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gift  作者: 荒馬宗海
78/107

8-6

見も知らぬ

ヤンキーに

ガンつけらけて

絡まれて、

「寝ぼけたこといってんじゃねえ! どこに鳥なんていやがる!」

「だから向こうの…」

 今度は小柄なリーゼントが声を荒げてまくし立てる。

「そんなこたぁ知るか。てめえみてえな奴は死ぬしかねえんだよ。俺たちゃ逮捕されたってどってこたあねえし、ポリなんざ恐かねえ。眼じゃねぇんだよ。死刑にでも何でもしやがれってんだ。そんなもんは全然恐かねえ。俺たちになめたことしやがる奴ぁぶっ殺すんだよ。ポリなんざこれっぽっちも恐かねえんだよ」

(オーバーだなあ)

前後に揺さぶられながらも、この時の久志は不思議なほど冷静だった。

(何かマ〇ジンに出てきそうなヤンキーだな。主人公の正義の不良じゃない方の。しかも何だかザコっぽい。こんな如何にも『ヤンキーでござい』なんてわかりやすくて派手な恰好したヤンキーこの辺にもいるもんなんだ。毒があるから「俺なんか食べると死ぬぞ」っていう印なんだよな。ド派手な色と模様の昆虫っていうのは。ああゆう虫の中にはただの擬態で本当は毒なんかない奴もいっぱいいるらしいけど。喰われたかぁないからそういうふうなんだよな)

 今のこの状態を久志は「くだらない。めんどくさい」と感じている。

「どうだっていいじゃない。そんなこと」

他人事のような言葉がこぼれていた。

「この野郎、またすっとぼけたことぬかしやがって。俺たちゃ、ポリなんざ恐かねえし、速攻ぶっ潰すんだよ。俺たちゃ死刑になったってビビりゃしねえんだよ」

 茶髪リーゼントは唾を飛び散らかし、さらに強く久志を締め上げて揺する。

(オーバーだなあ。この種の人間の間じゃ、こういう口上が流行りなのか? 元ネタは十中八九少年誌の人気ヤンキー漫画あたりなんだろうけど。カッコイイと思ってパクッてんだろうな。それに死刑になったらビビりようがないと思うよ。もう死んじゃっているわけだから)

 久志は相変わらず冷め切っている。

 大柄なピアスだらけのスキンヘッドが久志の髪を鷲掴みにして引き摺った。

「ちっとツラかせ。このボケ。いっぺん死ねや」

 それまで無言だったもう一人のリーゼントも痰をペッと吐くとポキポキと指をならしながら仲間の後に続いた。


囲まれて…、

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