第525話 変死
勝負を終えた俺とショウガは、現在の国王であるポーラン・ハイランドを探すために屋敷内を探索していた。
地下にいたら、どうするもこともこうすることも無いのだけれど、俺はその可能性は消して屋敷の3階より上を探索していた。
───というのも、3階より下は中心の大階段が斬られて下ることができないのだ。
もしかしたら、アレクが階段を斬ったのはブーロン2世を守るのと同時に、ポーラン・ハイランドを守るためなのではないか───と考え、俺達はくまなく探した。
───そして、俺とショウガはポーラン・ハイランドを4階で発見したのだ。
最上階は5階であったから、その1階下であった。俺は、いつものヒヨコの姿に戻っていたので、ブーロン2世のふりをして近付こうかと画策していたが、どうやらその考えは不要だったらしい。
───何故なら、俺達がポーラン・ハイランドを見つけた時には体中の水分が奪われたかのようにシワシワになって死んでいたのだから。
「なんだよ、これ...」
「わからん。でも、誰かがやってきてこんな感じにして殺した...のか?」
老人でも、ここまでシワシワにはならないだろう───というほどに、シワシワになって倒れていたポーラン・ハイランド。それが、ポーラン・ハイランドと感じ取ったのはそこが王室であったからだった。
玉座に座らせられるように、権威の象徴であろう王冠を被ってくたばっているポーラン・ハイランドの姿は、一種の皮肉のようなものも感じられた。
「リューガ、どうするんだ?」
「どうするも何も、殺されてるんじゃ対談の余地もなにもないだろ。俺は、死んでしまった人には『憑依』できないよ。イタコじゃないからね」
別にイタコも死んだ人に憑依するわけではないのだが、「死者の声を聴く」という目的で一番適した職業を言った。別に霊媒師でもよかったんだけどね。
「それじゃ、ポーラン・ハイランドのことは放置ってことか?」
「うん、そうなるだろうな───」
「おら、どけどけどけぇ!俺様のお通りだぁ!」
そういいながら、王室の横の壁を突き破って入ってきたのは、眼鏡を被った青髪の、巨大の武器を持ってている青年───クロエ・クレンザーであった。
「クロエ...」
俺が知っていたのは、好青年のクロエだ。どこでキャラ変を行ったのだろうか。もしや、キャラの情報が書いてあるwordが消失して何がなんだかわからなくなったとか?
俺が、そんな「お前の人生はweb小説かよ」とツッコまれそうな事を思っているとクロエが眼鏡を外した。
「おほん、リューガさんにショウガさん。失礼いたしました」
クロエは、少し恥ずかしそうに咳をして先程までの行動をなかったことにしようとした。
「クロエ...俺は...」
「リューガさん、わかっているならそれ以上言わないでください。僕も血を見るとテンションがバグるのは直したいんです」
「そうなのか...それは...申し訳ない...」
どうやら、クロエは自分の体質をコンプレックスにしているようだった。それならば、詳しく追及したりはしない。
「誰にも言わないでくださいよ?これは一応、モンガさんしか知らないんですから」
「そうなのか...」
一緒に戦ったモンガには本性を表してもいいと思ったのだろうか。いや、別に本性を表してもらってもいいのだけれど。
「───それで、リューガさん達はここで何を...って、これは...」
クロエは、そこにシワシワになって倒れている人物に気付いてじっくりと観察している。
「これは...王冠が転がっていて、この部屋の絢爛さも考えるに17の世界の第28代国王ポーラン・ハイランドということでしょうか?」
「我たちもそう踏んでいた。流石だな、クロエ!」
「えぇ、まぁ...この程度の推測であれば...まだ、影武者である可能性も十分にありますしね」
「それはそうか...でも、誰がこんなことを?」
「それは...わかりません。僕は下から来ましたが、僕以外ここに行った人は見ていませんし...」
「そうか、上からの侵入者も俺達だけだろうしな...」
それに、人をシワシワにして殺す能力なんか、俺を含めて誰も持っていない。敵も味方も含めてだ。
「なら、第三者の介入───ってことか?」
「もしかしたら、そうかもしれませんね。他にも、助からないと踏んだポーラン・ハイランドが毒を飲んで死亡しただとか───ですが、こんな姿になる毒は僕も知りません」
「そうか、そうだよな...」
「おい、それよりリューガ。我たちの目的はポーラン・ハイランドよりも捕虜だろ?探しに行かないのか?」
そう、俺達がポーラン・ハイランドを探していたのは捕虜の場所を聴くため───という目的があった。
だが、その聴く人がシワクチャになって死んでしまったのだから、また手がかり無くして探すしかないだろう。などと思っていると───
「おい、リューガ!この部屋の奥に隠し通路みたいなのがあるぞ!」
「本当か?」
俺達は、王室に飾られている巨大な玉座の後ろに隠し通路を見つけた。石でできた下り階段であった。
俺達は、それを下っていった。もし、この下にいるとするのであればかなり都合がいいご都合主義のようになってしまうが───
「リューガ、ショウガ!」
「助けに来てくれたんだな!」
「遅いぞ、このシンドークをどれだけ待たせたというのだ!」
いた。ご都合主義であったようだ。
「よかった、皆...生きてたんだな...遅れてごめんな、助けに来たぞ」
───こうして、俺とユウヤ・シンドーク・バトラズの3人は実に9ヶ月ぶりに再会したのであった。




