第71話 財布泥棒
「試験のクリア...おめでとうございます!」
ショウガ達は歓迎される。ショウガ達が現れたところにはたくさんの人がいて、ショウガ達を歓迎してくれる。周りにはビルのような建物がたくさん建っている。ショウガ達は初めて見る高さだ。
「うへぇ...建物が...高い...」
「圧巻だ...」
「おぉ!ここが5の世界か!」
ユウヤが後ろを振り向くと、そこには知らないチームがゾロゾロと出てきた。ショウガ達に着いてきて一緒に入ったのだ。
「とりあえず...進んでみようぜ?」
「あぁ...そうだな...邪魔になる...」
ショウガ達は進む。リューガはリカの手の上でまだ意識を失っていた。
「ようこそ!5の世界ミラグロへ!」
そんな言葉があちこちから飛び回る。横断幕にも同じ言葉が書かれている。
「泊まるところは決まってますか?決まっていないのなら、こちらのホテルをオススメにしております!」
「1万ボンでお荷物お持ちしますよ!」
「昼食を食べたい人はここの店を提案するよ!美味しいよ!」
「演奏聞いてかない?」
「焼き餅1本1000ボンだよ!食べてかないか?」
「バクシーシ!バクシーシ!」
「バクシーシ!バクシーシ!」
様々な客引きがショウガ達の前に現れた。
「みんな気をつけろ...荷物を盗られる可能性がある...」
カゲユキがみんな忠告する。だが、遅かった。
「え...あ!私の財布が!」
「あ...俺もだ!」
「我のもない!」
ショウガはリカの荷物を確認する。
「あ、リカのもないぞ!」
「え...じゃあ...俺も...」
トモキとカゲユキの財布だけは残っていた。カゲユキはきちんと盗人対策をしていたから。トモキは無一文に見られていたから盗られなかった。残ったのは2人の代金の合計である、300万ボンであった。内訳は、カゲユキが270万ボンで、トモキが30万ボンである。1万ボンで1000円ほどだ。
「金が...ない...」
圧倒的金欠に押しやられてしまった。
「おい!どうするんだよ!」
「盗られてしまったものを探すのは不可能に近い...それこそ、こんな人混みじゃなきゃ、見つけるのは簡単だったかもしれないがな...」
「じゃあ、盗られたままなのか?」
「あぁ...そういう事だ...スリに合ったら返ってこないぞ...次から気をつけろ...」
「あ、あぁ...」
ショウガは納得行かないような顔をしている。
「とりあえず、泊まる宿でも見つかればなぁ...」
「ユウヤの言う通りだ。まずは、宿を見つけなければ...荷物の安全は確保できない...まぁ、宿主に盗まれるなんてことがない限りはな...」
「まぁ、そんなことまで考えていたら、きりがないだろ?安い宿でも探そうぜ!」
「あぁ...そうだな...」
カゲユキ達はミラグロ中を探索し始めた。もちろん1チームにまとまって。
「おい...あれ...」
ショウガが高々と掲げられた看板を指差す。そこには「アイキー1個1億ボン」という看板があった。1000万円程だ。
「1億ボンって...どんだけだよ...」
「残り9700万ボンか...夢のまた夢...だな...」
「うへぇ...試験終わりから鬼畜すぎやしないか?」
ショウガ達はその看板のある店を覚えた後、宿探しを再開した。
「いい宿ないなぁ...」
「あの、デカい建物に泊まるか?」
「しょうがない...そうするか...」
「俺らがここに来たときに近い建物は駄目だ!あそこは法外な値段をしているぞ!絶対に!」
「あ、あぁ...なら、やめておくか...」
カゲユキの提案により、ショウガ達が来たところからは少し遠い宿にすることに決めた。それは、正しいことだった。
「んぁ...」
ショウガが次に見つけたのは、小さく「民宿 文」と書かれた看板を見つけた。
「こことか...どうだ?」
「ここか?」
「あぁ...なんかここは...いい気がする...」
「根拠がないだろ?」
「ここにしよう!ここに!」
ショウガは自分の独断で決めて、民宿の中に入っていった。
「おい...待て!」
「すいませーん!民宿...やってますか?」
「全く...ショウガは...」
カゲユキは、ため息をついて民宿の中に入る。カゲユキも薄々この宿は信用できることに気づいていた。
根拠は2つある。まずは、5の世界に来たところから宿までが遠いことだ。宿が遠ければ遠いほど客足は減るので、物を盗むなどという評判の悪い行動はしにくくなる。2つ目は看板が小さいことだ。大きい看板の宿ほど、盗みが増え、胡散臭さが増す。この「民宿 文」はその胡散臭さが無かった。
「はぁーい...お客様ですかぁ?」
ショウガ達の前にはお婆さんが一人出てくる。
「あぁ!ここに泊まりたいが...大丈夫そうか?」
「はい...大丈夫ですよ...何名様でしょうかぁ?」
「6名だ!後、ヒヨコが一匹だ」
リューガはヒヨコなので、数えなかった。
「6名様ですねぇ...私はここの宿主の文です...」
文さんと名乗ったお婆さんは、腰を曲げて礼をする。
「部屋は用意出来ていますので...こちらへ...」
「あの...1人一泊何ボンだ?」
「三食付きで...一人当たり4万ボンです...」
一人一泊4万ボンなら、6人で24万ボン。2万4000円である。安上がりだ。
「わかった...しばらくはここで泊まらせて頂く...」
「いくらでも、泊まっていってくださいね...」
文さんは静かに笑った。その笑顔から、悪意は感じられなかった。この宿は、信用できる。




