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日明リ国編:「道中の事件」 ※前書きを読んでください

警告:今回は一部の人にとって不快になる可能性がある内容が含まれています。

 長い高速道路を走り続ける。


 あまりにも長いためしゃべることがなくなってしまうくらいだ。


 “北都州です”


 車に搭載されている女性じみた機械音声が北都州に入ったことを教える。


 すると、はるか後ろの方からサイレンが聞こえてきた。


 ウー・・・ウー・・・のように聞こえるサイレンは恐らく警察車両のサイレンだ。


「後ろから、何やら、警察が来ていますね」グキッ


 最高神は首だけを180度回転させて後ろを見る。その際骨のような音が聞こえる。


「う~ん、車を追いかけているようですね。複数のサイレンが聞こえるし、上空にはヘリがいますね」


 川光は上を見ると空気をたたくような音で上空を警察ヘリコプターが飛行している。


「後ろから来ましたよ、速い速度で。ん?銃の跡がありますね」


 後部座席にいる最高神は、後ろからやって来た銀色の車を見た。その車は制限速度を大きく、上回っている。しかも、銃痕だらけだ。


「どうしますか?ほっときますか?」


 川光は聞いてきた。


「先ずはあの女性の考えていることを読み取ります」


 最高神は精神調査魔法をわざわざ使って、逃亡している運転手に向けて読み取る。


「ふむふむ、どうやら麻薬乱用者のようですね」


 最高神は調べた結果を離す。


「なんと!麻薬ですか。いや、ちょっと待ってください!警察に連絡を取ります」


 川光は左ポケットからスマートフォンを取り出す。スマートフォンは耳に充てずに左手で持ちながら使っている。


「もしもしぃ!川光だ。銀色の狐車、東都州、渋合郡の315、車両番号43ア98の車に乗っている奴は何だ」


 しばらくして返事が来たようだ。


「分かった。前を走っているのは俺だからな」ピッ


「あの車に乗っている奴は、麻薬乱用者で間違いないです」


 川光はスマートフォンを助手席に投げて確定したように言った。


「それで何をするんです?」


 最高神は尋ねた。


「もはや生きる価値も権利もない人間であることが分かりました。しかし、私はあの車を止めるくらいです」


 川光は自分の座っている運転席の窓を開けそこから腕を出し、右手の手のひらを一車線挟んで横に来た逃亡犯の車に向けて魔法を発動した。


「さようなら。来世はまともになるんだな」


 そう言うと川光はその手から、魔法陣を出した。


 ガキンッ


妙な金属音と共に車は、左右に揺れながら速度を落として停車した。逃亡犯はドアを開けて飛び出したが足元が狂って倒れそのままうずくまってしまった。


 逃亡犯は警察に捕まったようだ。


川光は窓を閉め、何食わぬ顔でくるまを走行させた。


「生きる権利がないとか言っていましたが、なぜ生きる権利がないんです?」


 最高神は尋ねる。


「我が国では、麻薬製造、栽培、売買、乱用、所持したりすると“麻薬関係者法”により死刑になります」


「ようは麻薬に関わると裁判を通り越して即死刑とうことです。そのため乱用者のための更生施設などは我が国にありません。連行する前に抵抗されて射殺という事例も珍しいことではありません」


「さらに、民間人が麻薬関係者を殺したとしても殺人にはなりません」


「ただし、殺人罪にならないだけであって、途中の過程で何かやらかしたらその罪はちゃんと掛かります」


「例えば、麻薬関係者が住んでいる家に侵入し襲撃して殺害した場合は何の罪にも問われない。しかし、無関係な家や人に被害が及んだり巻き込んだり、麻薬関係者の家から物を持ち出したりしたら罪になります」


「麻薬関係者宅の住居侵入、器物破損、麻薬関係者の殺害は免除できますが、もしそうした場合は必ず襲撃前後に警察に連絡することが義務付けられています」


「連絡を怠れば自分たちが死刑にされる可能性もあります。ただ認められれば免れることはできます」


 川光は説明を終える。


「前後ということは、警察は襲撃の前には来ないのですか?」


最高神はそう言った。


「民間人による麻薬関係者宅の襲撃の場合は、警察はランプだけ付けて道交法を守りながらのんびりと来ます」


「ただ麻薬関係者が武装している場合はいつもと同じようにサイレンを鳴らしてすぐに来てくれます」


「警察の中には連れて行くのが面倒だからと言って、その場で射殺して後の報告では、抵抗に合いやむなく射殺とか言った警官がいました」


「ネットでは“演技草”とか“ちゃんと連れてけやwww”などの笑いものコメントが多数で、少数には“死刑台でやった方がいい”とか“正当な殺し方をするべき”などのコメントがありました」


「まぁ聞いていて分かる通り、殺すことには全く反対していません」


 川光は結論付けた。ここまでくるとそれほどまでに憎んでいることがわかる。


「昔、こんな事件がありました」




「とある村の話です」


「そこに住んでいる男が麻薬の密売人だったんです」


「それを聞いた村民たちが、そいつの家に押しかけてドアを破ったり、窓を割ったりして押し寄せて来て麻薬の密売人の男を原型がわからないぐらい殴って撲殺したそうです」


「人間のたたきと言われたぐらい惨い死体だったそうですよ」




 川光は淡々とシリアスに話す。


「この国では、麻薬に一度でも溺れた人間は死刑台の方がはるかにましに思えるほどの扱いを受けたりします」


「ただこれでも破天球では、まだましな方だったりします」


 川光は言い終える。


「これでもまだましな方何ですか」


 苦笑いを浮かべる最高神。




 しばらくして高速道路を降りた。


「ここは北都州、州都糸馬郡です。ここからは一般道で水瀬命軍基地に向かいます」


 街に入り信号で待っているとまたハプニングに襲われる。


 ジリリリリリリリリリ


 宝石店からサイレンが聞こえる。


「今日は運がないですね」


 川光は呟く。


「宝石強盗のようですね」


 目出し帽を被った強盗を最高神が確認する。


「じゃそこらへんでとめて犯罪者を監獄へ行かせる手伝いを・・・」


「私が行きます」


 川光の言葉を遮るように最高神が口を出し、その場で車を降りる。


 川光は慌てているが近くのコンビニに停めることにした。


「え~とあの黒いワゴン車が強盗の車で、強盗は男性4人ですね」


 黒いワゴンには一人すでに乗っている。


そう言っていると強盗がバックを持ちながら店から出てきた。


「警察は向かってはいますが時間がかかりそうですね」


「それでは挨拶に行きましょうか」


 最高神は店から出てきた強盗の肩を後ろから掴んで後ろに投げ飛ばす。


「何だ貴様ぁ!」


 店からまた強盗が出てくる。そして、その強盗は左手に大きなバック右手に拳銃を持っている。


 バンッ


 拳銃が火を噴く。銃弾は真っすぐに最高神の頭に向かっている。


 最高神は右手を前に出し軽く回して、その銃弾の進行方向を触らずに強盗の目に向けた。そしてそのまま銃弾は強盗の左目に入った。


 そして一瞬で強盗は倒れた。そして、銃を捨てる。


 最高神は拳銃を奪って、先ほど強盗が出てきた、開いた出口に向けて発砲した。


 バンッバンッ


 その弾道は意志を持つかのように曲がり、まるでミサイルのように標的を追いかけ中にいる強盗に当てた。


 バタッ


 その後倒れた音が聞こえた。


「よく見えませんねぇ」


 最高神の左目は投げ飛ばした強盗を見ていて。右目はワゴン車を見ている。互いに真逆の方向を見ている。何がよく見えないのかはわからない


 すると


「うおおおお」


 投げ飛ばした強盗は近くの人だかりに走り襲い掛かり逃げ遅れた人質を取った。


「来るなあああああ」


 息を荒くしながら叫ぶ。人質はブレザーの制服を着ている。どこかの学校の女子生徒だろう。


「そういえばこの辺りには学校あったな」


 最高神は呟きながら右目も左を向く。


 キランッ ドサ


 強盗の右肩に光が走った。


「?」


 強盗は急に右手に感覚がなくなった。本来ならば銃を持って人質の頭に押し当てているはずである。しかしそれが無い。おかしいと思い強盗は右腕を見た。


「ぎゃああああああああ俺の腕がああああああ」


 肩から消えていた右腕を探る強盗。その隙に逃げる人質だった女子生徒。


「うるさい」


 騒いでいる強盗の頭に向けてチョップする最高神。そうしたら強盗は気絶した。


「さて最後は・・・」


 ワゴン車を見たら、そのワゴン車は走り出した。


「逃げないと逃げなきゃ殺される」


 恐怖に包まれた生き残りの強盗は必死になってワゴン車を走らせる。


 バキッ


助手席のドアが根元から外れ道路に転がる。


「ひいいいいいいい」


 それを見た強盗は悲鳴をあげる。


 ドアのあった場所から顔を“にゅっ”と出す最高神。


 その時の顔は (゜∀。) とても笑顔のままラリった顔をしていた。


「ハイど―ん」


 助手席から運転席のドアに目掛けて強盗に触れずに突き落とす。ワゴン車は少し走って停車した。


 転がる強盗に近づき、触れずに無言で強盗の両足を折る。


 パキッパキッ


「ッーーーーーーーー!!!」


 声にならない叫び声をあげる強盗。


「あれ?よく見えないぞ」


 さっきから顔が変わってない。


 更に最高神は近づいた。突然、最高神の左目が強盗の目と合った。


 ブチィィ


 その直後、最高神の左目の眼球が神経をつけながら飛び出してきた。


「お、よく見えた!」


 強盗は気絶した。


「終わっちゃった」


 瞬間移動で川光の待っている車まで戻る。


 いきなり現れた最高神に驚く川光。


「さて、行きましょうか」


 顔は元の状態に戻っている。


「あ、安心してください」


 最高神は引っかかっていそうなことを言おうとする。


「何を?」


 川光は疑問を持つ。


「先に殺した2人はすでに蘇生しているので、ただし警察が来るまでは指一つ動かせませんがね」


「あ、そうなんですか」


 そういいながら2人は車に乗り込み走り出す。


「警察が後は何とかしてくれるさ」


 最高神も川光も後は丸投げである。


 そして、目的地に向かって車を再度走らせた。




用語集


 警察車両:車体全体が黒で覆われ、白い文字で“OO州警察”や“OO郡警察”などが車体側面のドアに書かれている。ランプは通常赤一色。アメリカのパトカーに類似。

 ここでは、車体側面に“北都州警察”と書かれている。

麻薬関係者法:麻薬に関わった人間を裁く法律。非国民とされ人権を失う。かなり非人道。

 破天球では、麻薬におぼれた人間は、大抵悲惨な死に方をする。


警告は大げさだったかもしれない。

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