日明リ国編:「vs轟魔」
ぐぉぉおおおおおおおおおおお!!!
轟魔が叫び最高神に向かって大きい足音を鳴らしながら走り出す。
そのまま、右腕で最高神に切りかかっってくる。腕を大きく振るい爪で切り裂こうとしてくる。
その斬撃を下がりながら回避する最高神。轟魔はそのまま斬撃を複数回繰り出しながら前進してくる。
シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッシャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ シャッキンッ
前進しながら腕を振り回し、最高神をぶった切る勢いで攻撃してくる。それを最高神はかわしながら下がり、力を図る。最高神は若干笑みを浮かべている。
そのまま、壁まで追い詰められた。今度は左上から右下にかけての斬撃を難なく回避する最高神。
その際、コンクリートの壁には斬撃の跡が残る。かなり食い込んでおり、指五本の斬撃跡が綺麗に残っている。
最高神は今の攻撃を左下から抜けて、轟魔の又をくぐり素早く20mほど離れる。轟魔はすぐに振り返る。そして、じっと最高神を見つめる。
「魄玉が寄生した宿主の精神は完全に消失する。つまり宿主の知性を破壊する」
「元々脳にあった知能はそのまま魄玉に受け継がれる」
「それに、魄玉自体知性に優れているところを見ると、魄玉による生物兵器の開発は成功と言える」
「命令に従い、臨機応変に対応可能。燃料が必要なこと以外の短所がないですね」
「しかし、制御しやすいはずの魄玉をなぜ暴走させたのでしょうか?」
疑問を浮かべる最高神。命令に従い臨機応変に対応する完璧な生物兵器。暴走には理由があるはず。
ぐおおうぅぅ
轟魔は身を低くし、四股のような構えする。そのまま、口を大きく開きその口の中に光が集まる。オレンジ色の光弾が轟魔の口の中で生成される。
そして、そのまま吐き出すように光弾を打ち出す。その光弾に対し体を右にずらすだけでかわす最高神。
そのオレンジ色の光弾は後ろの床に着弾し、瞬間オレンジ色の閃光をあげて爆発した。その後には塵と熱と炎がある。
「爆裂火炎魔法ですね。爆裂魔法に火炎と熱を加えたもの」
余裕綽々の最高神。
研究所
取り敢えず原因と止める方法を探している。だが
「なぜ暴走している!」
暴走の理由がわからない田村と周りの研究員たち。
「魔素を入れただけでこうなるとは」
わいわいがやがや
議論やらなんやらが白熱して交わされているが全く制御できないことに困り果てている。
しかし、最高神は一人で真実を確認した。
「魔素の研究が未熟な状態で生物兵器に応用するのは8年ほど早かったようですね」
「今しがた並行世界を作って、調べた結果です」
「魄玉を入れることで本来なら宿主の魂を吸収できる」
「しかし、魔素のせいで逆に魄玉の魂が吸収されてしまった。これが制御不能の原因ですね」
最高神は自分の頭の後ろで腕を組んで答えを知った。その後最高神は目の前のことに戻る。
轟魔は両腕を前に出し、両手の先に魔法陣を展開する。左手の魔法陣からは電気を帯びた水色の光線が、右手の魔法陣からは赤い光線が出る。
最高神は透明で水色の半球型の魔導防壁を前に出して防ぐ。二本の光線は魔導防壁に弾かれ4、5本の筋に分かれ最高神に当たらず後ろに散開する。
「対処方法はいたって簡単。魔素を付与する相手を宿主である複製人間ではなく魄玉入れる」
「そうすれば、この轟魔のような力を持ちながら制御可能魔導生物兵器ができる」
「聞いていましたかぁー!川光!」
“ふぁい、聞いております”
眠そうな声で反応する川光。
それと同時に轟魔が魔導を止める。
「オレハ・・・オレハジユウニナル!!!」
轟魔がいきなり叫ぶ。複製人間の魂があの体を占拠しているため複製人間の意志で動いている。
「ヘイキナンゾニナルカァー!!!」
「オマエコロシ、ココヲデルッ!!!」
最高神を指さし殺害宣言をする轟魔。
「ほう、自由になりたい。それは、複製人間の意志か?それとも、君自身の意志か?」
「オレノイシダ!!!」
“複製人間は複製とは言え人間だから意志や自我があることを忘れていました”
川光が話に割って入る。
「複製人間の魂が魄玉の魂より上位になってしまったのが根本的な原因。知性が低くても魔素を持った魂は普通の魂より上位にあたる」
最高神がさらに説明を加えると。
「クソガァー!」
また叫びだす轟魔。
轟魔は両手を天高く掲げ大きい魔法陣をその上に展開する。魔法陣のさらに上に魔法陣の直径よりも巨大な火球ができる。両腕を前に勢いよく倒して火球を最高神に向けて放つ。
「シネェー!」
見事に最高神に命中。
「マダマダ!」
今度は、両腕を大きく左右に広げ、先ほどの爆裂火炎魔法を両手と口の中に生成する。両手の上には魔法陣があるが口の中には先ほど同様魔法陣は見られない。
「フンッ!」
オレンジ色の光弾を三つ同時に放つ。先ほどの火球で燃え上がっている場所に爆発が重なる。さらに、休まず何度も何度も打ち込む。
しかし、最高神は無傷である。
炎の中に人影を見るなり再び攻撃を仕掛けてくる。
「ヌゥゥ・・・ナラッ!」
両腕を右側に集中し体も少し右を向く。そして、両手を向い合せてその間の空間に魔法陣を一つ展開し、その魔法陣の中に白を軸にした水色の光弾を作る。
そして両腕を前に勢いよく向け、それを放つ。しかも、魔法陣を4枚その攻撃の通り道に展開する。
「ドゥラァアー!」
放ったものは光弾ではなく、極太の光線だった。その直径は轟魔よりも一回り大きい。
「おー」
最高神は見かけだけ驚く。白を中心にした水色の光線は地面を削りながら進み、最高神を飲み込む。
被害は後ろの方まで達しているように見える。
手元の魔法陣から大きい光線を出し続ける轟魔。
「ヌォォォォー!」
「クウゥ!」
この声と同時に光線は消え、その後魔法陣も消える。光線の跡がくっきりと残っており熱によりその跡は焼け焦げている。
「フゥフゥ・・・ヤッタカ!?」
「フラグ乙」
最高神は無傷だ。しかも、最高神の先にあるコンクリートは爆裂火炎魔法の影響の痕跡以外ない。
「こちらの番だ」
最高神は一気に轟魔の目の前に来る。
「ウォ!」
「魄玉の位置はっと」
魄玉の位置を探る。最高神の見る世界がレントゲンのような世界になり轟魔の体内の魄玉を写す。
「えっと・・・18個ですね」
「マケルカァー!!!」
轟魔は両手を組み、高く上げた後勢いよく振り落とす。
ドゴーンッ
地面に当たったが最高神には当たっていない。というか轟魔は最高神を見失った。
キョロキョロする轟魔。
「ここ!」
轟魔の後ろから18本の黄色い光線が轟魔の体を突き破る。頭に1本、胸に3本、腹に3本、腰に3本、両腕の肩と肘、肘と手首の間に1本ずつ、両脚の腰と膝、膝と足首の間に1本ずつに光線が出る。
「ゴガァ!」
「終了でございます」
両手合わせて拝むポーズをとる最高神。
ドスーン
その後すぐに轟魔は倒れた。
「ガッガッゴガッ」
もがこうにも指一本動かせない轟魔。しゃべることもできないようだ。
そして、そのまま生命活動は停止した。
「短所発見!魄玉が全て完全に破壊されると生命の維持も体を動かすこともできなくなる。まぁ当然か」
「生命の維持は魄玉の仕事だからね」
轟魔の死体と最高神しかいないコンクリートの大きい空間でひとり呟く最高神。
◆◆◆
???「私の名は“弘仁級 巡防艦 30番艦 番号0205の大田”です」
大田「村上兄さんが不在のため、今回は私が解説を持ちます」
大田「どうぞよろしくお願いいたします」
大田「それでは今回は魔導属性と魔法陣とそれらの関係についてです」
大田「まず魔導属性は、有属性・無属性の二つに分かれます」
大田「有属性は有色属性・無色属性に分かれます」
大田「有色属性は火・水・土・風・雷に分かれ、それぞれ魔法陣の色は赤・青・黄・緑・紫です」
大田「無色属性は鋼・爆・陽・陰・合・離に分かれ、魔法陣はいずれも白です」
大田「無属性は文字通り属性がなく、魔法陣の色は魔法によって色が異なります」
大田「魔法陣にはそれぞれ属性に形があります」
大田「有色属性は“五芒星”とその周りに円、無色属性は“六芒星”とその周りに円、無属性は“正方形が二つ合わさった八芒星”とその周りに円となっています」
大田「魔法は2個以上の属性が必要で、有属性の合と離以外の属性は比率が存在し、さらに魔法には主比率と副比率があります」
大田「例えば、[火/50+火/50]=炎魔法、[雷/60+火/40]+明/20=熱光線魔法、爆/40[火/40+風/60]=爆裂火炎魔法」
[ ]は主比率、比率≠魔力量
大田「魔法陣の色は主比率の色のみ混ざります」
大田「さっきの例で言えば、赤色と赤紫と茶色の魔法陣」
大田「主比率は必ず100%かつ有色属性が2個以下、副比率は100%でなくてもいいし属性数に制限なし」
大田「有色属性と無色属性が合わさった場合、色は有色属性がですが、星の形は無色属性です」
大田「無属性は属性が関与しない魔法に使われます」
大田「例えば即死魔法、転移魔法、蘇生魔法など」
大田「結論、有属性の場合、魔法陣と属性は色と星の形が関わる」
大田「無属性は属性が関与しない」
大田「以上です」
大田「次回も是非とも見てください」
用語集
爆裂火炎魔法:爆/100[火/40+風/60]。爆裂魔法に炎と高熱を追加したもの。
魂:この作品では暗黒エネルギーの一つ。生物の情報でもある。
轟魔の魔素量:400Mほど