検査はドカンの前に
上空から眺め目算でフロルド達のテントから2キロ程度先。そこに沼はあった。
たどり着くには、10匹ほどの魔物をたおす必要があるようだ。
すべて先ほど倒した鹿の化け物と同一の種類の様だ。
私は、魔物に対しては今回は魔法で狙撃をすることに決めた。
また血みどろになるのはごめんだった。
「はいズドン!ズドーン!」
おざなりになった口上を呟きながら、鹿を焼いていく。
数分で片付くと、地上から撤退が始まった合図があった。
私は地面に降りると、フロルドの身体を抱き上げた。
するとフロルドは顔を真っ赤にする。
「いやおねーさん何すんの」
私はそのまま小脇にフロルドを抱えた。
「このまま飛んでく。 サラも捕まって」
サラは嫌そうな顔をするが、早く帰りたいのだろう不承不承といった感じで空いた左腕に捕まる。固い鎧が少し痛かった。
私は二人がしっかり捕まったのを確認すると、空へと羽ばたいた。
沼の上空には数分でたどり着いた。
しかし……、
「瘴気がひどいね。 降りて大丈夫? 息つらいよ?」
「この魔道具を使ってください。 浄化の魔法が掛かっています」
そういってフロルドは、カンテラのような四角い装置を取り出す。
それを起動するといくらか臭いがマシになった。
その装置には、龍脈浄化作戦の職人たちのサインが入っている。どうやら、彼らの作で中々使えるようだ。
私は沼の端に降り立つ。地面はぐずぐずと沈み。不快な感触がある。
「これは酷い。 木々も根腐れしていますね」
口元を押さえながらサラが云う。
それに対してフロルドは、地面をゆっくりと目線でなぞっていた。
私はその動きに違和感を感じフロルドに聞いてみた。
「もしかして、地脈が見えるのですか?」
「地脈? よくわかんないけど、地面に線が見えるんだ。でも。沼の先だけ途切れている」
どうやら当たりの様だ。この子は地脈が見える。どうやら、彼は龍脈浄化作戦に必要な人材なようだ。
そのことにうれしくなり、私は彼を抱きしめた。
「君のおかげで話が早く進みそうだよ! ありがとう!」
その奇行にばたばたと暴れるフロルド、そして腰の剣を抜きジト目で首筋に当てるサラだったのだ。