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神眼の鍛冶師は素材の魂(こえ)が聞こえる ~俺は素材をプロデュースする~  作者: サンキュー@よろしく


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第65話:奇跡のハーモニーと『P』の煩悩(挿絵あり)

67話の完結まであと少し!


生成AIで画像を作ってみました。

この話数から自動で作っただけなので、本文や他の画像との矛盾はご容赦ください。

 ゼノンの最終形態が放つ絶望のオーラに対し、俺たち第零工房の五つの魂は、聖剣アスカロンを中心に一つの完璧な和音を奏で始めた。それは、ただ力が合わさっただけのものではない。それぞれの魂が持つ固有の周波数が、互いを打ち消すことなく、むしろ高め合うことで生まれる奇跡の現象、『建設的干渉』。物理学では、同じ位相の波が重なると振幅が増大するが、まさにそれの魂バージョンだ。


「見ろ、ゼノン! これが、俺のプロデュースした、最高のアイドルユニットの、本当の輝きだ!」


 俺が叫ぶと、アスカロンの刀身から、五色の光が螺旋を描きながら絡み合い、一本の巨大な光の槍となってゼノンへと放たれた。それは物理的な破壊力を持つと同時に、ゼノンの魂の哲学――『統合』と『支配』の概念そのものを否定する、純粋な『調和』の波動だった。


「ぐ…おおおおおおっ!?」


 光の槍が直撃し、ゼノンの異形の鎧がガラスのように砕け散る。それと同時に、彼の脳内に、俺たち五人の、それぞれの魂の『歌』が流れ込んだ。

 アルドの不屈の闘志。ハンナの守りたいという慈愛。セレスティーナの未知を探求する知的好奇心。アスカロンのマスターへの絶対的な信頼。そして、俺の…俺の、純粋な煩悩が。


「な…なんだ、この不協和音は…! 個々の魂が、それぞれの欲望を叫んでいるだけではないか! これのどこに、調和があるというのだ!」


 ゼノンの精神が、彼の理想とは真逆の、混沌とした魂の奔流に晒され、激しく揺さぶられる。


「…ちげえねえ…最高の、ハーモニーだ…」


 だが、俺の体も限界だった。五人の魂を束ねるという無茶なプロデュースは、俺の精神力を根こそぎ奪っていく。朦朧とする意識の中、俺は無意識に、自分のプロデューサーとしての、偽らざる本心を口走っていた。


「俺は…ただ…最高の女のタレントたちに囲まれて…その…けしからんボディを…心ゆくまでプロデュースして…幸せなハーレムを築きたかっただけなんだ…!」


 俺の、あまりにも俗っぽく、純粋な欲望に満ちた絶叫。

 その魂の叫びは、戦場にいた全ての者たちに、それぞれの解釈で届いた。


 まず、仲間たち。

 ハンナ:「(ハーレム…! フィン君が本当に築きたかったのは、みんなが自分らしく輝ける、争いのない平和な世界…! なんて素敵な夢なの!)」

 アルド:「(へっ、工房長らしいぜ。最高のつわものたちを集めて、最強の軍団を作りたかったってことか!)」

 セレスティーナ:「(は、はーれむ…!? わ、私みたいな者も、その中に入れてもらえるのでしょうか…!? は、破廉恥ですぅ!)」

 アスカロン:「(なんですって!? 私という本妻がいながら、まだ他の女を囲うつもりなの!? この浮気者マスター!)」


 次に、戦況を見守る者たち。

 ベアトリス:「(やはり! やはりそうだったのね! 全ての女性を自らの支配下に置く『ハーレム』の形成こそが、この魔人の真の目的だった! なんて邪悪で、そしてスケールの大きな野望なの!)」

 セバスチャン:「(ほう。工房長の仰る『ハーレム』とは、古代の王が築いたという、多種多様な文化や才能が集う理想郷のことですかな。実に、あなたらしい壮大なビジョンですな)」

 王国軍の将軍たち:「(はーれむ…! 圧政に苦しむ帝国領の民を解放し、我らが王国の慈愛の下に、新たな楽園を築くという、高潔なる宣言であらせられるぞ!)」


 そして、最大の敵、ゼノン。


「…はーれむ、だと…?」


 彼の『魂魄の魔眼』には、フィンの魂の奥底にある、あまりにも純粋で、一点の曇りもない『煩悩』の輝きが視えていた。そこには、支配欲も、征服欲もない。ただ、美しいものを愛で、その輝きを最大限に引き出したいという、芸術家にも似た、狂気的なまでの情熱だけがあった。


「個々の魂が、欲望のままに存在する混沌を望むというのか、フィン・アッシュフォージ! そのような世界に、真の平和など訪れるものか! 愚かな!」


 だが、ゼノンの否定の言葉とは裏腹に、フィンのあまりにも人間臭い欲望の輝きは、彼の築き上げてきた完璧な『統合』の理論に、致命的な亀裂を生じさせていた。


「俺の…俺の理想が…こんな、下劣な感情に…!」


「下劣で結構!」


 俺は、最後の力を振り絞って叫んだ。


「その下らなくて、愛おしい煩悩こそが、人間を人間たらしめる、最高の『個性』なんだよ!」


 俺の魂の絶叫が、最後の引き金となった。五色の光は、ゼノンの心の隙間へと流れ込み、彼の異形の鎧を、内側から完全に粉砕した。

 その瞬間、俺の懐の奥、そしてアレスの核として埋め込まれていた『呪いの破片』が、フィンの愛と煩悩の波動、そしてゼノンの『統合』という強烈な哲学の衝突を受け、激しく明滅を繰り返した。禍々しい紫黒の輝きは次第に薄れ、清らかな白い光へと変質していく。魂魄石の持つ、魂を強引に引き出す力は、『魂を浄化し、その本質的な輝きを取り戻す』という、本来の役割へと覚醒したのだ。



挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
アスカロンさん、自らを「本妻」って言っているってことは、ハンナやセレス(もしかしたらベアトリスも?)のことを側室として認めているのか…??(笑) それとも他の剣への浮気を心配しているんだろうか。その…
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