序章
おーるぼん再始動です!(´∀`)どうかよろしくお願いします!
戦場を舞う矢羽達。礫の雨霰。
前進の最中、均一に、そして画一的に鳴らされる軍靴の音はそれ自体がまるで爆撃か何かのようだ。
……だが。
それら全て、俺一人のためにあるものだと考えれば何故だか心地良いとすら思えてくる。
しかし、だからといって討ち取られるつもりなど微塵も無い。
俺は駆けた。そして殴り、蹴り、また駆けた。
「ほ、報告します!!対『国崩し』第三部隊…………たった今。ぜ、全滅、しました……!!」
「な、何ィ!?馬鹿な事を言うな!!相手はたった一人なんだぞ!?しかも、奴はあの〝お得意の技〟を一度たりとも使っておらん!!
それは恐らくだが、戦闘中に奴は主力武器であるマジックバッグを失ったからだ!!むしろそんな状態で、戦闘など出来るはずが……」
「え、ええ……ですが……」
今度は魔物達を引き連れた部隊が俺の前に姿を現した。という事はつまり、魔物使い共のご登場というワケか。
新たなる敵は数百、そのうち魔物は数十。
魔物の方は全てが甲冑を身に付けた大蜥蜴のような姿形をしている。恐らくはリザードマンだろう。
それも、国から支給された防具を装備した、きちんと教育を受けたタイプの奴だな。
なるほど、少し厄介だ。いっその事、もう〝アレ〟を使ってしまうか……?
いやダメだ、今はまだその時じゃない!それに、あくまでも少し厄介というだけで別に俺の相手ではないんだ!
俺は懐に入れかけた手を既の所で止め、再び駆けた。
そしてまた殴り、蹴り、蹂躙し。鎧などまるで無かったかのようにして全てを破壊した。
「ほ、報告致します!!」
「今度は何だ!!言ってみろ!!」
「は、はい!!ええと、たった今目標と対『国崩し』第二部隊が接触致しました!!」
「おお!!そうか!!あの部隊には確か、優秀な魔物使い達とリザードマンを配置していたはずだ!!フフフ、あれが相手ならば、流石の『国崩し』も……」
「あ、いえ……ですが、その……」
「……?な、何だと言うんだ……?」
「せ、接触は、したのですが……す、すぐに全滅してしまったようです……」
「は、はぁ……??そ、そんな馬鹿な……ええい!!こうなればもう迷ってなどおれん!!おいお前!!」
「は、はいっ!!」
「私が行く!!お前はすぐに第一部隊に連絡せよ!!
すぐに出撃の準備をしろとな!!」
「え、えぇ!?で、ですがそれは危険過ぎます!!対『国崩し』第一部隊には補給が遅れているそうで……その、あの部隊にいるドラゴンが空腹のままでいるらしく今は凶暴で……ですので最悪の場合、閣下の身が」
「な……ふ、ふははは!!それはむしろ好都合というものだ!!おいお前!!気にせず命令通りにしろ!!
そしてこう伝えるのだ!!『補給など無くとも、数分後にはドラゴンの腹は必ずや満たされている事だろう。だから安心して出撃せよ』とな!!」
「は、はい!!承知しました!!」
大蜥蜴は全て俺の拳の下に沈み、それを見た魔物使い共は散り散りとなり逃げ出して行った。
そうして静寂、とまではいかないが周囲は落ち着きを取り戻してゆく。その中にいる俺もまた、呼吸を整え正常となりつつあった。
だがしかし、それは嵐の前の静けさに過ぎなかったようだ。
俺の目の前に、再び兵士共の軍勢が束となって押し寄せて来たのだからそれはすぐに分かった。
でも、それだけではなかった。その部隊は先程陥落させたあのリザードマンのように、肉体のあちらこちらを甲冑で武装した、巨大なドラゴンを引き連れていたのだ。
「よく聞け、『国崩し』ことアルス・アルキミアよ!!我が名はマークィス・マルキシオス侯爵!!お前を討ち取りにやって来た!!
対『国崩し』第一部隊と、このドラゴン、『従竜兵器シャルカーニュ』を引き連れてな!!」
何やら講釈を垂れている野郎がいるようだが、喧しい事この上無いので無視する。そんな事は見ればすぐに分かる。
「流石のお前でも、連戦の疲れも癒えぬ前にこのドラゴンを相手取って勝利を掴み取るなどという事は不可能だろう!!
それが分かったらさっさと降伏しろ!!
今ならばまだ楽に殺してやらん事もないぞ!!」
が……まあ、今度の話にはまだ同意出来る。とは言っても、『半分くらい』ではあるが。
確かに、今の俺には連戦の疲労がこれでもかとのし掛かって来ている。しかもその上、今の今まで肉体を酷使し続けてきたのだ。それまでもが疲労を訴えるべく悲鳴を上げるのは時間の問題だろう。
…………じゃあ、〝アレ〟を使うしかないのか?
でも、それは……いやでも、今は非常事態なんだし……ええい、畜生!!
俺は顔を歪め、苦しみに悶えながらも。
遂に懐へと手を伸ばした……
「畜生……畜生ォオオオオ!!」
「さあ行け、シャルカーニュ!!『国崩し』を討ち取って見せよ!!」
俺の叫びを聞き、竜が前に出る……そう。
それこそが、最終決戦の火蓋を切ったのだ。
後にマークィス・マルキシオス侯爵は語った。
「畜生……畜生ォオオオオ!!」
ドラゴンを前にした『国崩し』のあの叫び。当初、あれは恐怖と絶望より発せられたものだと思っていた。
だが、そうではなかったのだ。
直後に発せられた、『国崩し』の言葉と。
その数秒後、倒れゆくドラゴンを見、彼はそれを直感したそうだ。
「……雷鳥の羽×3、宇宙の石×1」
「ん?何をワケの分からない事を」
「これさえあれば、そんな奴一撃で倒せる……でもな、でもなぁ!!
これを手に入れるのに、俺がどれだけ苦労したか……なのに使えば最後、失くなっちまう……そうだ、またわざわざ集めに回らないといけなくなるんだ……その辛さがお前に分かるか!?なあ!?分かるのか!?」
「……!?」
「いいや、分からないだろうなぁ……ああ、畜生!!畜生!!もったいないもったいないもったいない!!」
「お、お前……まさか」
「畜生!!ああもったいない!!本当にもったいない!!でも、ここで使わないといけなくなった……お前のせいでなぁ!!」
「マジックバックを紛失したのではなく……」
「ならせめて、存分に味わいやがれ!!さあ喰らいな!!『一撃必殺・雷石の礫』!!」
「『素材が勿体無い』という、ただそれだけの理由で、今までその身一つで戦っていたと言うのか……!?」
侯爵は辛くも戦場からの生還を果たしたが、最早『国崩し』に抗おうと言う気力すらも削り取られてしまったようだ。
彼はベッドの中でそれだけを告げると、いつまでも、いつまでも毛布にくるまりブルブルと震え続けていたと言う。
そして、これは余談だが。
「……ああ畜生!!ったくその通りだよ!!
俺は今までずっと苦労して集めてきた、マジックバックの中の素材を消費するのが一番嫌いなんだよ!!」
たったの一撃にして対『国崩し』第一部隊と、それに付き従うドラゴンを打ち倒して見せた国崩しと呼ばれるその男、アルス・アルキミアは。
そのような捨て台詞を吐くと、すぐにその場を立ち去ったそうだ……
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