四十八話 ドラゴンだなんてもったいない!! 2
「何だと貴様!!そんな事が許されるはずないだろう!?お前は責任を果たさなければならないんだぞ!?分かっているのか!?」
彼女の同行、それを断った途端にシャルカーニュはまた怒り出してしまった。
とはいえ、先程からずっと威嚇されていたので最早恐怖の念は一切として無い。むしろ慣れ親しんだもののようにすら感じる。
……は、良いとして。
そうは言われても、無理なものは無理なのである。
「落ち着けシャルカーニュ、悪いがこっちにだって理由はあるん」
「なら話してみろ!!それが本当に私を納得させられるだけのものかどうか!!さあ言え、早く!!」
「……では、まず第一としてだが。そもそも俺は悪意や情欲などの理由でおま」
「じょ、じょ、情欲だと!?はしたない!!やっぱりお前はそういう目的で私を傷物にしたと言うのだな!?」
「落ち着け。してない。話はまだ終わってないぞ。ええと、それでだな……とにかく、俺は如何わしいような理由でそうした訳ではない。あれは仕方なか」
「故意かどうかが問題ではない!!私はお前の行いに対して責任を取れと……」
シャルカーニュの発言はもう少しガミガミブツブツと続けられるのだが、まともに聞いているとおかしくなりそうなので一度心という名の殻に閉じ籠り、遮断させてもらう。
はぁ、全くどうしたものか……というかコイツ、怒るとだいぶ食い気味かつ詰めてくるような話し方をするな。
正直、そういう論法は止めて欲しいのだが……俺は別に何も、罪を犯した訳でも無いというのに。
「というかだな。まずそもそもとして俺は人間なんだぞ?同種でも何でもないそのような者が、意図せずしてお前の秘部を見てしまったとて何がどうなるという事もないと俺はおも」
「私の話はまだ終わってないぞ!!ブツブツブツブツ……!!」
「だから、お前がそこまでする必要なんて何も」
「ガミガミガミガミ……!!」
「わ、分かった分かった!!じゃあその辺りの話はここまでにしよう!!その話は抜きにしろ、問題はまだ山積みなんだよ!!」
「……話してみろ」
「ああ、ではそうさせてもらうがな……次なる問題だが、俺は今雇われの身でな。
家も雇い主の膝下というか、まあ要するに仮の住まいなんだ……お前は賢い竜だ。そこまで言えば分かるだろう?」
「ま、まあ……そこに私を連れて行く事は出来ないと、そう言いたいのだろう?」
「その通りだ。だがそれだけじゃない。シャルカーニュよ、お前は自分自身が指名手配かつ、討伐対象の魔物だという事は知っているのか?」
「あ、ああ……おおよその事は風の噂に聞いている」
「……まあ、今のは俺の推測なんだが。しかし、お前は居場所を転々としていたなどとも言っていたようだし、まずそうと見て間違いないだろう。
だから、それを仮定として話を進めるがな……そんな魔物が街にいると知れれば、大変な事になってしまうのは目に見えている。それはお前にも分かるな?」
「う、うぅ……」
「そうと知った途端に民衆は大騒ぎし、一日と経たずに討伐隊やら冒険者やらがお前を倒しにやって来るだろう……それだけならばまだ良いが。
俺がお前を匿っていたと発覚すれば俺のいる屋敷にも被害が及ぶだろうし。それに何より、お前がその怪我で逃げ切れるとも思えん……と、まあこのくらいか。
どうだ?これで少しは分かってくれただろう?なあシャルカーニュ、悪い事は言わないから俺について来るのは止めておけ。
これはお前のためでもあるんだよ。俺は、俺と関わった事でもうお前に辛い思いをして欲しくないんだ。どうか分かってくれ」
「むむぅ……」
ふう……どうやら何とかなりそうだ。
なかなか厳しい戦い(?)だったが、どうにかここまで漕ぎ着けた、と言った所だろうか。
そうして諦めずに説得を続けるうち、シャルカーニュは段々と大人しくなり。また先程のような剣幕、捲し立てるような口調も影を潜めつつ……というか、殆ど見られなくなった。
これならば、あともうひと押しくらいでシャルカーニュも首を縦に振ってくれる事だろう。
良かった。これで一安心だな。
……そう、思っていた。
でも、ダメだったんだ。
だがしかし、それについての責任は彼女にはない。全て悪いのはこの俺だ。
そうだ。あまりにもしょんぼりとするシャルカーニュを見ているうち、次第にそんな彼女を不憫に思い始めた、俺のせいなのだ。
そこで冗談の一つでもと、あんな事さえ言わなければ……!!
「……なあシャルカーニュ。まあ、その、何だ。そ、そこまで悲しむ必要はないんじゃないか?
というか、どの道お前は体が大き過ぎるからな。土台無理な話だったんだよ。それではいくら隠れようが見つかるのはすぐだ。
まあ、敢えてその体を活かし、ショーでもやるとなればむしろ歓迎されたかもしれないけどな。でもそうなると、指名手配というのがやはり難点だな……
なら俺達二人で変装して、大道芸でもやるか?ハ、ハハハ、何て冗談……って。
お、おいシャルカーニュ?どうした?さっきから何かぼんやりとしているようだが……?」
それは上記のような、あまりにもしょうもないというか、苦し紛れが過ぎるというか、とにかく。
正確に言えば、冗談とも呼べぬようなものであったかもしれない。
だが、言ってしまったのだ。俺にとってその内容は些末な事でしかなかったが。
しかし、彼女にとってそれは。耳に届き、身に受けたその瞬間から希望の光へと姿を変えたのである。
そして、次にシャルカーニュが放った言葉はこのようなものであった。
「なら、私が小さければ全て丸く収まるのだな?」
「……え?」
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