龍脈浄化作戦 その1
集まった職人や技術者は、みな頑固一徹といった印象だ。
とても従順といった感じではなかった。
私は不安に思いながらも、彼らの輪に加わる。
「えっと皆さん。本日はお集りいただいてありがとうございます。 これから穢れの沼の予防と対策についてお話します!」
「おう! 始めてくれねーちゃん!」
髭もじゃのガタイのいい年寄りの職人が、合いの手を入れる。
どうやら、この年寄りが皆のリーダーの様だ。
「まず、あの沼の原因は地脈の凝り、詰まりが根本的な問題になります。 それを解きほぐせれば、あのように沼となることはありません。 解きほぐすのは簡単。 地面を掘り起こしてやればいい。人手はいりますが、特別な技術は必要ないです」
「ほー、だがそれをどうやって見つけるんだい?」
「まずはそれを見つける道具を作ります。 魔力の流れを感知する装置です」
「つまりおれたちゃそれを作るために腕と知恵を貸せってことかい?」
「話がはやくて助かるわ。その通りよ」
「うーん確かに、それなら手伝うのはやぶさかじゃねーが……。 沼の定説とは随分違う話で正直困惑してる。 あんたは沼を地脈が原因というが、おれたちゃその地脈がなにかわからねぇ。 それと沼は大気のマナが集まってできた物ってのが常識だ。 あんたの話は常識が根本的に違うんだ」
どうやら私の話は理解はできるが、常識と照らし合わせるとかなり突飛な説らしい。
まずは面倒だがこの辺りを説明する必要がありそうだ。
「わかった説明するから森に移動しましょう。 あとだれか大きな水槽を用意できない?」
「水槽? んなもんなにに使うんだ?」
「実験よ。 多分壊れるから三つぐらい用意してもらえるかしら?」
「まぁいいだろう。 森っていうのは大門の前でいいのか?」
「ええ。大丈夫」
「じゃあ、すぐにわけぇのに用意させるから先にいっててくれ」
すると一度、この場は解散となった。
私は就けられた侍女のマリアンヌを供に、街の大門へと向かった。
まずは一安心。内容は突飛で疑い深いという印象は持たれているようだが、そこまで頭ごなしに否定する気は職人たちにはないらしい。
私は先に大門につくと、職人の到着を待ったのだった。