表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
834/1070

第803話 爆弾魔すぐ死ぬ

 

「ガハハハハハ!強くなった俺様の爆弾を前には、お前は手も足も出ねぇよ!」

「手ではなく翼だけどな」

「どっちにしろ出ねぇから、どっちでもいい!俺様の爆弾を前に死ねぇ!」


 月光徒に属しているギャロットは、俺の方へ爆弾を投げてくる。

 その爆弾は、追尾してくるではなく俺が現在いるところへ向かって移動してくるだけだけれども、爆弾が爆発した時に、その爆風が広範囲に拡がるために、結構面倒な相手になっていたのだった。


 ギャロットに対して、攻撃するタイミングを見極めるけれでもあまり適切なタイミングを掴めないのだった。

 ギャロットごときに時間をかけてはいけないから、すぐに倒さなければならない。


「ったく、チョコマカ動く野郎だぜッ!」

 ギャロットはそう口にしながら、ポンポン俺に爆弾を投げ込んでくる。もちろん、絶大な威力を誇る爆弾であるから「ポンポン」などという擬音とはあまり似合っていない。


 ───と、俺は投げられる爆弾を見て9の世界から同じく『チーム一鶴』として行動していたホリーネスのことを思い出す。


 ホリーネスも、ギャロットと同じように爆発を武器にしていた。そう、爆弾ではなく爆発だ。

 というのも、ホリーネスが使用していたのは爆弾ではなく、自分の血液であった。自らの血液を接種して、それを爆発させていたのだった。

『凄惨な爆弾魔』───などという異名を付けられているのだが、ホリーネスは優しい人物だった。


「───なんだか、懐かしい思い出だな」

 ホリーネスが死亡してしまったのは、15の世界だ。今から、約1年前の話になる。

 時の流れというものは実に早いものだ。


「───って、感慨に浸っている場合じゃない。浸っていたらシヌワヨ───ってとこだな」

「何言ってんだ?1人で」

「気に知るな。かつての仲間を思い出していただけだ」


 俺は、そう口にして爆発覚悟でギャロットの方へ移動する。

「おいおい、俺がまさか気を抜いた風にでも見えたのか?」

 俺に対して、ニヤリと笑みを浮かべてそう口にするギャロット。そして、俺に大量の爆弾を投げてくる。


 そして、その爆弾は一斉に俺の方へ迫ってきて爆発し───


「『冷凍』」

 俺は『冷凍』を発動する。そして、爆弾を全て凍らせたのだった。


 ───そう、俺の『冷凍』は近付いたもの全てを凍らせる能力。


 だから、爆弾を凍らせてその効力を無くすことだって可能だ。

「───ッ!クッソがッ!」


 そのまま、俺はギャロットの方へと迫り『破壊』を使用し───




「お前なら、どうするッ!」


 ───ようとした矢先、見当違いの方向にギャロットは爆弾を投げる。


 その爆弾は、俺がいる方向とは真反対。俺に背中を見せて、後方に爆弾を投げる。その方向にいたのは───


「一般人だと?!」

 ギャロットが爆弾を投げたのは、屋敷の他の建物がある方向だった。そちらにいたのは、普通の通行人であった。きっと、俺達の戦闘が始まって動けずに、そこに取り残されてしまったのだろう。


 これまで、一般人が戦いに乱入してくることも関わってくることもなかったから、全く気にしていなかったのだけれども、ギャロットはその一般人に気付いていたようだった。


 これはきっと、戦闘に慣れている俺と慣れていないギャロットの差であろう。

「な、なんだと───」

「助けてやれよ。爆発して、死んじまうぜ?」

「───ッ!」


 きっと、こんな真似ができるのはギャロットが市民を守るべき立場である25の世界の少数精鋭である『妖精物語(フェアリーテイル)』ではなく、あくまで派遣された月光徒であるからだろう。

妖精物語(フェアリーテイル)』と違って、市民に対して如何なる感情をも抱いてないのである。


「お前───人間じゃねぇ!」

「あぁ、俺様は人間ではない。俺様は、エルフだぜ!」

 ギャロットは、そう口にする。そして、ガハハハと豪快に笑っていた。


 俺は、一般市民に怪我をさせるわけにはいかなかったから、急いで浮遊して爆弾の方へ移動する。そして、爆発する寸前に『破壊』することに成功した。


「大丈夫ですか?」

「あ、あ、あっと...えっと...助けてくださり、ありがとう───ッ!」

 死ぬ直前だったのか、言葉が不自由なその一般市民が、再度顔を青ざめさせる。そして、すぐに後ろを振り向いた。そこに迫っていたのは数十個の爆弾だった。


「───ッ!『冷凍』!」

 俺は、すぐさま『冷凍』を発動してその爆弾を無力化する。


「クッソ!これすらも防ぐのかよッ!」

「どれだけ死線を乗り越えてきたと思ってる。数え切れないほど越えてんだよ。お前と違ってな」

「───あ?」


 その一般市民は、走って逃げていくことを確認した後に、ギャロットの方へ迫っていく。

 もう、これ以上一般市民に手出しはさせない。俺が戦うのは、月光徒などの敵対組織だけだ。


「くらえや、俺の特大爆弾!」

 俺の方へ、投げてくるのはボウリングの球くらいの大きさをしている爆弾だった。ギャロットの爆弾は、その大きさから俺のところまでは届かなかった。だけど、俺の進行経路にあったから、そこを狙っているのだろう。


 もし、この爆弾を迂回したらギャロットに逃げられてしまう。だから、俺は───


「爆発ゥゥ!!」


 ”ドォォォン”


 俺が、爆弾の上を通ろうとした時に、その特大爆弾は爆発する。そしてそのまま、俺は巻き込まれ───


 ───るその刹那、俺は『冷凍』を使用して、俺の周囲の空気を凍らせて氷の防護壁を作る。


 そしてそのまま、ギャロットの方へと迫り───


「───おい、マジかよッ!」

「終わりだ、ギャロット。『破壊』ッ!」


 ”バキバキッ”


「───がはッ」

 ギャロットは、俺の『破壊』に再度敗れたのだった。だが、まだ意識を失っているだけかもしれない。

 だから、今度こそギャロットを殺し、この世から1人でも月光徒を減らす。


「トドメは忘れん。さよなら、『破壊』」


 ”バキバキッ”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ