表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神眼の鍛冶師は素材の魂(こえ)が聞こえる ~俺は素材をプロデュースする~  作者: サンキュー@よろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/67

第16話:街道の異変と騎士団の影

王都への旅は、順調に進んでいた。…最初の数日は。

街道を半分ほど進んだあたりから、俺は森の様子に、微かな違和感を覚え始めていた。


「なあ、ハンナ。なんだか、鳥の声が少なくないか?」


「言われてみれば…それに、なんだか空気がピリピリするような…」


俺の『魂魄の瞳』には、道端の草木や石ころから、怯えや不安に満ちた、か細い魂のオーラが立ち上っているのが視えた。何かが、この地域の生態系を脅かしている。


『マスター、感じるわ。不浄で、貪欲な魂の気配が、この空を支配しようとしている』


背中のアスカロンが、警告を発する。


その時だった。

街道の先から、数人の商人たちが、血相を変えてこちらへ逃げてきた。


「ひいぃ!化け物だ!」


「空から、緑の雨が…!」


彼らとすれ違い、前方を見やると、そこには信じがたい光景が広がっていた。

地面のあちこちが、まるで強酸で溶かされたかのように、ジュクジュクと泡立っている。そして、上空には、巨大な翼を持つ爬虫類型の魔物――ワイバーンが、悠々と旋回していた。


「やべえ…!なんでこんな街道沿いに…!」


本来、ワイバーンは単独で行動することが多いはずだ。だが、よく見ると、その周囲には数体の小型の飛竜が付き従うように飛んでいる。まるで、群れを率いるリーダーのようだ。


「フィン君、あれ…!」


ハンナが指さす先、ワイバーンの首元に、何か黒ずんだ首輪のようなものが嵌っているのが見えた。


『あれよ、マスター!あの首輪が、ワイバーンの魂を無理やり支配し、凶暴化させている!帝国の兵器と同じ、魂を奴隷にする邪悪な魔術よ!』


なるほど、合点がいった。これは、隣国ガルガン帝国による、一種の威力偵察か、あるいは生物兵器の実験なのかもしれない。


「ハンナ、伏せろ!」


ワイバーンが、俺たちを獲物と定め、急降下してくる。

口から吐き出された緑色の毒液ブレスを、俺たちは紙一重でかわした。


「くそっ、このままじゃジリ貧だ!」


『マスター!マスター!私を!私を使って!』


背中のアスカロンが、脳内で必死に叫んでいる。


(分かってる!だが、公爵に届ける前に、ここで使うわけには…!)


しかし、ワイバーンはそんな俺の事情などお構いなしだ。


「…くそっ、仕方ねえ!」


俺は覚悟を決め、アスカロンを布の包みから解き放った。


「ごめんな、アスカロン!いきなり実戦投入だ!」


『望むところよ!さあ、早くあなたのそのたくましい腕で、私を握りしめて!』


「いくぜ、アスカロン!俺たちの初陣だ!」


俺はアスカロンを天に掲げ、ありったけの魔力を注ぎ込む!

アスカロンの刀身は、太陽のように眩い光を放ち始めた。


「喰らえええええええッ!」


俺がアスカロンを振り下ろすと、その切っ先から光の刃が射出され、一直線にワイバーンへと向かう。


「グオッ!?」


光の刃は、ワイバーンの右翼の付け根を、正確に貫いた!


「ギイイイイイイイイイアアアアアアッッッ!!」


断末魔の悲鳴を上げ、ワイバーンは錐揉みしながら地面へと墜落していく。

その瞬間を見計らったかのように、地響きと共に、十数騎の騎馬部隊が街道の向こうから現れた。先頭を駆けるのは、白銀の鎧に身を包んだ、凛々しい女性騎士だ。


「ワイバーン出現の報は受けていたが…これは…」


女性騎士――ベアトリス・フォン・ルミナスは、墜落したワイバーンと、光り輝く聖剣を構える俺を見て、絶句した。


(父上の報告にあった『聖剣に選ばれし者』…本当に、一人でワイバーンを…!?)


彼女の驚きは、しかし、次の瞬間、深い疑念へと変わる。


(いや、待て。あの男、なぜ聖剣を持っている?あれは我が家の宝。なぜ、公爵家でもない、ただの村の鍛冶師が…?まさか、父上を騙して聖剣を奪ったのか?あるいは、聖剣そのものが、この男に魅入られてしまったとでも言うのか…?)


彼女の冷徹な瞳が、俺という未知の存在を、最大の警戒対象として捉えた瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ