第653話 リューガ、その過去 ─背景─
───さて、どこから語ろうか。
『チーム一鶴』のリューガの個体から、分裂するようにして誕生した月光徒のリューガの物語は、やはり分裂したところから始めるのがいいだろう。
より理解してもらうためにも、月光徒のリューガ───と、呼称される人物───否、ヒヨコが誕生してからの物語を語ろうと思う。
月光徒のリューガと呼ばれるヒヨコが生まれた───いや、生まれたは正しい表現ではないだろう。生まれたではなく、分裂した───が正しいだろうか。
再三再四言っているが、月光徒のリューガも、現在も変わらずに『チーム一鶴』にいるリューガ(本作主人公のリューガのこと)と元は同個体だった。
だけど、その『憑依』の性質上、死亡した肉体を半分にして別の生物に食べさせた場合に意識が分裂してしまうのだった。
結果的に、ドッペルゲンガーのように全く同じことを思考できるような存在が生まれていたのだった。
『チーム一鶴』のリューガと月光徒のリューガの考えが別の理由は、月光徒のリューガが、月光徒のボスであるステートに洗脳されているからであった。
それを踏まえて、洗脳されている月光徒のリューガの話をしていこう。
『チーム一鶴』のリューガと分裂し、別の肉体を与えられたリューガ。その後に、リューガはステートに洗脳されて現在の闇堕ちリューガが誕生されたのだった。
その背景を振り返ったところで、月光徒のリューガの過去回想は開始する。
***
リューガ───オレは、月光徒の一員となった。
12の世界で、オレが組織したグループである『チーム一鶴』に裏切られたのだった。今、『チーム一鶴』はオレとは別のリューガがリーダーとして動いているらしい。
そして、オレを敵として扱っている───ということらしかった。
月光徒の言うボスのことは絶対だった。だからこそ、オレは信じられる。
月光徒のボスであるステートは、オレに同情してくれたらしく6人の仲間を付けてくれるようだった。
───そして、オレはリット・ビーツ・テフネト・コウジ・ケンゴ・タカモリの4人を仲間にすることを成功した。
リットは、ショウガの『柔軟』よりも強い、体を液体にできる『液状化』という能力を持っていたし、ビーツもリカよりも強固な『金剛』という能力を保有していた。
そして、コウジはユウヤのもつ多幸症という病気よりも、よっぽど対人に向いている『殺人病』という病気を患い、患わせることができた。
また、テフネトはマユミの両親を殺した人物だったし、ケンゴはトモキを超える戦闘能力を有していた。そして、タカモリはカゲユキよりも狡猾で思慮深い人物であった。
オレは、『チーム一鶴』を超えたメンバーを集めてもらって13の世界で『チーム一鶴』に奇襲をした。
そこでは、タカモリを失ってしまったものの、最終的には『チーム一鶴』に勝利して参謀であるカゲユキを仲間に引きずり込むことにも成功した。
───オレは、その13の世界で『チーム一鶴』を勝負した際に、『チーム一鶴』は全員死亡した───と思っていたのだ。
その為に、オレ達『7人の同志』は15の世界で行っていたらしい様々な探訪者vs月光徒の戦いに参加していなかった。
それに、1年以上の期間を空白にしてしまった。空白と言っても、『チーム一鶴』の方へ責めていかなかっただけで、協力してくれそうな魔神を招集していたのだけれど。
───だけど、オレはチューバから「『チーム一鶴』は今でも生存している」ということを聴いたのだ。
だから、オレは『チーム一鶴』に騙されていたことに気が付いた。そして、すぐに襲撃に行動を移して、招集していた魔神であるアガリアレプトを引き連れて18の世界へ赴いたのであった。
だけど、結局その戦闘でコウジとアガリアレプトを失って、尚且つカゲユキに裏切られる───という結末で終わってしまったのだった。
カゲユキの裏切りというものは、相当心に来た。
1年以上共にしてきた仲間に裏切られたのだ。だけど、オレはそれをカゲユキの「作戦」だと思い込んでいたのだ。
オレ達月光徒のアジトは、様々な世界にあるけれど幹部であるチューバのアジトは19の世界に存在していた。
オレ達が『チーム一鶴』と戦闘した数時間後には、『チーム一鶴』は19の世界にやって来たのだった。
まぁ、その時は、『チーム一鶴』だけではなく『ゴエティア』も襲撃に来ていたのだけれど。
『ゴエティア』の襲撃により、全員撤退の命令が出ていたけれど、「ビーツがカゲユキを待つ」と言い張ったから、オレ達も全員待機することにした。
確かに、カゲユキはやって来た。だけど、カゲユキが『チーム一鶴』に戻ったのは、作戦でもなんでも無かった。
カゲユキは、正式に正確にオレ達を裏切っていたのだった。
そして、オレ達『7人の同志』は『チーム一鶴』の手によって抹殺されてしまった。
何体にも分裂しているオレだけが、結果的に生き延びてしまい『7人の同志』は壊滅してしまったのだった。
───が、神は───否、ステート様はオレを見放していなかった。
そう、オレに更にチャンスを与えてくれたのだ。『付加価値』の設立を、提案してくれたのだった。
───そして、オレはチューバと共に『付加価値』の13人を集めることになったのだった。




