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日明リ国編:「日明リ国の莫大な財産」


日明リ国には大量の金が存在する。管理が大変なのだが破天球でも買い手がなかったのに、転移したおかげでさらに買い手がなくなった。悲しい財産だ。



 日明リ国中央銀行


 皇域の中にあるこの銀行は、もともと金鉱山であり日明リ城と暠皇、皇族を守る砦の一つだった。


 今も銀行以外に宮殿警察署としても運用されている建物だ。


「この国のお札を発行している中央銀行の警備機器はどのような物か拝見させていただきましょう」


 最高神が話しかける。


「お願いします」


 川光が応答する。


 先ほどから見てきた建物とは打って変わって洋風の建物の前に来た。時計版が正面についている。


 そして、玄関から銀行に入る2人。


「地面に精神調査魔法と拘束魔法の類がある。天井に魔導防壁魔法による檻があるみたいですね」


 最高神は右手で地面を指さした後、天井を指さす。


「精神調査魔法により犯罪を考えているかいないかを診断した後、黒の場合は直ちに拘束される。爆発物や爆裂魔法を確認したら魔導防壁で対象を捕獲。というところですか」


 考察する最高神。


「流石ですね!意図を読み取ってしまうとは。お見事です!」パチパチ


 拍手し褒める川光。そして、感想を待つ。


「まだまだ魔導の成長が進んでいないとは言え、これらの魔法に対抗する魔法を作る可能性は大いにある。術式分解魔法や無効化魔法などの対策を設ける必要があるかと」


 さらに考察をする最高神。それに対して「なるほど」と頷き空中に光の文字でメモを取る川光。


「これは、中には入ってもよろしいのでしょうか?」


「はい、問題ありません。無効化魔法は何とかなりますが術式分解魔法一体どうしたら」


 歩きながら話す2人。


 無効化魔法は、魔法を無効化する魔法だが魔力が多いと無効果できない弱いものにはとことん強いが強いものにはめっぽう弱い。


 術式分解魔法はかなり高度な魔法だが魔力の影響は受けないためかなり強い魔法と言える。無効化魔法の上位に当たる魔法だ。


「術式分解魔法は魔法を構成している術式つまり、魔術を乱し崩すことで魔法を根元から破壊する魔法です。しかし、術式を解読しないと破壊不可なので術式自体を暗号化したり組み替えたりすればいいと思います」


 川光は最高神を追いながらポカンとしている。そして「はい」と小さな声で返事をした。


 そして、スライド式の金属の扉の前に立つ。


「金庫室にしては簡素なドアですね」


 率直な感想を述べる最高神。


 しばらく待つと勝手に開きだすドア。


 川光も後に続いてはいる。するとドアがすぐに閉じてしまった。


「閉じていいんですか?私は大丈夫ですが?」


 何を心配しているのかと言うと酸素だ。空調機関はあるが密閉された空間なのでいずれは酸素がなくなるはず。


「大丈夫ですここは紙幣印刷工場なので空調機関があるので空気の心配はないです」


 そもそも紙幣印刷工場だったらしい。機械は、今日は動いてないようだ。


 印刷工場を無視して、さらに下へ進み大きな部屋にやって来た。そこには金庫らしい巨大な蓋のようなドアがあった。


「日明リ国中央銀行は世界最大の貸金庫でもあります。なので、金鉱山だった物を大規模改装して、いくつもの金庫室を作っています」


 川光が話す。金鉱山という特徴を活用して金庫にしているようだ。


 ドアがひとりでに動き出し、開く。最高神はそのドアをよけながら中に入り川光も後に続く。


 中に入るとドアはまたひとりでに閉じた。


 地下に続く階段がある。その先へ行き下っていくとそこには


「おお!これはすごい」


 コンクリートで整備された巨大な空間の中央に巨大な穴がある。その穴を軸に周りには先ほど言っていた金庫室が多数ある。しかも穴が吹き抜けになっておりそこから下の階層が見えている。


 それは、壮大と言えるほどだ。


「いつ見ても壮大ででかい穴だな」


 川光自身も未だに驚いているようだ。


「中心のエレベーターで一番下まで行きましょう」


 川光は正面にあるエレベーターを右手で指さす。


 そのエレベーターに乗り一番下まで一気に下る。


「ここまで、よく掘っていましたね。そんなに金があったんですか?」


「まぁそうなんでしょうね。財務省からは30万以上としか聞いていないので、詳しいことはわかりませんが」


 川光と最高神は降りている途中に話し合う。


「欲というのは恐ろしいもんだ」


 最高神は呟く。


 一番下までたどり着き、エレベーターを降りる。その巨大な穴の底には何やら水色に光る魔導防壁で守ってある。


「小さいこの穴の下には何が」


 最高神は尋ねる。


「この下にはこの鉱山でとれた、上に運べない金が大量にあります」


 上を見ながら話をする川光。そして、魔導防壁に近づき開こうとする。すると機械音声が聞こえた。


“声帯認証”


「川光信弘」


 声を出す川光。


“指紋認証”


「・・・」


 魔導防壁に両手を押し当てる。


“パスワードを入力してください”


「えっと・・こんなんだったか?」


 少し迷う川光。そして、次が最後らしい。


“脳認証”


「これきついんだよな」


 そう言いつつも、指紋認証と同じように手を押し当てる。しかし、今回は右手だけ。


「あ~ビリビリするんじゃあ」


 川光の頭が小刻みに揺れ、顔が緩くなる。少しばかり快楽を感じているようだ。


“ピピッ・・・終了、防壁解除”


 水色の魔導防壁が消える。川光は「あ”~」といいながら項垂れている。


「脳認証とは何ですか?」


 最高神が尋ねる。


「脳を探って本人確認をする、魔導システムです。少し前は快楽ではなく苦痛だったのですが最近変わりました」


 少しよだれを垂らしながら答える川光。なかなか恐ろしい方法をとるのだなと思った最高神。


 魔導防壁が消えた後に金属でできたスライド式の蓋が開く。


 その下には螺旋状に階段がついている2人で下に降りていくと。再び頑丈そうな両開きの扉がある。


 重そうな音を立てながら開くとそこには


「・・・こりゃすごい」


 最高神は驚いた。床を埋め尽くさんばかりの棚に入った金塊の数々。人が通る道が1mしか幅がない。


 高く積み重ねている棚の下に方にある金塊は重みで心なしか潰れているように見える。部屋自体もかなり広い。


「これが、日明リ国中央銀行に眠っている、行き場のない黄金たちです」


 川光がしゃべりだす。


「掘ったのはいいのですが、こう多いと上に運ぶだけで時間がかかるし何より重いし、買い手がない」


「正に宝の持ち腐れってやつですよ。ハッハッハーッ」


 笑い出す川光。


「掘ったというのに使う当てがなくて困っているんです。機械部品の金や、宝飾品の金は別にある金山や鉱山で間に合ってましまして」


「まぁそれらが足りなくなった時のための保険のようなものですね。ここにある金は」


 説明を終える川光。


「これ一階だけではないですね」


 最高神は尋ねる。


「はい。このくそ広い部屋はあと下に5階あります。それら全て金の倉庫です」


 川光はまだ下に沢山あると言っている。


「30万tは軽く超えていますねそれを聞くと」


 最高神はそれを言うと引き上げいる入口に戻る。そして、元来た階段を上がり先ほどの穴の底に上がる。


 川光は再び入口の扉を閉め再び魔導防壁を展開する。


「飛んでいきますか」


「そんなに急ぎます?」


 最高神は飛び上がりそのまま一番上の階までくる。川光も同じように飛び上がり、付いてくる。


 そして、元来た道を通り外に出る。


 美しい月と夜明けの太陽が見えた。


「そこまで時間がかかっていないように感じていましたが、夜が明けますね」


 最高神は日の明かりを見る。川光も同じように見る。そして、川光が真剣な表情で話を始めた。


「日明リ国は資源が豊かな国です。化石燃料、鉱物、森林、土地。この国は昔から世界の中心として栄えてきた“極大国”です」


「財産限らず技術力、生産力も申し分ない。この国は破天球において最強!」


「でもここではその最強がどうやら我が国を含めて2ヶ国あるようです」


 自慢げに話していた川光はいきなり話のトーンを下げて下を向く。後ろにある日明リ国中央銀行を背にして。


「だから私に保護して欲しいと言ってきたのですね」


 最高神は口に出す。


「破天球ではシミュレーター上ではありますが、羅漢人民共和国が相手でも日明リ国は本土に怪我をせず勝つことができると言い切れる」


「しかし、ここではそれができない可能性があるのです」


 川光は最高神に対して、膝をつき土下座をする。


「どうか、助力お願いします。あの国を直接滅ぼしてくださいとは言いません。しかし、何卒どうか、情報もしくは支援をお願い致します」


 深く頭を下げ土下座する一国の国家元首。


「なぜ、そこまで悲願するのですか?」


 最高神は訪ねてみる。


「国民の命と財を守るために」


 川光はそう答えた。


「よろしい。情報と支援は約束しましょう。ただし、私がこの世にいる間のみです」


 最高神は土下座している川光の左肩に右手を置きながら答えた。


 それ対して川光は一度最高神の顔を見て再び地に頭をつけた。


「ありがとうございます」


 泣きそうな声を出しながら答える。


最高神は川光の腕を引っ張り無理やり立たせる。そして気になることを聞いてみた。


「ところで、あの時、会議出てきた“命軍”とは何でしょうか?」


 最高神は尋ねる。


「命軍とは“命軍庁”のことです」


 川光はそう答えた。


後ろで日の光が2人を照らしている。



◆◆◆



村上「やぁ、お久。巡防艦の村上だ。兄貴や先輩、空父のおっさん方に頼まれて色々と解説する羽目になったぜ」


村上「まぁ、いい機会だから教えてやろう」


村上「今回は魔法と魔術、魔素と魔力について教えよう」


村上「先ず魔術は術式の集合体で魔法陣や魔法を構成している魔力でできた命令文のような物だ」


村上「魔法はそんな魔術によって出来た魔力の現象だ。もしくは命令の結果」


村上「魔素は魔力のもとで、魔素があると魔力を時間経過で自動回復できる。ただし魔素は生物の中にしか宿らない」


村上「魔力は魔素から生まれた物で消費エネルギーだ。生物限らず無機物にも宿るが魔素ではないので回復はせず消費するだけだ」


村上「魔素を水が湧く泉としたら、その水が魔力だ。しかし、泉が水で満たされると湧いていた水は止まり水が何かに使用されると、再び水が湧きだす。そんなイメージかな」


村上「じゃあ、次回も見てくれよな!」





 用語集


精神調査魔法:人の精神を探り調べる魔法。考えていることを読むことができる。

魔導防壁魔法:光のバリアである魔導防壁を作り出す魔法。魔導防壁は透明なほど高度で強固。

爆裂魔法:爆発を生み出す魔法。水色の閃光、衝撃波、爆音、塵を出すが、炎と熱は出さない単純な爆発。

無効化魔法:魔法に使っている魔力の3/4の魔力の魔法なら無効化可能。

術式分解魔法:魔法を構成している魔術である術式を破壊する魔法。魔法陣も破壊する。

極大国:破天球において超大国を超える存在として与えられる呼び名。破天球では日明リ国と羅漢人民共和国のみ持っている。

羅漢人民共和国:破天球にあった国。あらゆる面で日明リ国の次に来る国。


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