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第733話 別行動

 

 俺達『チーム一鶴』の5人は、ガープと彼が引き連れる14人の兵士と共に24の世界から25の世界まで移動した。


 ───目の前に広がっていたのは、街。


 レンガ造りの家々が乱立し、多くの人が往来している場所に俺達は姿を現したのだった。

「到着したようだな」

 ガープは、そう口にする。俺達の周囲は、規制線のようなものが貼られており、俺達がいつどうやって現れても安全なようにはなっていた。


「町中に転移するのは久しぶりだったな...」

 俺は、そう口にした。町中に直接姿を現すのは、16の世界ぶり───とかではないだろうか。


 1年前───かなりの期間が経っていた。

「リューガ」

「───なんだ?」

 俺は、ガープに名前を呼ばれて少し気を引き締める。


「ここから、少しだけ別行動でよろしいか?」

「別に構わないが...何をするんだ?」

「私達15人は、先にこの世界で話をつけているスタンプ伯爵に少し話をして、人数分の話をつけたいと思っている」

「了解です。それで、俺達は何をしてればいいのでしょうか?」


「今から場所を教える。だから、ムーンライト教の総本山に行って欲しいのだ」

「───ムーンライト教の総本山に?」

「あぁ、ここから真っすぐ進んでいくと山のようになっている丘の方に森林が見えてくるから、そっちに進め。そこには、ムーンライト教の寺院がある」

「了解しました。先に行っていればいいんですか?」

「あぁ。そこで、しばし合流を待て」


 ガープは、俺達にそう伝える。俺達は、先に様子見として行かされるようだった。

「じゃあ、私達はこちらだから...待っていろよ」

「あぁ、わかってる。俺達だって、そこまで好戦的じゃない」


 そう言葉を交わすと俺達『チーム一鶴』と、ガープ率いる兵士達は別の方向へと進んで行った。

「24の世界と比べて、かなり発展してるな」

「そうだね」

「まぁ、人口によって必要な土地は変わるだろうからな」

 やはり、浮遊しているヒヨコは珍しいのか周囲の人間から、ジロジロと見られているような気がした。


 だけど、俺はそのことを一切気にせずにドンドン進んでいく。

「こんな平和な街に、月光徒が関与してるなんてあるのか?信じられないぜ」

「ムーンライト教関連だけじゃないのか?」

「あ、そうなの?ここに総本山があるってことは少なくともこの世界ではそれなりに根付いてるんじゃないか?全員が宗教にズボズボって感じではないかもしれないが」

「これだけ人がいるんだ。全員を好戦的に洗脳ってするのは無理だろう」

「むむむ、難しいです...」

 俺達が、そんな会話をしているとその情報量や考察量の多さからかステラが頭を抱える。


「まあまあ、そんな難しく考える必要もないだろ。俺達は月光徒をぶっ潰すとだけ思っておけばいいんじゃないか?」

 オルバの言うことも正しいだろう。実際、ムーンライト教なども月光徒と関係しかなさそうな名前をしている宗教組織など、潰したところで俺達になんの問題もない。月光徒の金集め組織を潰せるだけ、プラスになるだろう。


「───ってか、そもそも月光徒は大衆に悪の組織として認知されてるんだから、そこまで表立って名前を出すことはできないだろ?だから、ここはあくまでムーンライト教として偽りの笑顔でも振りまいているんじゃないか?」

「すごい言い方...」

「でもまぁ、間違ってはなさそうだな」

「まぁ、いかなる理由があれ月光徒なんだ!叩き潰さない理由はない!」

 そんなことを思っていると、俺はムーンライト教の総本山の入口に辿り着いた。そこの鳥居に書いてあったのは「蜜月神社」であった。


「寺院じゃなくて神社じゃねぇか...」

 わざわざ、鳥居まで立てているしこの制作には日本人でも協力したのか───などと思ったけれど、もしかしたら日本人のフェニーがこだわって「神社があったらそこは寺じゃなくて神社なの!」などと講義したのかもしれない。


 でも、ガープはここを「寺院」と読んでいたし、「神社」という単語はこの世界ではあまり広がっていないのかもしれない。

 そもそも、この世界に広がっている神話というものを聞かないし、ほとんど「神」の感覚が薄いのかもしれない。


 それこそ、「神」という単語を聞く及び使うのは・魔神だったり鬼神(オニ)の時くらいだろう。

 この世界での「神」は、単純に強者を表す意味もありそうだった。


「───と、どうでもいい」

 俺は、この世界のマザーグースや神話に弱いな───などと考えつつ、神社の中へと入っていった。


「まぁ、とりあえずは一般の参拝者のフリをしておけばバレないだろう」

「そうだな。問題を起こせばバレると思うけれど───」


「ややや、そこにいるのは『チーム一鶴』ではないか?」

「ついに姿を現したな!月光徒に敵対する馬鹿ども───いや、阿呆鳥どもめ!」


 別に俺はアホウドリではなくヒヨコであるのだが───そこに関しては、あまり気にしない方針で行こう。


「やれやれ...俺達の存在はバレてるのか」

「よくよく考えれば、色々なところで月光徒を殺してるから当たり前といえば当たり前だがな...」


 潜入する前から、俺達はバレてしまった。かくなる上は───


「───しょうがない。ガープとは合流できてないけれど、早速戦争だ!」

「「応!」」

「「はい!」」

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