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第694話 骨と筋肉

 

 乗馬しながら、戦場を駆け巡るのは一人のオネエの将軍───三将軍の一人であるローディー将軍であった。

 現在、ローディー将軍は三鬼のリクと接敵しており、リクのその大きすぎる質量を持つ体躯に追いつかれないように戦場を駆けつつ、リクに対して持ち前の能力である『第一指弾(ハンドスパナー)』で攻撃をしていたのだった。


 第一指弾(ハンドスパナー)・・・当たれば即死の弾丸を指から放つことが可能。一発撃つごとに、構え直さなければならない。


 現在、リクは自らの能力である『脳筋の必勝法(パワーゲーム)』で己の筋肉を強化しているのにプラスして、鬼神(オニ)として覚醒しているので、筋肉の増強にかなりのバフがかかっているのだった。


 だから、この状態で一発でも殴られてしまえばもう試合は終了。デッドエンドは間違いなしだった。

「それほどまでに危険な存在...」


 そんな筋肉お化けが、ローディー将軍を捕まえて殺害するために戦場を跋扈している。勇猛果敢にそれを止めようと立ち向かっている兵士もいるけれど、無惨にもその圧倒的質量の前に散ってしまっていた。


「将軍として、早く対処しなきゃ駄目ね...」

 そう口にして、ローディー将軍は『第一指弾(ハンドスパナー)』を初男どうするため、手で銃を模する。そして───


 ”バンッ”


 銃弾などセットされていない銃をもした手から、本物の───それどころか、的中した人物の命を確定で奪うというこちらも恐るべきバフがかかった銃弾を放っていた。


 ───そして、その銃弾は正確無比にリクの首筋を狙っており。


「───ッ!」

 リクが、その銃弾に気付く頃には、もうその銃弾はリクの首筋に迫っていた。もう、腕を上げてガードすることもできないだろう。しかも、筋肉をモリモリに追加したその巨体では、避けることだって不可能なはず。



 ───だったのだが。


「フンッ!」

 そう言って、首筋に力を込める。すると、見たこともないような───それこそ、現実に存在しないような筋肉が浮かび上がってき来て、上下2つに分かれて銃弾を挟み込む。


「まさか...」

「ガッハッハッハッハ!残念だったな、貴様の放つ銃弾を受け止めてやったぜ!」

第一指弾(ハンドスパナー)』で生み出された銃弾は、『脳筋の必勝法(パワーゲーム)』に止められたのだった。筋肉と筋肉で、銃弾を掴んだのだった。


「何者よ...銃弾を筋肉で止められるなんて!」

「俺様は脳筋だぜ。だが、馬鹿じゃねぇ!だからこそ、様々な戦法が使用できる」

 そう口にしたと同時に、リクはローディー将軍の方へひとっ飛びでやって来る。リクは、ローディー将軍との追いかけっこを楽しんでいたのだ。まるで馬鹿のように。


「おかしいわよ...『脳筋の必勝法(パワーゲーム)』にプラスして鬼神(オニ)の覚醒だなんて...」

 目の前の筋肉ダルマに───いや、喋る筋肉に対してローディー将軍はそう口にする。


「なんらおかしくはねぇ。パワーで押し切りパワーで捻じ伏せパワーで理解らせる。これが俺様のやり方だッ!」

 リクはノリノリでそう伝える。そして、ローディー将軍のことを狙って手刀を振るう。限りない程の質量を持つ手刀にぶつかっては、ローディー将軍だって死亡してしまうだろう。


「とやかく撃つしか!」


 ”ドンッ”


 ローディー将軍は、決死の思いで銃弾を放つ。だけど、それはどんな気休めにも時間稼ぎにもならない。銃弾が放たれてから、それが止められるまで約0.3秒。


 そして、ローディー将軍が構え直す時間など無くリクの手刀が衝突し───



「『骨格固定』」



 ───ない。


 ローディー将軍に手刀がぶつかるその刹那、背部からリクに触れるのはライム色の髪を持つ目の下に大きなくまがある青年であった。


「───ッ!体が...動かねぇッ!」

 リクは、口を開けたままそう言葉にする。リクの体は、まるで時間が止まったかのように動いていない。


「アナタは...」

「助けに来たぞ、ローディー将軍。俺は三幹部の一人、アーノルドだ」

 リクが体を動かせない中で、ライム色の髪を持つ青年は、そう自己紹介をした。


「アーノルド...さん!どうしてここに...」

「どうしてここに?ピンチだろうから助けに来たんだ。それ以上もそれ以下も無い。それと、アーノルドで結構だ」

「わかったわ、アーノルドちゃん。この能力は...」

「『骨格固定』。相手の骨をその場に固定する能力だ。だから、歩くことや走るること・泳ぐことはできないけれど瞬きだったり口を大きく動かさずに声を出すことだったり、呼吸などはできる」

「そう...なのね」


 骨格固定・・・触れた相手の骨をその場に固定することが可能。骨以外は動かせる。


「どんなに巨大で強大な筋肉があろうと、骨を固定されてしまえば動くことができない。要するに、お前の負けだよ」

 アーノルドはそう口にする。


「───んでだ。ローディー将軍。俺の能力じゃコイツを殺せない。とどめを刺してくれ」

「───わかったわ」


 ”バンッ”


 口の中に放たれた『第一指弾(ハンドスパナー)』は、リクの喉を穿つ。そして、その筋肉の妖怪を殺害することに成功したのだった。


「───これで、三鬼の一人を討伐完了だな」

 アーノルドはそう口にする。そして、能力が解除されたのかドサリとその筋肉の塊は落下していくのだった。


「───と、そうだ。現在俺と同じ三幹部であるルーカスと、三鬼のマキとの戦闘が行われている。把握できたか?」

「えぇ、もちろんよ」


 ───こうして、ローディー将軍はリクに勝利したのだった。

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