第526話 捕虜解放
「全く、このシンドークをどれだけ待たせるというのだ!こののろまチキンが!」
牢の中に入れられて尚、俺に罵声を浴びせるのはシンドークであった。どうやら、この9ヶ月で性格が変わった───などはよかったようだった。
「3人共、今檻を壊すからな。『破壊』ッ!」
”バキバキッ”
俺は『破壊』を使用して牢屋の錠前を破壊して扉を開ける。
「これで、出れるぞ!」
「リューガ、すまない。俺達を縛ってる鎖も解いてくれ」
「あ、あぁ!すまなかった」
「我も手伝うぞ!」
俺は、バトラズに言われて鎖も付けられていとことにも気付いた。俺は、ヒヨコの姿じゃ鎖を外せないのでブーロン2世の姿になって鎖を外した。もちろん、ショウガとクロエも手伝ってくれた。
「リューガが、ブーロン2世の姿になれるってことは、勝利したってことだろう?」
「あぁ、もちろん。勝って皆を救いに来たんだ」
「ありがとう、リューガ。他の皆の姿は見えないけど、まだどこかで戦っているの?」
「別々の戦場で戦っているよ。もしかしたら、もう勝利してるかも」
「そうか、よかった」
───まだ、俺は3人に伝えていないことがあった。
そう、バトラズ・ウディの死だ。それを伝える責務は俺にあるだろう。だから、この場で伝えることにする。
「脈略もないが、今伝えておく。タンドンとウディは死んだ」
「───んなっ...」
「本当に?2人共強かったのに...」
「ほう、くたばったか」
三者三様の反応を見せてくれる。シンドークは、タンドンやウディの死に悲しまないようだった。
「───と、よし。とりあえず鎖は外せたよ。死んだ話は皆との合流するまでの道で話すよ」
「そうしてくれると助かる」
そして、ユウヤ・シンドーク・バトラズの3人は牢屋の外に出た。
「うーん、久しぶりの自由だ」
「タンドンとウディが死んだ後に出ても、どこかスッキリはしないけれどな...」
「それは...すまない...」
俺は、謝ることしかできなかった。でも、話すタイミングはあの時が最適だっただろう。きっと、後に後に回していたら完全に話すタイミングを失っていたはずだ。
そして、皆と合流するまでの道のりまでで俺達はタンドンとウディの死について話し合った。
「俺達を救うために...」
「あぁ、なんだか罪悪感が溜まってくる...」
「ふん、このシンドークを救おうとするだなんて千年早いわ。だが、死んだというのなら弔ってやらねばならないな...」
「───再会を喜ぶのは宜しいですが、少し口を挟んでも?」
これまでは沈黙を貫いていてくれたクロエが口を挟む。
「あぁ、俺達も気になってたんだけどこちらの方は?」
ユウヤ達にクロエのことを説明していなかった。
「この人はクロエ・クレンザー。俺達と一緒に戦ってくれた人だ」
「あ、ありがとうございます」
「感謝は不要です。それで、話を戻しますと口を挟んでよろしいでしょうか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「ポーラン・ハイランドが死亡した今、その親族がどこから刺し違えにやってくるかわかりません。お気をつけください。まぁ、僕達は殺していないのですが...」
「そうか、ポーラン・ハイランドの親族か...」
ブーロン家との因縁は断ったが、次はハイランド家との因縁ができてしまったのだろうか。でも、ポーラン・ハイランドは勝手にシワシワになって死んでいただけだしなぁ...
勝手に因縁付けられても困ってしまう。と、そんなことを思っているとアレクがバッサリと斬った3階へ下る階段に到着した。
俺達6人は、そこから飛び降りて見事着地した。まぁ、俺は浮遊しているので飛び降りたりしていないのだが。
3階の大広間にいたのは、『陽光の刹那』の3人───ペトン・アイラ・オルバと『チーム一鶴』のマユミとモンガ。そして、協力してくれたカルガンであった。まだ、アハトとセイジの姿は見えていないようだ。
「ユウヤ、ついに帰ってこれたのね!」
「マユミ、ごめん!」
そして、2人は抱擁を交わす。セイジが9の世界で死亡し、カゲユキが月光徒に連れて行かれてしまったので、3の世界で出会ってユウヤチームの4人は、もうユウヤとマユミの2人しかいないのだ。
そんな2人の再会。9ヶ月会っていなかった幼馴染との再会であった。2人は、ただ抱擁をして再会を感じていた。
「よかった、何も悪いことはされてないのね?」
「うん、拷問とかはされることはなかったよ。それで、16の世界のことを喋れることを話してしまったけれど...」
「姫様!」
「バトラズ、久しぶりだな」
「姫様はご無事でした...か?」
「どうして、そんな気まずそうなんだ?まぁ、いい。私達も抱擁でもしておくか?」
「いや、いいだろう。そんな歳じゃあるまい」
「失礼だな...だが、まぁいい」
「あ、皆。いたいたー!」
───その時、2階から上がってきたのはアハトとセイジであった。
「んな...ママが...ママが知らない男とぎゅーを...しているでちゅか...」
「ん、ママ?」
この状況、ハグをしているのはマユミとユウヤしかいないので、ユウヤがその「ママ」という単語に反応を見せてしまう。
「ママって、まだマユミは16歳で...」
「ユウヤ、気にしちゃ駄目よ。勝手に呼んでいるだけだから」
「ママが...ママが...」
セイジが勝手に絶望しているが、くっつくとしたらマユミとセイジよりもマユミとユウヤを応援するだろう。
───まぁ、そんなこんながあって俺達は16の世界に帰還することにした。




