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閑話 「守る」以外の言葉①
社交部の準備をしながら、
レオンハルトは何度も、言葉を飲み込んでいた。
(守る)
(支える)
(助ける)
どれも、違う。
どれも、彼女が一歩引いてしまう言葉だ。
アルトリアは、弱くない。
誰かに庇われることを、望んでいない。
それでも。
無理をする姿を、見過ごせない。
悩んだ末、彼は言った。
「ーー一緒にやってもいいか」
それだけだった。
アルトリアが顔を上げる。
「一人で抱えたっていい」
「君がやることは、変わらないと思う」
「でもーー隣には、いさせてほしい」
少し、不器用な言葉。
守る、と言わなかった。
代わりに、選択肢を残した。
アルトリアは、しばらく考えてから、頷いた。
「ーー分かりました」
拒絶でも、依存でもない。
その中間。
レオンハルトは、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じた。




