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世界  作者: 、
4/7

いつもの

屋敷の中には、他の化け物とは違うような思考を持つ化け物が住んでいる。

そう。

人間に憧れ、人間になりすます化け物たち。

それは悪魔の姉妹だったり。

化け猫と吸血鬼の悪戯コンビだったり。

カラスとフランケンの幼関係だったり。

そこは周りからは確実に偏見の目で見られているけれど、屋敷の住人は気にしない。

「ところで、レラ嬢。なんでいきなりそんな話になったんだ?」

フランケン、ギラは笑いながらレラに聞いた。

レラによく誘われるお茶会は誰もが喜ぶ時間だ。

その日その日によりレラの気分で呼ぶ。

そう、ここではレラは見た目は幼くとも家系とカリスマ性により立ち位置が上だということ。

逆らってはいけないこと。

そんな悪魔の代表である彼女が、人間になりたい等と天地がひっくり返るようなことを言ったとしても逆らえない。

心の底で化け物達がどう思ったとしても戦いや反乱が起きてもレラは勝利を手にする。

そのくらい彼女は強きカリスマなのだ。

「そうね……何でかしら。」

陰のある笑みで微笑む。

それを見て、ギラはそっと目を逸らした。

「なんか、……わりぃな。」

「あら、どうして?」

「いや、嫌なこと思い出させたよなって。」

「確かにそうね。でも思い出すのは私の勝手よ?貴方のせいなんてないんだから。」

ギラは苦笑した。

レラは生き物の心を掴む力がある。

こうして、何かを許す余裕があるのも彼女の才能だと思うのだ。

流石、シャルル家。

それに至ってはルゥはまだまだ子供。

それもそうだ、約200歳も離れている。

しかしそこが可愛らしいのだ、とも思えた。

以前ルゥを嫁にしたいと現れた輩が出てきた時、レラが何処の馬の骨かも分からないものに妹をあげる気など起きないなどと焼き討ちにした記憶がある。

あの子に下手に手を出せばお釈迦だ。

ギラは心の中で震えて笑った。

「……。」

「あら、ドール。」

「レラさまぁ!シン、見てない!?」

「あら、知らないわ。」

「もぉっ!ほんっと隠れるの上手いんだから!」

ドールがぜえぜえと青ざめながらシンを探しているようだった。

この様子だと何時間も探しているのだろう。

シンはカラスだ。

闇に紛れるのがとてもうまい。

しかも警察なためとても利用価値のある能力なので、それの為に使うのは忍耐力。

シンは忍耐力が屋敷の中の住人でも特に強いだろう。

「信じらんない!もー……探すのやめようかな。」

「それもいいな。そのまま放置しとけ。」

「あっはは!いいねいいね!」

ざまぁみろ、とでも言うような笑いにレラとギラは苦笑する。

その話をまるで聞いてました、とでもいうようにどこからともなくシンが現れた。

その姿はカラスになっている。

「なっなんやなんや!!酷いやないか!?」

「カーカー言っててわかりまーん。」

「なんやて!?」

わーわーと騒ぎ立てる2人。

「……どっちが子供かわからないわね。」

「どっちも子供だろ。」

「そうね。」

くすくすと2人はその様子を見て笑い合う。

この平凡な時間が好きなのだ。

なんといっても、こうして自分が参加する側ではなく見ている側の時。とギラとレラは思う。

特に大人びたこの2人は、そう思えば紅茶を優雅に飲んだ。

そこに今度はノーラとルゥがやってきた。

「お姉様!」

「あら。どうしたの?」

「お姉様っもうお昼ご飯の時間だよ?」

お腹すいたー!と騒ぐノーラとルゥ。

実は化け物というのは、群れで生きるのもいれば一匹狼として生きるものもいるがこの世界では1人で獲物を、人間を狩って食べるのが普通。

そう、人間を食べるのだ。

ずっと前だって、悪魔姉妹や化け猫、吸血鬼、カラスにフランケンだって人を食べて暮らしてた。

しかし、今、ここでは違う。

ここでは普通の人間のように、食材を調理してはお皿に並べてマナーを守り食事をする。

最初こそは抵抗があったけど、今はそれに慣れてしまったのと案外人の食べる料理とやらは全然悪くないしむしろ美味しかったのだ。

これが「本能」を封印したおかげなのかは分からないが今の暮らしに不満はない。

誰もがそう思っている。

ドールに至っては人こそ食べたりはしなくなったが血を吸うことは止められないらしい。

本能的なアレだ。これは仕方がない。

「そうね。確かにそろそろね。」

「まぁお昼っつっても、僕達夜だけの世界にいるけどねー!」

にゃははっと笑うノーラについギラは笑ってしまう。人の笑顔を誘う笑いだ。

すごいもんだなぁ、と思ってしまう。

「それじゃあ、食堂に移動するわよ。」

「わぁいっ!たべるたべる!」

「ほら、そこの2人ずっとわちゃわちゃしてないで。」

「むっはーいっ。」

「せやなぁ。」

ケラケラと笑いながら2人は本気で喧嘩することも無く遊んでいただけだったようだ、と分かっていても少し心配になる。

前にムキになったシンがぴーぴー言いながらドールと喧嘩してた時には俺が大惨事だったもんな、とギラはため息を吐きながら立ち上がった。

「ほら、いくぞ。」

「はーぁーい!」



ここは、夜の世界。

そして人に憧れ、「本能」を隠した生き物達。

もしかしたら今夜あなたの元に、遊びに来るかもしれませんね。



END

はいっ、次は「世界シリーズ」最後の「ゲエム世界」にいきたいと思います!

ここまで読んでくれた方ありがとうございます!

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