gut letzt Tag
笑えねぇ冗談。
君は気付いてくれるかな?
この傷つくことを恐れる心に。
同情は要らないと、
つっぱねた君は。
[笑えないくらい、最高な日]
外を見てみれば、これが冬晴れかー!というくらいの晴天。
笑えねぇ、って言っておきながら笑った俺を、君は笑うかな。
(だけどきっと歪んでたんだ、俺のそれは)
大事な初夢は君の夢。君がつれなさを隠してメールに答えてくれたから。
前は自惚れじゃなく両想いだったはずなのに、結局矢印は繋がらず向かい合ったまま。
だからまだ俺は君に好意を寄せてるの。
だけど新年早々物騒だ。あんな笑えない冗談かましてくるなんて。
この俺が倒れるなんて。
夢の中でも倒れた。咳き込んで、でも君に心配かけたくなくて、背を向けた。
けど君は見抜いたから、優しくしてくれたんだ。
「同情はいらない」って言ったの、君なのにね。
それがまさかね、現実になるとは思わなかったから。
まあ、君が優しくなることなんてないんだけど。こっちの君には伝わらないから。
(でもきっと俺のことだ、本当は伝わって欲しいんだろう)
目が見えなくなったらさ、君の顔が見れないね。
あんな別れ方するんじゃなかったって今更後悔してる。
だって二度と君を見れないのに、君の姿がぼやけているなんてね。
耳が聞こえなくなったらさ、君の照れた感情が分からなくなっちゃう。
語尾がすぼんでいく照れ方が、どうしようもなく愛しい。
君が俺の名前を恐々言ってくれるだけで幸せだったのに。
何で俺は今、こんなに泣きそうなんだろうか。
長い間見なかった思い出を、久々に開けたかんじ。
ねえ、俺はどうしちゃったんだろうか。
色んな事が走馬灯のように横切っていくから。
情けないけど涙が止まらない。
けど本当は泣けてない。最高に泣きそうに歪められたまま。
何度も寂しい時にそばにいてほしかった。無理なのは知ってたけど。
ただ抱き締めて、「このままでいさせて」って泣くことも出来なかったのかな。
強がってただけだから、誰かに見つけて欲しかったのに。
結局誰も知らないまま、永遠に俺だけが知ってることになる。
良いと思った。
自己犠牲は容易いと思った。
君の笑顔のためならね。
でもそれも同情になってしまったの?
君を傷付けてしまったの?
後ろ向いたままじゃ分からない、何も。
泣けねぇ、と笑った俺が君に何て言葉を残してあげられるかな。
あの人みたいに、同情でいいから好きになってなんて言わない。そこまで優しいキャラじゃない。
ここは、「笑って」しかないかな。
笑えねぇって言った奴が何言ってんだ、って話だけどね。
じゃあ何なら出来るんだって、きっと君を泣かすこと。
それしか出来ない。
最後だから、一回泣いて。そうすれば一生笑える。
もう笑っていいんだよ。
大丈夫、
俺も、笑えねぇ冗談だって、笑うから。
("良い最後の日")
※gut letzt Tag:ドイツ語。