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gift  作者: 荒馬宗海
105/107

12-1

ラストバトル開演。


   12


 久志の登場を待っていたかのように一隻の宇宙船がノーアフテスイデ宇宙域に出現した。

(内部に生命体反応が十一)

 そのうちの一つに劇的な変化が見られた。

(“光”!)

 臨戦体勢に入った久志の眼の前にそれは降臨した。

「ようこそ。堕天使よ」

 久志の眼の前に立ちはだかったのは、他を平伏させずにはおかない、圧倒的な存在感と美、神々しいまでのオーラとも呼ぶべきものを纏った、十二枚の翼を持つ黄金の天使――天使長ナデイズであった。

「私は天使の名誉をかけて君に一対一の決闘を所望する」

 久志は無言で光線を発しようとしたが、その直前に懐に潜り込まれ、どてっ腹にパンチを喰らっていた。それはとてつもなく重い一撃だった。それは変身した久志が初めて経験する苦痛であった。そして同時に、「これまでと全く違う」という認識とともに、「今、間違いなく、俺は命のやりとりをしている」という現実を、改めて痛感させられずにはいられなかった。

(“光の主”たる真の力を発揮しなければやられる!)

「うああああああああっ!」

 振り回した拳は宙を切った。

 十二枚の翼を持つ天使長と翼を持たぬ堕天使との決闘――墜天使は天使長に一方的に圧倒され続けた。これまでに味わったことのない強烈な攻撃が絶え間なく、あらゆる方向から久志を貫く。テレポーテーションでかわそうにも、光線を撃とうにも、敵はそうするだけの僅かな隙すら与えてはくれない。

「くそ!」

 今、久志はこれまでにない劣勢に立たされていた。

(おそらく、敵は光の撃ち合いでは勝てないから、肉弾戦に持ち込んでいるのではないか?)

 それでも気が付けば、冷静にナデイズの戦闘プランを推し量っている自分がいる。

(今の闘い方を継続すれば、俺を倒せると踏んでいるのか?)

“内なる声”はこたえる。

〈現在繰り返されているような攻撃では一撃が致命傷となることはない。かと言って、敵の打撃はこれまでになく強烈なものであることもまた事実だ。こちらのダメージが皆無だとは言い難い〉

(相手も同じ“光”ではある。しかも、全くためないで放った光では消滅させられないレベルの。だが、ただためさせないだけでは勝てないことくらいは解っている筈だ。全く勝算のない闘いを挑んでいるとは思えない。ならば、敵の狙いはこのまま幾許かのダメージを蓄積させてゆくことで、俺を崩壊させるつもりか? だとすれば、それなりの手数を……)

「そうか! そういうことか!」


続く。


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