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ぷちラブコメ 2
久志は春野のことが好きだった。何よりも本当に楽しそうによく笑うところが堪らなく好きだった。「何がどう、どこがどう」だかはわからない。わからないが、それがもの凄くチャーミングなものにしか久志の眼には映らなかった。そこがとっかかりとなり、今では春野のキャラクターにも、ルックスには改めて、知れば知るほど惹かれていった。気が付けば、潮花春野を探し、彼女の姿を追うようになっていた。
「相変わらず熱血なんだね。春野さんって」
「荒木君が元気がないんだよ」
「そりゃ、これだけ肘鉄ばかりくらっていたら、少しはヘコむし、そんなに元気一杯って訳にもいかないよ」
「私だって散々門前払いされているよ。でも、がんばんなきゃ。いつだって前向きでいかなきゃダメだよ」
(…何を慰められてんだかな)
「おかしなことになってるな」と、我ながら微笑ましく感じながら、久志はコーヒーカップを揺らしている。
「最近、何だかまた物騒なことになってきたよ。何週間か前みたいに。『それこそ一寸先は……』みたいな感じで。不安じゃないの? もしかしたら、明日には何もかもが無意味になるかもしれないんだよ」
春野はこたえた。
「かもしれないね。でも、そんなこと不安がってたら何にも出来ないよ。だって、未来のことなんて誰にもわからないでしょ? 色々なものがごちゃごちゃが出てくる前だって、突然の事故や事件、予想もつかない災害とかに見舞われる可能性はあったわけでしょ? ハ〇シンア〇ジ大震災や地下鉄サ〇ン事件なんて誰が予想出来た? 兎に角、その日一日一日、ベストを尽くすしかないんじゃないかな」
「そっか。そうだよね。俺って根性ないんだな」
「そうだよ。気合いが足りないんだよ。気合いが」
そう言って春野はニッコリと笑った。久志の大好きな笑顔だった。すぐ横に座っていたら、背中をポンと叩いてくれたことだろう。
久志はニコッと笑ってしまいそうになるのを抑えながら、訊いてみることにした。
「あのさあ…」
そういいつつ、一端視線を外してから、久志は単刀直入に切り出した。
「人型白色発光体って何だと思う?」
もう少し続く




