6-3
〈ち、違う! 正当防衛だ。俺は殺そうなんて思ってなかった! そ、それに先に手を出してきたのはあいつの方じゃないか!〉
〈なるほど、そういうことか〉
〈何勝手に合点してやがる!〉
〈我々には敵であれ味方であれ、彼我の力量をおおよそ正確に把握する能力が備わっているのだが、ロエイにとっての不幸は賊を討ち果たした直後だったのだろう。消え去った敵と入れ替わるように別の何者かが現れたことだった。彼はこれまでにない感覚を感じたことだろう。“光の主” たる君に。しかし彼は本能的に感じた違和感を次元の異なる力だとは認めなかった。その時、“光”の封印は解かれ、開放されてしまった。それは追われる者の、追い詰められた敵の最後の悪足掻きだった。彼には殆どない可能性に賭ける他はなかった。あれと融合することによって、“破壊の神”とさえ予言される戦闘力を獲得する以外、ロエイを退け得る手段などなかった。しかし、所詮、彼もまた“才能”を宿す者などではなかった。“客人”にあらざる者の必然として一瞬の閃光とともに滅せられた。通常ならばそれで終りの筈だった。解き放たれた“光”は主たる存在を見出すことなく、身のほど知らずの解放者を滅ぼし、帰るべき場所に戻るは筈であった。何故ならば、これまではそれ以外なかったのだから。誰一人として“光”と融合し得た者などいなかったのだから。そう解釈するのが妥当だった。ところがあの時、“光”は君を見出した。君を選んだ。まさかこのような辺境宙域に“光”を統べる才能が存在していようとは。しかも、客人が封印を解いた者ですらないとは。ロエイは夢にも思わなかったであろう。無理もないことだが。彼は突如として出現した未知の存在をどうやら救援にやって来た敵の新手と見なしたようだ。故に君に攻撃を加えた。あとは君の言う通りのことが起こったのだろう。“光”は主を守るべく反応した〉
〈そ、そうさ。そうしろって何かがいって、それで体が勝手に反応して……。突然、俺の中に何かが、得体の知れない何かが、いきなり湧いて出て、無理やりそうさせたんだ〉
後ろめたいことをした後のいい訳のように久志の口数は多くなっていた。
〈解らなかったんだ! 知らなかったんだ! 自分の全身が突然白く光ってて、何がなんだか解らないうちに眼の前には怪物がいて、そいつがいきなり火の球を吐いていきて……。そんな訳の解らないことがいきなり起こったら、何が何だ解かるわけないじゃないか!〉
〈それで殺したと〉
〈仕方がないじゃないか!〉
開き直るしかなかった。
〈なるほど。最初に“光の主”となったのは君の意志ではなかったようだ。しかし、君が“光”と化したのはその一度きりではない。二度目からは自らの意志によって“光の主”たる実力を示した〉
声は淡々と久志がしたことの真実を述べる。
〈初めて君が自らの意思によって“光”を纏って殺したのは我々にとっては敵でも味方でもなかった。“光”を奪った者とそれを追う者。そのどちらの陣営にも属さない、というより、組みするだけの力量を持たない第三者だった〉
〈第三者?〉




