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貴族の次男として入学したら、社交部に囲われました  作者: 仮眠


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13話 もう一度

ーー誰も、踏み込めない


 翌日。

 社交部は、開かれなかった。


 アルトリアは、いつも通り登校した。

 制服も、態度も、変わらない。


 ただーー

 誰とも、目を合わせなかった。


 双子は、冗談を言えずにいる。

 セリウスは、必要以上に距離を取る。

 フィオレは、何も言わず、ただ隣にいる。


 噂は、もう回っていた。


「ーー社交部、なくなるらしいよ」

「レオンハルト様が抜けたんだって」


 だが、直接触れる者はいない。


 昼休み。

 中庭の端。


 アルトリアは、一人で座っていた。


(ーーやっぱり)

(こうなる)


 誰も悪くない。

 誰も、責められない。


 だからこそ、居心地が悪くなる。


(期待しないでほしい)

(でも、消えたいわけじゃない)


 矛盾した思考が、胸を締めつける。


 そのとき。


「ーーここにいたか」


 聞き慣れた声。


 レオンハルトだった。


 彼は、いつもの距離で立ち止まる。

 近づかない。

 逃げもしない。


「昨日は」

「ーーすまなかった」


 それだけ言う。


 言い訳も、続きもない。


 アルトリアは、しばらく黙っていたが、ぽつりと返す。


「ーー信じた私が、馬鹿でした」


 冷たい言葉。

 だが、彼は怯まない。


「そうかもしれない」

「でも」


 一度、言葉を探してから。


「それでも」

「僕は、君を一人にしたくない」


 “守る”とは言わない。

 “約束”もしない。


 ただ、今の意思だけ。


 アルトリアは、初めて顔を上げる。


「ーー離れても?」


「離れても」


「戻らなくても?」


「戻れるように、考える」

「あの日の言葉を嘘にはしない。僕は戻ってくる。必ず」


 完全な答えじゃない。

 でも、逃げてもいない。


 アルトリアは、ほんの少しだけ、息を吐いた。


(ーー一度はいなくなったと思った)

(まだ、戻ってきてはいない)


 それでも。


(もう一度、信じてもいいのかもしれない)


 そうーー思えた。

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