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2-4 遊園地編・幻の記憶

翔は歩き続けながらも、心の中に深い悲しみと絶望が渦巻いていた。しかし、どうしても美咲を諦めることはできなかった。彼は急いで美咲の元に戻り、再び彼女に話しかけた。


「待ってくれよ、美咲。俺の話を信じてくれよ!」翔は必死に叫んだ。


しかし、美咲の表情は冷たく、目には怒りが宿っていた。「うるさい!!!!」


次の瞬間、美咲は翔を強く蹴り飛ばした。翔は不意を突かれて地面に倒れ込み、痛みで顔を歪めた。


「この際だから言うけど、あなたそのものの人格が変わってしまいそうだから言えなかった。でも、もう我慢の限界よ。」美咲は冷酷な声で続けた。「あなたは昔から、現実離れした出来事を話すけども、それは全部妄想なの。」


翔はショックで言葉を失いながら、美咲の言葉に耳を傾けた。「妄想…?」


「そう。あなたの話は全部妄想なの。さっき見てたっていう蓮っていう人も私には見えなかった。」美咲の声は冷たく、容赦なかった。


「蓮が見えなかった…?でも、俺には確かに彼が見えたんだ。」翔は混乱し、再び頭を抱えた。


「もうやめて。あなたがそんな話を続ける限り、私たちは一緒にいられない。」美咲は厳しい口調で言い放ち、背を向けた。


翔は必死に立ち上がり、再び美咲に手を伸ばした。「お願いだ、美咲。俺を信じてくれ。」


しかし、美咲は冷たく振り返り、「もう二度と私に話しかけないで」とだけ言い残して、その場を去っていった。


翔はその場に立ち尽くし、心の中で何かが崩れ落ちるのを感じた。信じていた友人が自分を妄想者扱いし、完全に突き放したことに、彼の心は深く傷ついた。


「俺は…一体どうすればいいんだ…」翔は呟きながら、夜の遊園地の静けさに包まれた。


蓮の言葉、美咲の言葉、そして自分の力に関する混乱。全てが彼の心に重くのしかかり、彼は再び孤独と戦うことを余儀なくされた。


翔は遊園地の静けさの中で一人歩き続けた。美咲の冷たい言葉と彼女の突然の変貌が頭から離れず、心の中で何度も反芻していた。


「もしかして…美咲も俺の妄想が生み出した空想上の人物なのか?」翔は自問自答しながら、立ち止まった。


彼はこれまでの思い出を振り返り、美咲との数々の出来事が本当に現実だったのかを疑い始めた。幼少期の思い出、学校での時間、そして一緒に過ごした楽しい瞬間。それらが全て虚構である可能性があると考えると、翔の心はさらに混乱した。


「でも、そんなことが本当にあり得るのか?」翔は頭を抱え、地面に座り込んだ。美咲との関係が全て幻だったとしたら、彼は一体何を信じればいいのか分からなくなった。


「現実と夢の境界が曖昧になっている…全てが壊れていく感じだ。」翔は呟き、目を閉じた。


彼の中で美咲が現実であるかどうかを確かめる手段はなかった。しかし、心の奥底では、彼女との関係が真実であってほしいと願っていた。


「もう何もわからない…何を信じればいいんだ…」翔は叫び声を上げ、拳を地面に叩きつけた。


その瞬間、彼の中で何かが弾けた。再び強烈な頭痛が襲い、視界が歪んだ。ホテルでの出来事がフラッシュバックのように現れ、翔の心を掻き乱した。


「俺は…もうどうでもいい…」翔は自暴自棄になり、全てを投げ出すように叫んだ。


体中に強烈な力がみなぎり、翔は再び覚醒した。意識が遠のき、彼は無意識の中で暴れ始めた。光と闇が交錯し、彼の周囲には破壊のエネルギーが渦巻いていた。


やがて、翔は意識を取り戻した。冷たい地面に横たわりながら、目を開けると、目の前には惨劇が広がっていた。遊園地の人々が無惨に殺されていたのだ。


「まさか…これも俺が…?」翔は震える手で自分の顔を押さえた。


「ホテルの時と同じだ…」翔は呟きながら、全身が震えるのを感じた。「俺が…全部やったのか…?」


彼の中で恐怖と絶望が一気に押し寄せ、心の中で全てが崩れ落ちていった。覚醒した力は制御不能であり、彼自身が破壊の源となっていることを理解した瞬間、翔は深い闇に飲み込まれた。


翔はその場に崩れ落ち、泣き叫んだ。「俺は…一体何なんだ…!」


遊園地の静けさの中で、翔の叫び声だけが響き渡った。


--- 第2章 完 ---

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