第634話 スポンサー
「『羅針盤・マシンガン』ッ!」
オルバが、能力を使用して幹部3人に攻撃する。ボスだと思われる人物は、俺達の戦闘をまるで娯楽かのように、玉座のように装飾された椅子に座っては眺めていた。
「おいらので防御できるんだなぁ!」
そう言って、俺が右腕を奪った『低反発者』シナムは2人を庇うようにオルバの『羅針盤・マシンガン』の前に憚る。
「───ッ!クソ、受け止めれる!」
オルバは、そう口にした。やはり、シナムは『低反発者』の異名に似合った能力を持っているのだろう。
「はっはっは!おいらの『無反発』の前では飛び道具も刀剣も無力なんだなぁ!」
右腕を破壊されながらも、そう言って嬉しそうに言葉を述べているシナム。俺の『破壊』は通用するけれど、銃弾等飛び道具や刀剣は無駄なようだった。
イブは、2階のこの部屋では無力であるし俺がどうにかするしかないだろう。そんなことを思っていると。
「───ありがとうございます、シナムさん。先攻攻撃を無傷で乗り越えられました」
そう、シナムの後方で口を開くのは先程『紫煙』ラフートアと名乗った人物。その人物の体からは、薄灰色の煙が出ており、それが部屋中に充満しようとしていた。
「おいおい、煙かよ...」
オルバは、『羅針盤・マシンガン』の使用を避けるようにした。この状態に、更に煙を重ねるのはまずいと判断したのだろう。
「吸ってはまずいだろうな...いつでも撤退できるようにしておこう」
イブが、そう口にした刹那。
この部屋を囲むように、火がついた。
「けけけけけ、残念だったな。俺様の火魔法の前ではお前らなんか所詮赤子よ」
そう言って、大きな口で笑みを浮かべているのは『放火の魔』グライドであった。その対極として水魔法を使うであろう『水の守人』の異名を持つ人物が孤児院襲撃に来ていたが、もう死亡している。
「水で火は消せるけど、火で水は消せないよなぁ...」
そう口にして俺達は戦う意思を見せた。
「しょうがねぇ、『破壊』でなんとかする」
「すまない、任せた」
口元を抑えながら、イブが俺の言葉に承諾した。
「次に奪うのは腕じゃなくて、命だ」
「───ッ!」
「『破壊』」
”バキバキッ”
確かに、『破壊』の感触があった。これは、煙によって見せられた幻覚でも炎によって作られた陽炎でもないだろう。
「何ッ!シナムがやられただと?」
「よっしゃ、後は俺も好きなように暴れるぜ!『羅針盤・マシンガン』!」
「───まずいッ!」
きっと、ラフートアは防御をしようとしたのだろうが、こちらは銃弾のスピードだった。ラフートアに、行動なんかさせなかった。そのまま、マシンガンの弾はラフートアの体を穿っては、命を奪う。
「クッソ...一気に窮地に陥っちまったぜ」
そう言いつつも笑みを隠せていない『放火の魔』グライド。残っているのは、彼とボスのような人物だった。
「グライド...ほら、頑張ってくれよ?お前も死んじまうぜ?」
「リーダー...わかりました。その代わり、大変危険なのでボスはお逃げください」
そう言って、ボスに退室を求めるグライド。ボスは、その言葉に頷くとその部屋の外に出ていった。
「───イブ」
「了解した」
イブは、俺の言葉の真意に気付いたのか外に出ていった。俺とオルバは、グライドの相手をすればいいだろう。
「それで...お前に奥の手があるんだろ?なら、とっとと見せたほうが命のためじゃねぇか?」
「残念だがよ、その奥の手は本当に奥の手だ。文字通りの必殺なんだぜ。俺も、お前らも」
「───そうか」
グライドの言葉に、嘘は無さそうだった。考えられることとしては、自爆特攻くらいだろう。
それを思想な意気地が、グライドにはありそうだった。
「オルバ。グライドを失神させよう」
「それだと、俺は不向きだぜ?生憎、俺の能力は『羅針盤・マシンガン』だからな」
「そうか...」
ならば、ここは俺の力でどうにかするしかないだろう。大変だけど、仕方がない。
相手がどのような方法で攻撃してくるかわからないので、対策をする必要があるかもしれない。
───ならば、これだ。
「『生物変化』だ、お前は魚になれ」
「んな───」
俺の『生物変化』で、グライドは魚に変わる。服が重力に従って床に落下した。その服の中に残っているのは、大量の細長いダイナマイトと、魚になったグライドだった。その魚の口からも細長いダイナマイトが飛び出ていた。
「おいおい...コイツ、原初的すぎるだろ...」
文字通り、体中にダイナマイトを仕込む。こんな原初的な自爆をする人物、ONE PI◯CEのペドロ以外で始めてみた。
「おいおい、本当に危険だったじゃねぇか...『破壊』」
”バキバキッ”
そのまま、魚になったグライドを『破壊』で殺害する。俺は、どうにか自爆攻撃を免れたのだった。そして、俺とオルバが廊下に出ると───。
「そっちも終わったか?」
1階に続く穴の開いた床を前に立ち竦んでいたイブの姿だった。1階の方を見てみると、針地獄のような感じで凶器と化していた地面が『+C』のリーダーの体中を穿っていた。もう、息はしていないだろう。
───こうして、『+C』に俺達は完全勝利したのだ。
そう思った刹那、俺達の後方に一つの影が見える。
「おいおい、死んじまったじゃねぇかよ...役にたたかなかったなぁ...『+C』ってのは!」
そこにいたのは、『+C』のスポンサー的存在であったと予想できる人物。その人物の服には『ゴエティア』序列36位を表す紋様が付けられていた。




