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第697話 オルバの作戦

 

「───お前の相手なんか、俺一人で十分だぜッ」

 そう口にしたオルバは、『羅針盤・マシンガン』をロイロットの方へ放つ。


「ンおいおいぃ...無駄だってわかっているだろう?ンだってのに、どうして撃つんだいぃ?」

 ロイロットはそう言うと笑みを浮かべる。


「ンもしかしてぇ...私の隙を突いて攻撃する───だなんてことを企んでいるんじゃないのかい?」

「───」


 ”ドドドドドド”


 ロイロットの言葉に耳を傾けないオルバ。そのまま何も言わずに、ロイロットの方へ銃弾を飛ばし続ける。

 もし、ここでオルバが手を止めてしまっていたらその瞬間『念動力』によって動かされた銃弾が、オルバの方へ飛んできていた。


「ン生憎、君の武器は弾の終わりが無いようだから完全に睨み合いだねぇ...」

 オルバが『羅針盤・マシンガン』を放っている間でも、オルバへの反撃としてこれまでに飛んできていた銃弾をオルバの方へ返すことはできた。


 だけど、それをしなかったのはロイロット自身に攻撃が入ってしまう可能性があったからだ。ロイロットの『念動力』は、自動ではない。だからこそ、自分で認識して止めているのだった。

 もちろん、ある程度の奇襲に対しては対応可能だが、オルバの持つこの量の銃弾にオートで対処できる自信は無かったのだった。


「───ンさて...いつ、終わるかな?」

 戦場の真ん中で、オルバはロイロットに銃弾を浴びせ続ける。もちろん、その攻撃は通らない。


「クッソ...隙さえ作れれば...」

「ンもしかしてぇ...私の隙を狙って攻撃しようとしているのかい?残った他のメンバーは奇襲の為にどこかに行ったのかなぁ?」

 ロイロットは、そう口にする。


「いいよ...じゃあ、こっちも応戦して隙を作ってやるよぉ...」

 ロイロットはそんな宣言をすると、笑みを浮かべる。


「───ンこっちの攻撃だ」

「───ッ!」

 オルバへ向けて放たれる、これまでオルバが『羅針盤・マシンガン』として惜しみなくロイロットへ向けた銃弾の数々。


 ロイロットは、自分へ攻撃を当たる可能性を見て反撃に出たのだ。

 その真意としては、奇襲への対策の為。


 ───奇襲というのは、オルバとの戦闘に集中しているからこそ成り立つ行為だ。


 だからこそ、ロイロットはオルバの戦闘を手っ取り早く終わらせて、奇襲へ迎え撃つという作戦に出たのだった。

 これは、奇襲されるのと同等以上の危険さを持つ作戦だった。


 だが、奇襲されて自分だけが死ぬよりも、自分が死んででもオルバを殺す───という心意気があったからこそ実行した。


「───クッソ!」

 オルバは、ロイロットから跳ね返される銃弾を避ける。オルバの『羅針盤・マシンガン』に銃弾の制限はないけれど、一つの方向にしか放てないという制限がある。


 だから、オルバは銃弾を放っている最中は前後にしか動けないのだった。

 だから、真っ直ぐ飛んでくる銃弾に対してはかなり相性が悪い。


「ンフフフフフ...どうしたぁ?撃ってこないのかぁ?」

 オルバのことをそう言って挑発するロイロット。ロイロットは、銃弾を放ってこないオルバを警戒しつつ、自分に対してやって来る奇襲を注視していた。


「ンさぁ...避けてばっかりじゃ私は倒せないぞぉ?」

 オルバは、動く自分の方へ弾幕のように飛んでくる銃弾を必死こいて避ける。流石に、全弾回避というのは難しいのか、オルバの体には数個の傷ができてしまっていた。


 ───と、その時。


 ロイロットの近くにまでやって来ていたのは一人の男性。その男性はロイロットの後方に立ち───


「ロイロット様!ここは私にお任せください!私の能力があればロイロット様を安全にお守りできます!」

 ロイロットの近くにやって来たのは、一人のサウスタンの兵士であった。


 サウスタンの長であるロイロットを救うために援軍にやってきた───そう考えるのが妥当だろう。

 その顔は、イブのものでもクバルのものでもリミアのものでもないし、変装しているような感じも無かった。


「ンすまない...私は流石に全兵士の名前は覚えていない...君の名前はなんだい?」

「私の名前ですか?すみません、申し遅れましたね。私はサウスタンの兵士の一人───シンドークと申します!」

 その兵士は、シンドークと『チーム一鶴』に属していたが、今は死亡してしまったシンドーク=フェルスと言う名前を名乗る。


 だが、『チーム一鶴』であったシンドークとは全くの別人であり、輪廻転生してシンドークが舞い戻ってきた───という感じでも無さそうだった。


「ンじゃあ...早くやってくれよぉ...私を守ってくれぇ...」

 ロイロットはそう、シンドークと名乗った兵士に伝える。そして───



「『破壊』ッ!」


 ”バキバキッ”


「───んな」

 ロイロットの心臓がシンドークと名乗る兵士によって破壊させられる。すぐ、ロイロットはその場に倒れて死亡した。


「───ふぅ...助かったよ、リューガ」

 そう口にしたのは攻撃を避けていたオルバであった。


「よかった、オルバが死ぬ前に間に合った...」

 助けに入ったシンドークと名乗った兵士───その正体は、我らが『チーム一鶴』のリーダーであるリューガであったのだった。


 ───そう、リューガはサウスタンの兵士に『憑依』し、ロイロットの元へ駆けつけたのである。


 オルバの奇襲作戦は成功する。これにより、サウスタンの長は死亡したのだった。

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