第63話 初心者狩り
───4章開始
「第三の試験...始めぇぇ!」
クワンの声が響く。俺は周りを見渡す。空は青く晴れていた。
「これでも喰らえぇ!」
俺とショウガは声がした方向を見る。そこには、剣を持っていたり、手に『硬化』を使っている男たちがこちらに迫ってくる。
「リカ!ユウヤ!」
「「はい!」」
”キィィン”
リカとユウヤはそれぞれの男の攻撃を受け流す。
「ファイヤー!」
「キャッ!」
リカの頭に火がついた。後ろに魔法使いの男もいたのだ。
「破壊!」
「ヴフッ!」
剣を持った男と、『硬化』が使える男を一気に『破壊』を使って倒す。
「ウォーター!」
マユミはリカについた火を水で消す。
「なっ...」
「生物変化!」
魔法使いの男は植物に変わった。
「危ない危ない...」
「マユミさん!ありがとうございます!」
「その位当然よ!仲間じゃない!」
とりあえず、最初の脅威は去った。
***
「では、キュラスシタを殺したやつを倒すんだぞ」
幹部の1人と4の世界に送り込まれた部下の脳内で会話が行われる。
「わかってますよ!チューバ様!予の辞書に不可能はない!」
「そうか。なら頼んだぞ。フミヤ」
「はーい!了解でーす!」
会話は途切れた。フミヤは精神状態で浮遊している。
「しょうがない、体を手に入れるか...」
フミヤはそこら辺を歩いていた一人の男の肉体を乗っ取った。他人の精神を食べるようなものだ。
「へぇ...この能力...いいじゃんかぁ...」
乗っ取られた肉体も総称でフミヤと呼ぶことにしよう。
***
「さて、こいつらはどうしようか?」
縛りあげられた初手で攻めてきた男を指さしながらショウガは俺らの方を向く。俺はリカの手の上にいた。
「ここの案内でもさせるか?」
「そうするか...」
俺らは縛られた奴らが起きるのを待つ。クワンはどこかに行ってしまった。
「んん...」
縛られた男の一人が起きる。剣士の方だ。
「おい!お前ら!こ...これはどういう状況だ!」
「そのまんまだ!我らに負けて捕らえられた!」
「俺らが負けた...だと?」
「ここでずっと初心者狩りをしてたのか?」
「は?そんなの答えるわけないだろ?」
「まぁ、いい!マユミ!」
「わかったわ!ウォーター!」
”ブッシャァ”
男は頭から水を被る。
「なんだよ急に!何がしたいんだよ!」
「ここの案内だ!」
「え...今...ひよこが喋った?」
男は驚いてこちらを見ている。口をあんぐりと開けていた。
「喋ったら何か問題か?」
「ひ...ひよこが..喋ったァァァ!」
男は叫びだした。
「うるさいな...こいつ...燃やすか?」
「そうするか?」
「待て!待ってくれ!燃やさないでくれ!」
「じゃあ、質問に答えろ!まずは...拷問しにくいから、お前の名前は?」
「俺の名前は..カイドンだ!」
「カイドンか...じゃあ、カイドン!ここの案内はできるか?」
「案内って?」
「そんなの、アイキーの場所に決まってるだろ?」
「は?そんなの無理に決まってるだろ!どこにあるか知らないんだからよ!」
「嘘をついたな...燃やせ...」
「本当だって!だから、みんな血眼になって探してるんだろ!」
「それじゃ、燃やしますね!ファイヤー!」
カイドンの足に火がつく。頭に付けると、縛った縄が燃えるので足につけた。
「あぁぁぁ!熱い熱い熱い!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
「本当に知らないのか?」
「知らないよ!見つけ出す試験なんだから!知ってるわけ無いだろ!知りたいなら、熱っ!ちょ!熱っ!」
「知りたいならなんだ?強火にするぞ?」
マユミはウォーターで火を消す。
「今、火に妨害されたのわかりませんかねぇ?」
「答えろ...怪人...」
「怪人って...カイドンだよ!カ!イ!ド!ン!」
「知りたいなら?」
「知りたいなら、試験管でも拷問しろよ...」
「本当に知らないんだな?」
「あぁ...知らないよ...」
「はぁ...じゃあ、可哀想だし拷問はやめようぜ?」
「あぁ...そうだな...」
「もう初心者狩りなんてすんなよ?」
「あぁ...もうこんな痛い目見たから懲り懲りだよ...」
「なら、良しとしよう!感謝しろよな!」
「するわけねぇ!」
「そんじゃ、行くか!」
「え...縄を外して?」
俺たちはカイドンの縄を外さずに移動する。カイドンは最後まで叫んいたが、まぁいいだろう。
「じゃあ、どうする?」
俺たちは周りを見渡す。周りには木は生えておらず、地面は砂だ。遠くには山が1つある。山の色はオレンジだった。木など全く生えていない。
「砂漠...っていうには変か?」
「砂漠っていうより...砂丘か?」
「ここがどうやって出来たかわからないから、砂漠か砂丘の判断はできない...」
カゲユキが呟く。
「違いとかあるの?」
マユミはカゲユキに質問する。
「当たり前だ...砂漠は土地で、砂丘は地形だ」
「へぇ...そうなんだぁ〜!流石カゲユキ!頭いい!」
「常識だろ...」
「いや、我も知らなかったぞ!」
「俺も...鳥取砂丘がなんで{砂丘}なのか知れて少しラッキーって感じ...」
「トットリ?なにそれ?」
「俺も知らないな...」
「え、カゲユキでも知らないこととかあるの?」
「当たり前だ...森羅万象の知識を持つ人間などいない...」
「ふぅん...で、リューガ!鳥取って何?」
「なんて言えばいいんだろ...俺の住んでた国の...一部?」
「どこに住んでいるんだ?」
「地球...って言ってもわからないよな!簡単に説明する!異世界だ!」
「異世界?」
トモキ達3人の頭の上にハテナが浮かぶ。一方、カゲユキはわかったようだ。
「別世界じゃなく...異世界...か...なら、俺が知らなくて納得だな...」
「あ、今の説明でわかったの?」
「あぁ...さっきみたいにアイキーをはめて移動するのが”別世界”だとするのなら、アイキーなどでは移動できない特別な世界...ってことだろ?」
「まぁ...そうだな!正解だ!」
「やはり...な...なら、どうやってそのチキュウ?から、この世界へ?」
「それは...わからない...」




