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ズドン系からガテン系へ

「おそらく、都市の結界があるせいでしょう」


グナーデ王子は己の推論を話してくれた。


「数千年前の聖女が作り出した結界は都市内に沼が発生しない様にするために作られたと聞いています。 古の技術を用いて作られた結界は未だに破られることなく存在していますが、ヒジリ様のお話を聞く限り人の悪意ある感情がなければ、あの穢れた沼は発生しない。そして結界内は発生する兆候すらない。ならば、都市結界内の悪感情はどこにいったのか? という話になりますよね?」


「それがこの世界の沼の正体ってことですね」


「ヒジリ様はこの件については、工事で改善するとお考えなんですよね? 聖女の浄化についてはどう思っていますか?」


「まず実際に見てみないと……」


「それはそうですね……。聖女候補の一人をあなたにつけてもよろしいですか? 未熟とは言えまったく浄化が出来ないという訳ではありません。 なにかのお役に立つかと」


(何を考えているの? ただの興味本位って訳ではなさそうだけど……)


「その聖女候補の方は、三人の内だれがいらっしゃるんですか?」


腑に落ちない気持ちを顔に出さない様に私は疑問を口にする。

正直私としては平穏無事に過ごして、早く帰りたいのだ。

ピリピリとした空気の中暮らしたくないだけだ。

帰還方法を探そうにも、国が平和でないと何が起こるかわからない。

この状況が続くのは単純にのぞましくないのだ。


「平民の娘でしょうね。 動かせるのは」


(ん? だれでもいいのか?)


王子の口ぶりは聖女候補ならだれでもいいような口ぶりだ。

真意が掴めない。

一旦ここでは答えは保留した方がよさそうだ。


「それではよろしくお願いします。 人員はいつ頃集まりますか?」


「三日もあればなんとか、従順で口が固いものを選びます」


私はにこりと微笑む。


「お心遣い感謝します。 ではそれまで城外での住む場所もご用意いただけますか? ふつうの空き家で構いません」


「いえ王城内にご用意もできますよ?」


「生憎下賤の身なので、そのお気持ちだけでいただきます」


私ははっきりと城内への滞在を断る。

監視されているようで落ち着かないのだ。

王子は渋い顔をしている。腹黒いところもあるようだが、まだ若い。


「では、明日早い時間に移動できるようにお願いいたします」


私は頭をさげそそくさとダイニングをでた。

どうやら私は何かの謀略の駒として見られているらしいことはわかった。

しかし全容が見えない。


――そこから三日。

王子はあの晩の話を忠実に実行してくれた。

どうやら、私に強権を使う気はないらしい。それだけで信用はできないが、全面的に敵対する気はないらしい。

用意された屋敷の前には、ずらりと職人といった人物たちが並んでいた。

足りない人員がいたら、逐一報告してほしいとは言われたが当分は賄えそうだ。


まずは龍脈のルートと、龍脈を測定する道具。これがあれば、事前に沼ができやすい場所がわかるだろう。

私は早速職人たちと相談を開始した。

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