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gift  作者: 荒馬宗海
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 大沢太郎

現大蔵大臣。現政権与党である民主自由党を代表する大物政治家。ニッポン人なら大抵の人はその名を知っているだろう。由緒正しい血筋を誇る大富豪であり、華麗なる政治家一族の現当主である。

「あの人と私、知り合いなんだけど、とっても良い人よ」

「はあ。そうなんですか」

(あいつは、ずーっと前から国会に蔓延ってて、ずーっと前からいかにも大物って感じで、ずーっとすっげー偉そうにしてるぞ。民自なんて昔っから一人勝ちで、与党じゃなかったことなんかねえし、あいつはずーっとそこのほぼ中心で当たり前のようにでんとしてやがるぞ。そんなポジションにいる奴がちょっとばかりずれてど真ん中に移ったところで――国のトップに立ったところで、政治が変わるわけねえじゃねえか。これまでにあいつが国民のためにいったい何をしてくれた? やろうと思えばいろいろと、やれないことなんてなかったろうに。不況がずっと続いてて、こんなド不況になっちまってるっていうのに、未だにやっていることっていったら、てめらの権力を強化して、貧乏人と金持ちの格差を広げているくらいのもんじゃねえか。金持ちが金持ちをもっと金持ちにする政治をやって、「一般人はそこから溢れてくる恩恵――お零れに与っていれば豊かになれる」って。ずいぶん上から目線なこったな。要は、「お前ら貧乏人にも超高級なシャンパンというものを味わわせてやろう。ウエディングケーキみたいなバカ高いシャンパンタワー作って、てっぺんからバカ高いシャンパン注いでやるから、お前ら貧乏人はタワーから零れて絨毯でシミになったやつを這い蹲って舐めるがいい」ってことだろ? まったくナメてやがる。ずいぶん上から目線なこったな。やつらから見たトリクルダウンなんてそんな気分だろ? あいつらのお仲間の中に貧乏人なんていやしねえんだから、庶民感覚なんてもん微塵だってあるわけねえじゃねえか。そんなもん解かりゃしねえし、解かろうとすらしねえだろ。どうにかならんもんなのか? あいつらの所謂ナガタチョウ感覚ってやつは。料亭三昧でコンビニのおにぎりなんて満足に喰えりゃしねえんじゃねえのか? 選挙になる度に『庶民メシ食べてます』アピールする奴いるけど、それで親近感持って投票する奴なんていると思ってんのか? 国民バカにし過ぎだろ。大体トリクルダウンなんてもんは他の国がとっくにやっているし、何ならその結果どうなるかまでとっくに分かっているじゃねえか。それなのに今さらそんなものを持ち込んで、得意気になってるってどういうつもりだ? ニッポンならうまくいくとでも思ってんのか? 何を根拠にしたらそんなふうに考えられんだ? それでもって一番偉い奴じゃなったか? あのバカ総理。「一般的なアルバイトやパートの月収が手取りで二十五万は貰ってる」なんてふざけたことほざきやがって。それって時給いくらだよ。何やったらそんなに貰えるんだよ。確かF(国)だかどっかの新聞の記事になっていたぞ。「世間とはかけ離れた金銭感覚の持ち主」だって。その辺のバイトやパートがそんなに潤ってりゃ、ご自慢の景気対策なんてもん必要がねえってことすらわかってねえときてやがる。ガチのクルクルパーじゃねえか。大体あっちこっちからいろいろな数字を引っ張り出してきて、頻りに「景気は良くなっている」「景気は着実に良くなっている」アピールしているけど、一番大事な指標は「国民が豊かさを実感出来ているかどうか」なんじゃねえのか? 今のところあいつらが持ち出している数字ってのは確実にそんなんじゃねえだろ。ニュースとか新聞とか就活の絡みでそこそこ見てるつもりだけど、「いやー、最近生活がビックリするぐらい豊かになっちゃって」なんぞとぬかしてるおめでたい一般人になんぞとんとお目にかかったこたぁねえぞ。むしろ、「生活は苦しくなっている」「厳しいから何とかしてくれ」っていうのばっかりだぞ。それこそが、この国の現実なんじゃねえのか?)


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