日間ランキングは、必ず徐々に入れ替わるようにできているという話
魂込めた自分の作品が幸運にもランキングに乗ったら、それはもう嬉しいですよね。
できるだけ居残って、日間ブーストを受けてポイントを伸ばし、どんどん色んな人に読まれてほしい、そう思うのが普通でしょう。
ところが、そんな期待とは裏腹に、好調だったポイントは伸び悩んでいく。
順位も徐々に落ちる。新しい作品がランキングに入ってくる。
みんなもうこの作品には飽きてしまったのかな。どうせみんな次の流行りに飛びついたんだ。薄情者め。
――と、そんなふうに思ってしまうこともあるでしょう。
ところが、そういうわけではありません。
ランキングの仕組みを考えれば当然わかることなのです。
日間ランキングは、その集計時刻の直前24時間に得られたポイントで判定されています。
ポイントはどうやったら入るかご存知ですよね。そう、ブックマークか、評価を受けた時です。
重要なのは、これらは、読者一人につき、基本的には一作品に一回までしかできないということです。
ポイントの入り方は、次の三通りしか存在しません。
1、まだブックマークをしていない読者が、新たにブックマークをしてくれる。
2、まだ評価をしていない読者が、新たに評価をしてくれる。
3、既に評価をした読者が、前よりもいい評価をしてくれる。(※)
※ 感想欄でご指摘いただいたのですが、3の場合は累計ポイントは増えるものの、その増加分は日間などの集計基準には入らないようです。あくまでランキングのことだけを考えると、徐々に評価を増やすより最初から最大で付けてくれる方がよいということですね。
つまり、すごく特殊な状況を除いて考えれば、新たな人に読まれない限り、ポイントは増えないのです。
そして日間ランキングは、このポイントの「増え」が、24時間以内に発生しているものだけを集計しています。
「増え」が続かないと、ランキングを上がるどころか維持することすらできないのです。
ものすごく極端な話をすると、この地球上の全人類があなたの作品に最大評価をつけてしまえば、その作品は次の日間ランキングからは、必ず入らなくなるのです。
なぜなら、もうそれ以上ポイントが増えないから。
現実的に言えば、あなたの作品がリーチしうる範囲にいる、あなたの作品を好んでくれる可能性のあるおよそ全ての人に作品が行き渡った時。
その次の日からは、日間入りはなくなることになります。
ですがそれは、その作品が飽きられたということになるのでしょうか?
違いますよね。
既にポイントを入れてくれた(これ以上ポイントでは貢献できない)無数の読者たちは、引き続き更新を待ち望み、その作品を応援していると思います。
作品の受け取られ方のフェーズが、別次元に変わったと言うのがいいでしょう。
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ランキングの上り方というのは、だいたい以下のように進むはずです。
作品が投稿されると、まず作者の知り合いや、作者を追いかけている人、それから新着を掘っている読者層などによって、最初のポイントが入ります。
そのポイントによってジャンル別の日間ランキングの下の方とかに入ります。
それを見てくれた人によって、二段階目のポイントが入ります。
それによってランキングの順位が上がります。
順位が上がったことで新たな読者にリーチします。そしてその読者がポイントをくれます。
この繰り返し。
ところが総合日間ランキングの五位以内に入ると話はだいぶ変わってきます。
総合日間5位以内はランキングページを開くと必ず目につくことから俗に表紙と呼ばれているのですが、ここまで来ると、なろうのほぼ全てのアクティブユーザーは、その作品タイトルを目に入れたことになります。
もちろん、読者が毎日表紙を見ているわけではないから、まだ数日のうちは、新しくその作品に気付く人もいるでしょう。
しかし、それでも数日経てば、「その作品が元々届きうる全ての人に、その作品が届いた」という状態がやってきます。
ここで、その作品は成長フェーズから、持続フェーズに変わるのです。
持続フェーズとは、もうそれ以上ポイントの伸びは期待できないが、気に入ってくれた読者のために精一杯作品を続けていく段階のことです。
もちろん、ランキングには週間や月間などのより長い集計期間のものもあります。
日間よりそちらを信頼して読む作品を決めている読者もいますから、そちら側からの流入でポイントが伸びることもあります。
超人気作であれば、そうやってまだまだランキングに居座れるかもしれません。
しかし、それらも結局は同じ。
その作品の成長フェーズにあたる時期がそれぞれのランキングの集計範囲を超えると、もうそのランキングには入らなくなります。
例外なのは、累計ランキングだけです。
累計に乗れるような作品には、こんな話は無意味でしょうね。
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一度表紙に入った作品は、必ずそのあと伸び悩みます。
そして、順位が落ち、後書きで読者に訴えかけているのを昔からよく見かけますね。
ですが、上記の構造を踏まえた場合、既存読者への呼びかけはほぼ無意味なのではないでしょうか。
むしろその構造を踏まえると、逆によく三日も四日も保っていられるな、とびっくりします。
その三日か四日の間、新しい読者を入れ続けた、ということなのですから。
ランキング順位を維持するのに重要なのは、既存読者ではなく、新規層へのリーチです。
もし順位を維持し続けたいのであれば、そこを意識した戦略を立てる必要があります。SNSでリポストしてもらうとか。
(あるいは、評価を入れる時期を血液型とかでわけて、分散してもらう?一度入れた評価を取り消して、数日経ってからまた入れてもらう?(←追記:これはランキング上は意味がないようです)変な案は色々思いつきますが、どれもグレーですね)
ですが、それも一瞬の引き伸ばしにしかならない気がします。
素直にその作品が持続フェーズへと変わったことを認め、今読んでくれる読者に感謝をしながら大切に書き続けていくしかないのではないかな、と私は思います。
一回だけ姉妹サイトで日間1位をとったことのある、いち底辺作者からの与太話でした。