマンさんは魔物3体とアクセサリーを持ってまたドラゴンに戻って空に浮いた竜人族の国の【ドラグニア】に帰っていった。
2・3回連れてって貰ったけど、人口の8割は竜人族で後は亜人や人族…あと普通にドラゴンもいた野生では無く他の種族の者と番になって王国に留まっているドラゴンや竜帝に憧れて住み着いたり子供の子育てに来ているドラゴンもいた…
建物や道は大きめでドラゴンでも通れるくらいになって、馬車ではなく竜の亜種である1m〜2mのドラゴネットという小ぶりな竜車で移動をしていたのが印象的だった。
また行きたいけどドラゴンの背に乗っていくのは中々に恐怖体験で酔ってしまうので、足が向かない…。