五十四話 結婚だなんてもったいない!! 2
僕が予約投稿時間を間違えて投稿が遅れてしまいました事お詫び申し上げます。大変申し訳御座いませんでした(´-ω-`)
全く、俺とした事が……ヨルダは今外出中だという事をすっかり忘れていた。
これも落ち込んでいたせいだろうか?まあそれは分からないが、ひとまず報告は後にして部屋に戻るか。
いやでも、サブリナとエスピリカがいたら気不味いよな……何だか様子が変でもあったし。
などと考えた挙句身動きが取れず、俺が屋敷の廊下をウロウロとしていた所……
「ただいま帰……おや、アルスではないか、そこで何をしているのだ?」
何と好都合か。そこで偶然帰宅したヨルダと俺は鉢合わせるのだった。
「それで、集会所の奴らはどんな様子だった?」
「最初こそ疑いの目をしていたが、お前の名を出した途端に大人しくなったさ。心配ない、あれなら何も問題無く今回の件は処理されるだろう」
「そ、そうか……とにかく、ご苦労であったな」
「そういえばヨルダ、お前は何処に行ってたんだ?」
「ああそれか、実はな……」
「何!?」
ヨルダの自室に招かれ、報告も兼ねて会話する最中、俺はまたある事を知った。
それは何と、ヨルダ率いる視察団の正式な解散である。
そう、正式にだ。つまりは一時的にではなく永久になのだ。
何でも、視察団の最も大きな目的は、以前にも軽く話した通り『あの近辺を騒がせている賊や魔物の観測、発見。及び可能ならば討伐』だったそうで……つまり。
何となくは分かったかもしれないが、そう。それはドルガとシャルカーニュの事であり。
ドルガは当然として、シャルカーニュも無力化された今、視察団はその役目を終えたという訳なのである。
そして、ヨルダが外出していたのもこれが理由だそうだ……まあ、詰まる所。
俺は目まぐるしい程の発見をすると共に、その知り得たあらゆる物事が収束していったという事にも気付かされたという訳だな。
……何だか疲れすら感じてしまうが、でもまあ面倒事が全て終わったというのならば良しとしようか。
ちなみに、任務を完了させたヨルダは長期休暇を貰えるらしく。暫くの間は特になんの用事もなく、屋敷でのんびりと過ごせるのだと言う。
そうだ。だからこそ、今こうして彼女との余計なお喋りが可能なのだ……とはいえ。
せっかくの休暇だ。俺との駄弁りでそれを浪費するというのはちと憚られる。
という事で、俺はそろそろお暇させてもらうとしようか……勿論辞職するのではなく、退出するだけだぞ?
とにかく、そう思い俺は部屋を出て行こうとした……行こうとしたのだが。
「悪いがヨルダ、俺はそろそろ自室に戻るとするよ。せっかくの長期休暇だ。ゆっくりと身体を休めてくれ、では……」
「まあ待てアルス、もう少しくらい話しても良いじゃないか。それとも私と会話するのは嫌か?」
「?い、いや別に、そういう訳ではないが……」
「フフフ、そうだろう?なら暫くはこうしていようじゃないか。さあ、分かったら早く私の側に戻って来てくれ」
「あ、ああ……ではそうさせてもらおう」
何やら含みのあるような言い方をするヨルダに、それを止められてしまった。
何だろう、珍しいな。あのヨルダがまるで嫌味とも取れるような発言をするとは……そこまでして俺を引き留めたかったのだろうか?
まあ良い。言葉通り彼女と話したくないのでは決してないからな。
そして、俺は踵を返し再びヨルダの側に立った……しかし。
「それで、アルスよ。シャルカーニュの言っていたあの話は本当なのか?」
そうした直後に彼女の口を通し。再び例の話が俺の前へと立ちはだかるのであった……
ったく……またか。
というか、ここの女性陣達は何故そこまで〝あの話〟を気にしてるのだろうか?悪いがその点だけは全く理解出来ない。だって、あれ程説明したんだぞ?
「ヨ、ヨルダ、お前までか。お前までまだ俺を疑っているというのか……?全く、ユーデリアと言い、お前と言い。お前達には朝食の時散々説明しただろうに……」
そこでややうんざりとしながらも、俺が妹君の時と同じようにそう言うと。
何やら妙というか、不思議だというか……とにかく。ヨルダはこのような話を始めるのだった。
「……いや何、もし違うというのならば、悪い虫が付かんうちに話しておきたい事があってな」
「……?」
「私は、お前をずっと以前から心配していたんだ。お前がいなくなった事は今でも覚えている……そこまで話した訳でもないはずなのだが、何故だか妙に記憶が鮮明なんだ」
「……もしかして、それは俺がギルドを追放された時の話か?」
「あ、ああ、そうだ……すまないな。嫌な事を思い出させてしまったか……?」
「いや、昔の事だ、もう忘れたさ。それで?」
「ええと、だからな……だから、お前とカタンの村で再会した時は本当に嬉しかったんだ。
ずっとどうしているかと、謝りたいと、そう思っていたからな……あの時は色々とあって言えずじまいだったが。
アルス、今更だがそうさせて欲しい。
あの時は本当にすまなかった。お前を引き止めるには力不足だったこの私を、どうか許してはくれないだろうか……?」
「だから、気にしていないと言ったはずだ。というか、お前から謝られるのは初めてではないからな。もう充分というくらいさ」
「……良かった」
「な……お、お前、人に見られたらどうする」
「何、構わないさ。それに少しの間だけだ」
そこで何と、突然にもヨルダが俺に抱き付いてきた。
本当におかしな奴だな……今日は特にだ。でも、彼女は以前からその事を気にしていたようだし。それに加えて今回の件もあって態度がよりおかしくなったというのならばまあ分からんでもない。
というか……もしかすると、ヨルダが最近やたら俺を気に掛けていたのもそのせいだったのかもしれないな。
「……だが、私が本当にお前に伝えたかったのはここからだ。私から一つ提案なのだがな……その。竜でも、他の誰でもなく。
もしあれなら、わ、わ……私が。私が、お前の妻となっても、い、良いのだぞ……?」
……いや、やっぱり普通におかしいのかもしれない。
ヨルダはまた何を話し始めるかと思えば、何とユーデリアと似たような事を言い出したのだ……やはり姉妹という事、なのだろうか?
「ヨ、ヨルダ!?お前は一体何を……」
「な、何も気まぐれで言っている訳ではないさ。お前程の実力者ならばむしろ相応しいとすら言える。
フフフ、もし本当にそうとなれば私達は国すら自由に出来る程の力を持つかもしれんな……いや、すまない。
本当はこのような事が言いたかったのではないんだ。この胸にある蟠りは何だろうと、自問自答しているとな……そこには。
私を理解してくれて、頼りになる、私を守り抜いてくれた一人の男が浮かんできたというだけだ……分かるかアルス?
そ、それは……お前の…………だから、私はお前が……誰かのものになると…………言うのが、許せなくて…………」
「……ヨルダ?」
「……い、いや!!何でもない!!すまない、少し疲れているようだ!!少し外の空気を吸ってくる!!」
かと思えばヨルダは、今度はまた何やらもごもごとよく分からん事を言い終えると。
そのまま部屋を飛び出して行ってしまうのだった。それこそ、自身の妹のように。
「……やはり、彼女に休暇は必要だったようだな」
ちなみに。その後暫くしてもヨルダは帰らず、俺は仕方なく彼女の部屋を一人後にしたのだった。
次回、最終回です…!




