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四十一話 お別れだなんてもったいない!! 2

「うっ!?……エスピリカ!!エスピリカ──!!」


エスピリカが突如引き起こした爆風。それによって俺は彼女と切り離され、壁に叩き付けられる事となった。


が……そこまでの痛みは無い。まあ、爆撃が来ると分かっていたのだし。それに何より、彼女の言う事は確かであったという事なのであろう。


だがしかし、それは俺達の基準、俺達の尺度での話であり。そんなものを見せつけられた他の者は唖然としていた。


そしてもう一つ。それは無生物であるが、俺が衝突したこの壁もだ。どうやらそれは、俺達にとっては想定内であるはずの攻撃を受け止め切れなかったらしく。


その身を瞬く間に亀裂で埋めると、数秒後にはガラガラと音を立てて崩れゆくのであった。


正直、対処などいくらでも出来た。すぐにその場を離れて難を逃れる事も出来ただろうし、錬成によって壁を補修する事さえ出来たとは思う。


けれども、そうした所で何になるか?この場に間も無く訪れるであろう混乱を俺は収められるのか?


それだけではない。ここで俺が動けばエスピリカの配慮が無駄になってしまう。


しかし、このままでは彼女が……などと言いつつも。


ああ何と意気地の無い事か、我ながら恥ずかしい。そこには何一つ行動に移せぬ自分がいたのだ。


そうして俺は身動きも取れぬまま、土砂に呑まれてゆく……


「お師匠様、やむを得ずとはいえアナタ様に手を上げ、アナタ様の前から再び姿を消すこのアタシをどうかお許し下さい……」


「エ、エスピリカ!?お前突然何を……」


「さあ!!よく聞け冒険者達よ!!アタシはたった今、最後の手駒であるゴーレムを破壊した!!


これでももう、打つ手なしだ!!降参だ!!そこの冒険者二人を傷付けた罰として憲兵の所でも処刑台の上でも、好きに連れて行くが良い!!


…………これで良い、これで良いのです。


さようならお師匠様。アナタ様はアタシのこの罪を共に背負うと仰いましたが……罰を受けるのは、アタシ一人で充分に御座います」


最後に聞いたのは、ヨルダの叫びにも似た声とエスピリカの謝罪、ただそれだけであった。




……案ずるな、俺はまだ生きているぞ。


確かに土塊つちくれとなりかけたが、別にやろうと思えばこんなものいつでも抜け出せるからな。


というか、まずそもそもとして抜け出す必要が無いし……それは何故かと言うと。


エスピリカの破壊した壁。実はあの裏側にも道があったようでな。だから俺は土砂に埋もれてはおらず、塗れてもおらず。


今現在ただそこに辿り着き、そこに座しているというだけであるのだ。つまりは抜け出すも何も、そのような状態にないという事だな。


だがそれにしても。まさかあれが新たなる道を開通させる程の衝撃であったとは思いもしなかった。


もしかすると、俺とエスピリカの感覚はズレているのかもしれないな……これぞまさしく、レベルが上がり過ぎた事による弊害と言った所だろうか。


というか、それで思い出したが。エスピリカが使ったアレは恐らく、あの『爆発するゴーレム』の一部だな……なるほど、だからすぐにエスピリカはあのような芸当が行えたという訳か。


……まあ良い、今はこれからどうすべきか考えるとしよう。


そうしてひとまず、俺は身体についた砂埃を払い除けた後に立ち上がった。


だがしかし、そうは言いつつも出来る事など何も無く。一応顎に手は当ててみたものの考えは一向に纏まらない。


まるで結束もなく、サラサラと流れ落ちるばかりのこの砂粒達のようだ……なんて、下らない事を言っている場合ではないとは俺自身、最もよく理解しているのだが。


「しかし、俺が今動けば……やはりここはエスピリカの言う通り、ほとぼりが冷めるまで大人しくしておいた方が良い、のか……?」


まあ、とにかくそういう訳だ。やはりと言うべきか、今の俺は身動きが取れないのだ。


という事で、俺はただ付近を彷徨うようにぶらぶらとしているしかなかった……すると。


最奥の側にあったこの道。つまりは俺のやって来たこの場所の更に奥から、恐らくは魔物のものであろう気配を感じた。




何故今まで気が付かなかったのだろう。事態が色々と複雑過ぎるあまりに気が動転していたのだろうか?それとも苦悩していたからか?


それは分からないが……とにかく。


その生物の呼吸は荒く、またぜいぜいと音のする喘鳴であり。尚且つ、それがいると思われる奥からは非常に濃い血の匂いが漂ってきていたのだ。むしろ気が付かぬ俺自身に驚かされるというものであろう。


ま、まあ良い。どう取り繕った所で察知出来なかった事には変わりないのだ。


今はまず、それが何なのかを確認しに行くとしよう。正直、俺個人としてはどうでも良いのだが、ソイツが暴れ出したりして皆を傷付けては困るからな。


そう決めた俺は、この道を更に奥へと進んで行った。


そうして歩き進めるうち、段々と分かってきた。


そこに魔物がいるのはまず間違いない。そして、ソイツの吐く息や鼻を鳴らすその音が非常に大きく、それは風のようにしてこちらへとやって来る程のものであるとも近付き始めてすぐに気付いた。


それと、むせ返るような鉄臭さも……恐らくだが、奥にいるのは大型の魔物の可能性が高く。


また血の匂いを垂れ流しているのだ。それが自身のものか、捕えた獲物のものかは定かでないが。しかし前者ならば好戦的、後者ならば捕食者側の生物であると容易に推察出来る。


つまり、我々人間にとって脅威には違いないのだ。


やはり倒しておくべきだろう。最悪、そこまでしなくとも、まあ時間稼ぎくらいはやっておいた方が良いだろうな。


ここからはそのような覚悟を決め、俺は更にその魔物へと近付いて行った……


それから暫くすると、遂に標的の姿が見えてきた。


俺は相手に悟られぬよう、今度は姿勢を低くして魔物に接近を試みる……はずだったのだが。


「ん?…………あ!?お、お前は!?」


驚きのあまり、声が漏れ出てしまうのを抑えられなかった。


だって、仕方ないだろう?何せ、そこにいたのは……


ドラゴン。ドラゴンではあるが。


その竜は以前戦った対『国崩し』第……二か三かは忘れたが、その部隊のリザードマン達のように。


肉体のあちらこちらを甲冑で武装した、巨大なドラゴン……という。


何処か、ではなく。とても見覚えのある姿をしていたのだから。

いいね、感想等受け付けておりますので頂けたらとても嬉しいです、もし気に入ったら…で全然構いませんので(´ー`)


投稿頻度はなるべく早めで、投稿し次第活動報告もしています、よろしくお願い致します。

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