表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
827/1070

第796話 フサインの導き

 

 長時間戦闘を行ったのにも関わらず、『六曜』の『先勝』であるローディーの放った『第一指弾(ハンドスパナー)』の流れ弾にその体を撃たれて死亡したのは、『妖精物語(フェアリーテイル)』の『偽』であるフェイクであった。


 フェイクの持っていた『命辛辛』は、攻撃する意思のある攻撃は当たらない───というものであったが、ローディーの放った銃弾は流れ弾になってしまったため、そこに攻撃する意思など無かったようだ。


「全く、俺の努力はなんだってんだ...って話だ...」

 投げやりにそう口にするのは、先程までフェイクと戦っていたフサインであった。

 彼は、大きくため息を付き、大地の壁を疲れた体を奮い立たせて登った。そこには───


「ガープ様!」

 フサインの視界に入ったのは、幼馴染であり昔から付き従っている人物───ガープであった。

 フサインは、対して頭が良くないので天才のガープに案を聴いては、それに付き従っていた。


 だから、フサインは政治的思想が無くとも「ガープがノースタンを選んだ」のだからノースタンが正しいと、考えて、自らもノースタンに属することになったのだ。


「フサイン、勝利したのか?」

「えぇ、まぁ...人に誇れるような勝利の仕方ではないですが、ちゃんと勝ちました」

「だが、勝ったのだろう?なのであれば、ご苦労だった」

「ありがたきお言葉!」

 そう口にして、フサインはその場に跪く。


「ところで、だ。この戦闘の始まりはどんなものだった?」

「この戦闘の始まり───ですか。最初は、『妖精物語(フェアリーテイル)』が3人来ただけでした。そこでファンと名乗る人物には勝利しました。その時、ヒストリカを名乗る人物がガープ様のお姿に変身して、『受動型転移』という知らない能力を使ったんです」

「それはだな...すまない。私が隠していた」

「え?!ガープ様、能力は持ってないはずじゃ?!」

「すまん、嘘だ」

「嘘...」


 フサインは、自らが信頼されていないから嘘を付かれたのか───などと、その心を痛めた。

「フサイン、お前を信頼していないから能力を教えなかったんじゃない。教えてしまっては、それに頼られてしまうから話していなかったんだ」

「───そう...なんですか?」

「あぁ、だがもうバレてしまったからには使う他ない。次からは積極的に、贅沢に使わせてもらうよ」

 ガープは、そんなことを口にする。きっと、話さなかったということはガープなりの考えがあったのだろうし、ここに『六曜』を呼び寄せるために『受動型転移』を使用したのも何か考えあってのことだろう。


 それで、続きは?まだ『妖精物語(フェアリーテイル)』が登場したところまでしか聞いていないぞ」

「『妖精物語(フェアリーテイル)』が登場して窮地に陥った時、『チーム一鶴』が現れました。これは『受動型転移』ではない、俺も知らない能力です」

「はぁ?人が急に現れるだと?そんなわけあるらん」

「あるらん───って言われても、本当なんです!」

「まぁ、フサインのことを疑っているわけではない。信じることにしよう」

「ガープさん、ゾンビの発生源をフサインなら知ってるんじゃないですか?」

「それは、そうだな」

 イブの助言に、ガープは納得する。


「ガープ、『六曜』の他のメンバーにドイツがゾンビを発生させる能力を持っているのか教えてやれ!」

「は、はい!───って、『六曜』の他のメンバーも来てるんですか?」

「私が『受動型転移』で呼んだ!」


 ───そんなこんなで、フサインも最前線まで移動する。


 そして、フサインは『妖精物語(フェアリーテイル)』の多くいる後方でゾンビを発生させる能力『死屍四肢(ライライララバイ)』を持つ人物───スロープを発見したのである。


「皆!ゾンビ発生の能力を持っているのはアイツだ!」

 フサインの指を指す方向を、『六曜』は一斉に見る。


「バレたんかーい...」

 スロープはそう口にして、逃げようとするも───


「逃がすものかッ!『羅針盤・マシンガン』!」

 その言葉と同時、オルバはスロープを追うように駆け出して『羅針盤・マシンガン』を発動する。


 フサインの導きを、オルバは無駄にせずに攻撃したのだった。

「───うがっ」

 スロープは、銃弾に背中を穿たれてその場に倒れる。それと同時に───


「俺様の刃の栄養となれやッ!」

「ここで死ぬのがスロープらしいぜ...」

「心を人間にして殺しなければな...」

「スロープの仇は僕が討つ♪」

「戦争万歳!戦争万歳!」

「ぶっころ」


 ───オルバに襲いかかるのは、多種多様な6人の『妖精物語(フェアリーテイル)』のメンバー。


「───ッ!マジかよッ!」

 オルバが、その攻撃に対して対応しようとするが全ては間に合わない。オルバは『妖精物語(フェアリーテイル)』の一斉攻撃に斃れ───




 ───ることはない。


「させっかよッ!」

「オルバちゃんは私が守るわ♡」

「・・・」

「死にたいけれど死なせはしない...」

「ここで死なせちゃえば、ママに涙を見せちまいそうだ!」

「神は言っている、ここで死ぬ運命でないと」


 オルバを攻撃から守ったのは『六曜』の6人。それぞれの能力や得意分野でオルバを守りきったのだった。

「───クッソ!皆、撤退するっすよ!リーダーの言葉は絶対よ!わかったって聴いてんだオッラーン☆」


「別にアンタはリーダーじゃないがな!撤退に関しては同意だ!今回は、仲間が死にすぎた!」

 そう口にして、『妖精物語(フェアリーテイル)』のメンバーはその場からトンズラする。


「───はぁ...はぁ...終わった...のか?」

 そこに残されていたのは、スロープの死体だけであった。



 ───これにて、なんとか『妖精物語(フェアリーテイル)』を追い返すことに成功したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ