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第677話 将軍の実力

 

「ローディー将軍!」

 俺達と合流するのはローディー将軍達であった。多くの兵士を引き連れて、敵の左翼へとやって来ていた。


「探訪者ちゃん達、大丈夫かしら?」

「あぁ、殺すことはできなかったけれどグラシル元帥を退けることはできた」

「あら、流石は探訪者ちゃん達ね。ごめんなさい、もう少し先に来ていれば参戦できたのだけれど」


 結局、戦闘は土の中で起こったのだから早めに援軍に来ていても結局結末は一緒だった───などとも思ったが、ローディー将軍の優しさ故の発言なので、何も言わなかった。


「───と、そうね。ゆっくりお喋りはできなさそうね。『第一指弾(ハンドスパナー)』!」


 ”バンッ”


 何も持っていない手から銃が放たれる。その銃弾は、敵軍の一人を胴体を穿っては、生というものを奪っていく。


「俺達よりも、右翼に行ってはどうですか?ハービン将軍が一人で戦っているんです!」

「右翼にはコーラス将軍が行っているわ。だから、大丈夫」

「そうですか」


 俺は、コーラス将軍の強さは知らないけれど、ハービン将軍と同じように実力者なのだろう。ローディー将軍が、安心だと言うのであれば問題ないだろう。


「───と、ゆっくりできないわね」

 俺達の周りでも、ウェスタンの兵士とイースタンの兵士の戦いが始まっていた。


「探訪者ちゃん達、協力ありがとうね」


 ”バンッ”


 ”バンッ”


 ”バンッ”


 撃っては構え、撃っては構えを繰り返すローディー将軍。その銃弾に当たったイースタンの兵士はバタバタと倒れていく。


 第一指弾(ハンドスパナー)・・・当たれば即死の弾丸を指から放つことが可能。一発撃つごとに、構え直さなければならない。


「同じ体から弾丸を放てる能力として、対抗意識が湧くぜ!」

 そして、オルバ手のひらを大きく広げて、そこから銃弾を放つ。


 ───と、『羅針盤・マシンガン』 や『第一指弾(ハンドスパナー)』などの人体から弾丸を放つ能力はどういう仕組みなのだろうか。


 きっと「そういう能力だから」という説明しかできないだろう。だから、能力を解明するのは少なくとも今は無理そうだった。まぁ、今後も解明することはできなさそうだけど。


「俺も!『ミサイルシェル』!」

 俺の口の中から吐き出されるのは、ミサイルのように直線的に飛んでいく貝殻であった。


 イースタンの兵士の頭に『ミサイルシェル』がぶつかり、鮮血が弾けるのであった。

「よし、ヒット!」


 俺が放った『ミサイルシェル』も、詳しい原理は不明である。まぁ、能力を原理で当てはめようとするのはよくないだろう。


「───と、そうねぇ。こっちは問題なさそうだし右翼に行ってあげて頂戴。グラシル元帥を退けたのであれば、こっちに三元帥の誰かが来る可能性は少ないわ」

「そうですね。三元帥の最後の一人は右翼に行ってる可能性が大きいですし」

「えぇ、だからハービン将軍・コーラス将軍に加えて『チーム一鶴』までをも追加でぶつける。それならば、あのアスカ元帥を倒せる可能性は大きくなるわ」


「アスカ元帥を...」

「えぇ、アスカ元帥の能力は『転移無能』という、相手を能力を使えない空間に連れ込む能力よ。だから、数の暴力で勝つの」

「───でも、俺達は能力が使えないとほとんど役立たずだぜ?」


「いるでしょう、そっちには最強の魔法使いが」

「最強の魔法使いではないし、俺はほとんど体力はない...」

「大丈夫よ、体力がなくても一瞬で殺せる。アスカ元帥は能力なんか無いに等しいんだから」


 ───ローディー将軍の言葉に従い、俺達は左翼は離れて右翼に移動することに決定した。


 アスカ元帥の能力は『転移無能』という名前らしい。地球にあった物理法則は不自然であるから、それを使えなくさせる───天衣無縫と言えるような状態の場所へ移動させるからそれにかかっているのかもしれない。


「まぁ、名前の由来なんかどうでもいいか...」

 イブの開けた巨大な穴を右手に、敵の右翼へと移動する。

 穴が開いているところは、敵兵がいなくなっていたからか戦闘が行われることはなかった。


 ───この穴の中に、どれだけの人間が落下したのだろうか。


 俺にはわからないし、調べたくもないなと思いながら、その巨大な穴を通り過ぎて、戦闘が行われている敵の右翼へと移動した。そこに映し出されていたのは───


「───なんだよ、これは...」

 右翼の戦場に映し出される、巨大な映像。


 ホログラムのような感じで、空中に映し出されている映像に映ってたのは、ボロボロになったハービン将軍だった。


「おっと、探訪者の皆さん」

「───コーラス将軍!これは...」


「私達が辿り着くより先に、ハービン将軍はアスカ元帥に出会い、彼の能力である『転移無能』 の空間に移動してしまったようなんだ」

「そんな、じゃあ...」


「私達が助太刀に入ることはできない。できることは、ハービン将軍の勝利を願うことだけだ」

 コーラス勝利は、そう口にした。だけど、その口調に「不安」というものは感じられなかった。映像に映るコーラス将軍はボロボロになはずなのに、コーラス将軍は全く心配をしていなかった。


「大丈夫、ハービンは強い。アスカ元帥のことを倒してくれる」

 コーラス将軍はそう口にした。どうやら、三将軍の中にはしっかりとした信頼関係が築かれているようだった。


 転移無能・・・能力が使えなくなる空間に移動させることが可能。

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