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一人はこの国の最高学府を経て“省庁の中の省庁”へ。もう一人は私学の最高峰を経てこの国最大の総合商社へ。
「それでね、上のお兄ちゃんはまだ独身なんだけど、下の子は『結婚したい』なんいっちゃってるのよ。すっかり騙されちゃっていてね。酷い話なのよ。一流商社の女なんて、あざとくて、ミナト区に住んでて、パパ活してて、パリピっていう人種で、化粧の仕方とブランド品のことくらいしか知らなくて、どうやったら良い男を捕まえることが出来るかしか頭にないのよ。絶っ対そうよ。そうに違いないわ。脳みその代わりにプリンかババロアでも詰まっているんじゃないかしら」
「はあ、そういうもんなんですかね」
(いくらなんでもそれはさすがに極端だろ。一流商社の女性、皆が皆、そんなふうじゃないだろ。男勝りでワーカホリックのバリバリのキャリアウーマンだっていると思うぞ。もちろん、このおばさんがいっているようなのもいるとは思うけど。そういう人種というのは、性格は兎も角、少なくとも見てくれは美人なんだよな。これ見よがしに超高価そうなブランド品ばかりで着飾ってて下品なくらいに派手だけど、ああいうのがスタンダードなパリピなんだろうな。なんか特攻服着てイキっている暴走族に通じるものを感じないではいられないんだけど。ミナト区女子の「全部おごりでミ〇ュランの星つきレストラン余裕で全部コンプリート」なんてインタビューどこかで見たことあるけど、コンプの姉さんも何か品がなかったな。あそこの界隈はずーとバブルなんだろうな)
「そんな女子とは一生接点はないだろうな」と思う。わかりやすいハイスペしか狙わない人種が久志のいる明後日の方向などは見向きもしないだろうから。
(もう必死なんだろうな。さぞかしシビアなこったろうよ。お目当ての人気銘柄をくわえこんで、無事にあくまで向こうからプロポーズさせるのは)
「まったくヒドい話よね。ねえ、そう思わない? そう思うでしょ? 本っ当にヒドい話なのよ」
「はあ。まあ」
(女子アナみたいなのイメージすりゃいいのか? 若い頃は、「蝶よ花よ」とちやほやされるのが当たり前で、目立ちたがり屋の出たがりで、自己顕示欲の塊で、ミス○○大学だったり、ミスコンあらしの常連だったりもして。ピチピチに翳りが出る頃――きっちりと三十前にはちゃっかり結婚してるし。しかも、それなり以上の物件――プロ野球選手とか、IT社長とか、医者とか――としっかりゴールインしてるもんな。打算が達者だよな。ああいう類の人種は。「忙しくて出会いが限られている」っていうけどさ、あいつらが出会うヤツらって、本当にそんなのばっかなのか? 本当にそんな好物件しかいないのか? そんな女子アナはごく一部で表に出ているところだけっていうけどさ、そもそも女子アナっていうのはメディアに露出するのが前提なんだから、ごく一部じゃなくて全部表に出ちゃっていると思うんだけど。プライベートがガラス張りってとこまでいっていなくたって、どんな職業の相手と御結婚したかなんて程度の情報は出ちゃうもんでしょ。みんな。全員。お仕事柄。その上で「三十路前にはちゃっかりと、それなり以上の物件」と結婚しているってイメージしかないんだよな。ホント、何か生き方がいやらしい。要するに女子アナって、局抱えのアイドルなわけだし)
なんだか世襲政治家を連想させるものがある。彼らが地盤とか看板とか鞄とかを受け継いだ上で、一般家系から政治家を志す者よりも遥かに恵まれた条件から議員生活をスタートさせるのと類似しているような気がする。




