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正当な狂気  作者: 紗華
3/5

妻と子供…

警察から電話が来た30分後、僕は警察署の前に居た。

人違いに決まっている……心の中でそう思っていた。


警察署に入り、受付に名前を告げる。奥の部屋から出てきた男が、僕を警察署の奥に案内する。


「あの〜、本当にうちの妻と子供なんですか?」

案内されながら尋ねた。



「一応、所持品の中に免許証があり顔写真も一致してますので…残念ながら、間違いないと思います。」

と、深刻そうに男が言った。



深刻そうな男の顔を見て、本当に妻かもしれないと急に気持ちが焦りだした。

「どうして死んだんですか?」

僕は尋ねる。



「まだ詳しいことは言えません」

男は僕から目を逸らして言った。




霊安室に着いた…中に入る…ベッドが二つ並んでいる…白い布を被せられた人が寝かされている……。


「確認をお願いします」

男がそう言いながら、布をめくった。


…………妻と子供…………


確かに妻と子供だった。


目を閉じてまるで眠っているようだった。


「どうですか?奥さんとお子様に間違いありませんか?」

男が尋ねてくる。


「はい、間違いありません…」

声を震わせながら答えた…


しばらく沈黙が続いた…


なぜ…なぜだ…どうして…何故なんだ…なぜ…どうして……


「どうして妻達は死んだんですか?」

さっきの質問をまた男に聞いた。



今度は答えが返ってきた。

「まだ断定できませんが、警察ではなんらかの事件に巻き込まれ殺されたと考えております」


淡々と男は答えた。


「…殺された!?…犯人は?」

僕は強い口調で男に問い掛けた。

「まだ捜査中でして…お子様はナイフによる刺殺だと思うのですが、奥様は死因や凶器なども特定できてない状態なんです」やっぱり男は淡々と答えた。


「それで…」男が続けて言う。

「それで……死因や凶器を特定する為、奥様とお子様の遺体を司法解剖させて頂きたいのです。」


…殺され、そして遺体も切り裂かれる……


そんなこと了承なんか求めず、警察で勝手にやって黙ってくれればよかったのに………。

凄く最悪な気分だ…愛する妻と子供が切り裂かれるのを了承しなければならないなんて……。


僕は妻達が切り裂かれるのを了承をした。


霊安室から部屋を移り、警察から色々と聞かれ、いろんな手続きをし、そして妻達の遺体が見つかった時の状況を聞かされた。


妻が見つかった状況……



営業の合間に休憩しようと来た営業マン…


普段は人気の少ない夕方の桜山公園駐車場…


ドシャ降りの中で窓を開けたままの駐車車両…


気になった営業マンが覗いてみた…


車の助手席に子供が横たわっている……


後部座席には…裸の女が横たわっていた…





……発見された時の状況…聞かない方がよかった……


…妻は裸で発見された…


妻になにがあったか…最悪な想像が頭の中を駆け巡る……強姦……


…妻と子供を警察署に残し、家に帰る……誰もいない家に……。


家に着く頃には日付も変わっていた。そして…妻の誕生日は…妻と子供の命日になっていた……。



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