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第523話 ブーロン家との因縁

 

「───『破壊』」

 俺が使用する『破壊』。だが、それを拒むようにして俺とブーロン2世の間に落下する『雷霆万鈞』でできた雷。ブーロン2世は、俺を狙ったのではなく俺との距離を狙ったのであった。

 俺は、避ける動作は必要なかった。だが、もちろん『破壊』の焦点はズレてしまったので当たることはできなかった。


 こういう時に限って、『破壊』をできないのは今後の反省材料に十分なり得るだろう。一挙手一投足が大切な猛者との戦場───月光徒の幹部であるチューバなどとの戦闘では、こんなミスは許されないだろう。


「に、逃げないと!」

 そう言って、慣れない手付き───いや、足取りで転びそうになりながら走っていくブーロン2世。俺は、それを追おうとブーロン2世の右斜め後方からブーロン2世へ接近していった。


「我も参加しようじゃないか!」

 剣を拾い終わったショウガも、戦闘に再度介入してくる。そして、ショウガはブーロン2世を左斜め後方から追いはじまえる。そして、ブーロン2世は両斜めから追われるような構図が完成したのであった。


「奥義・飛閃軟突」

 ショウガが飛閃軟突流の奥義を使用して、ブーロン2世に急接近する。突き技を、走っているブーロン2世に当てることはできなかったが、もう一振りすればブーロン2世に当てることができる距離にまでやってこれていた。


「飛閃軟突流 背反〜対〜」

 連続で使用するショウガの飛閃軟突流の剣技。

「───んなっ!剣は1本じゃ───」

 ショウガの放ったその剣は、ブーロン2世の脇腹に突き刺さる。


「残念だな、我は最初から剣は2本持っていたんだよ」

「そ...んな...」


 そして、ブーロン2世は、その場にへなへなと倒れ込んだ。もしかしたら、降参をするのだろうか。だが、ここで因縁を付けなければまた後々面倒になるのはわかりきったことだ。

「『破か───」

「ごめんなさい...ごめんなさい...」


 ───と、ブーロン2世がその双眸から垂れ流すのは涙であった。


 赦しを乞うようにして、許しを乞うようにして声を出すブーロン2世。齢12歳で、俺達に宣戦布告をしてきたブーロン2世。


 ───王族の子供だとしても、まだ「子供」なのだ。


 俺達大人とは違い、まだまだ幼いのだ。父親がいなくなって怖かったのだろう。父親が殺されて辛かったのだろう。


 ───ブーロン2世とも、仲を改善させてなんとかすることはできないだろうか。


 俺は、そんなことを考えてしまう。すると───

「『雷霆万鈞』」


 ”ゴロゴロゴロゴロ”


 俺が、ブーロン2世の涙に同情して殺すのを躊躇っている間に、俺の頭上から落下してくるのは『雷霆万鈞』により発生した、当たったものを鉄に変える雷だった。


 俺は、その雷に体を冒されて、そして俺の体は鉄になり、その場で墜落した。


 ───俺は、鉄になり死亡してしまったのだ。


 ***


「───ッ!リューガ!」

 ショウガは、『雷霆万鈞』により、鉄に変えられてしまったリューガを、地面に落ちる前にキャッチする。


「クソ...この状態...死んでるのかどうかわからない!」

 少なくとも、鉄に変えられてしまったリューガに意識はないし、行動することも不可能だろう。


「殺したら『雷霆万鈞』が解除されるのか?いや───」

 ショウガは、リューガをブーロン2世に食べさせる───『憑依』を使用させるように作戦を練った。


「これならば、我でもできそうだ...」

「はは...ハハハ...お父様を殺した悪鬼羅刹をこの手で殺したぞ...お父様、見てくださっているでしょうか?僕は、僕は...」


「死んだ人は甦らない。それは、この世の定理だよ」

 ショウガは、ブーロン2世に近付く。


「だけどな、リューガは...リューガだけは別なんだ。いや、実際には『憑依』を持っている人物と条件付きで甦ることができる人物を除いてなんだろうけどな?」

「お前も...」


 ”ゴロゴロゴロゴロ”


 ブーロン2世は、近付いてくるショウガに向けて『雷霆万鈞』を使用する。だが、ショウガは軽快なステップでそれを避けた。

「だけど、だけどだ。甦ることができる人が死んで、毎回不安になる人だっているんだ」


 ───そして、脇腹を刺され肩を怪我したブーロン2世の口の中に鉄の塊になってしまったリューガが押し込まれる。


「───あ、あが...」

「ブーロン2世、お前の死因はこの世界の主人公を───我とリューガのことを相手取ったことだ。悔やむなら、地獄で悔め。ホトトギス」


 ───ブーロン2世との戦いは、これにて決着する。


 ***


 俺は、いつものように青とも黒とも取れるような世界でフヨフヨウヨウヨと浮いていた。

 だが、地面に立っているような感じもする変な感覚だった。


「今回は、いつくらいに復活かなぁ...ショウガ、大丈夫かなぁ...」


 ───と、数分もかからずに復活の時間はやってくる。


 《Dead or chicken?》


「chicken」


 そのまま、俺は復活する。そして、俺の魂が入った肉体は───。


 ***



「俺、復活ー!」

 そして、復活の宣言をする俺。俺は、ブーロン2世の体に『憑依』したようだった。


「お、リューガ。『憑依』できたか?」

「あぁ、もちろんだ」


 ───こうして、ここまで長々と続いたブーロン家との因縁はここで断たれることとなった。



 そして、ブーロン2世の───いや、ブーロン家そのもののこれまでの軌跡が俺の頭に流れ込んでくる。

久々の『憑依』で演出を忘れていました(笑)

そして、7月ほどから始まったブーロン家との因縁に幕。

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