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第517話 闇魔法

 

「あがっ...」

「───カルガン!」


 Mrs.ブーロンの鉄の拳が、カルガンの顔面にめり込んでいったので、マユミは思わずカルガンの名前を呼んでしまった。

 これまで、マユミの目の前ではトモキ・ノノーム・シンドークと仲間が3人も死んでいた。


 それ故に、今日出会ったばかりのカルガンも死んでしまうのではないか───などと思ってしまったのだ。

「ウインド!」

 マユミは、すぐに状況を把握しMrs.ブーロンに風魔法を当ててカルガンが連撃を食らう可能性を除外した。


「『虚重力』!」

 カルガンはそう言うと、ハンマーをしっかり持ち落下するように天井にぶつかった。そして、2本の足でひっくり返ったようにして天井に立っていた。


「───逃げるのですか、わかりました」

「───ッ!」

「サンダー!」


 ”ゴロゴロゴロ”


 Mrs.ブーロンに落下する巨大な雷撃。今度は、マユミも手加減はしなかった。本気の雷魔法だった。だが───


「この程度の雷魔法じゃ、ワタクシの可愛い可愛い息子にも劣りますわよ?」

「そんなことを言われても───ッ!」


 直後、マユミの方へやってくるMrs.ブーロン。展性を持つ金属の体は、自然に元の形に戻ろうとしていた。

 本来の金属に、元の形に戻ろうとする力───形状記憶は無いはずなのだが、Mrs.ブーロンは特別なようだった。


 まぁ、そうじゃないと叩いて叩いて、金属光沢でテッカテカになるまで叩き続けることには、そこらへんの鉄くずと同じような大きさになっていそうだし当たり前と言っちゃ当たり前だろうか。


「マユミには手を出すなッ!」

 天井を走り、その後能力を解除したのか本来の重力───鉛直下向きに落下する力に沿って、弧を描くように落下していくカルガン。ハンマーを持つ両手は、振り上げられており今にもMrs.ブーロンに攻撃できるような状態だった。


「くらえやっ!」

「残念ですわね、そんなの百も承知ですわ」

「───グラヴィティ!」

 マユミは、何かを察したのかで重力魔法───闇魔法を使用した。その使用対象はMrs.ブーロン───








 ───ではなく、カルガンだった。


「おらよぉ!」

 重力魔法により、スピードがあがり結果的に重く感じるようになったカルガンはより早いスピードでMrs.ブーロンに接近した。

 自分の後頭部を犠牲に、マユミのことを殴ろうとしてくるMrs.ブーロンの攻撃を妨げるようにして、力強い一発が、カルガンが発せられる。


「───ッ!」

 その強力な一発を受けたMrs.ブーロンは、その衝撃から一瞬行動を停止した。


 その隙を見たマユミは、カルガンにかけた闇魔法を解除し続けざまに風魔法を使用した。

「ウインド!」

「───」


 そして、風魔法で少し後ろに下げられたカルガンのハンマー。そして、ハンマーはふりこのように、Mrs.ブーロンの背を再度ぶった。


「───なんです、この重さッ!」

「俺専用の武器だ!」


 カルガンの持つハンマーは、普通のハンマーではない。中に、水が入っておりハンマーを振ると一瞬遅れて水野衝撃もやってくる代物だ。

 実質2連続攻撃となっているカルガンの攻撃。それを2連続だ。


 いくら鉄でも、Mrs.ブーロンの背中は限界に近いだろう。


「さて、後何発で粉々になるかな。サンドバックにちょうどいいぜ!」

 カルガンの挑発的な言葉に、その場で振り向くMrs.ブーロン。魔法を使うマユミは後回しで、物理的に攻撃し、命を蝕もうとしてくるカルガンの方を先に倒したほうがいいと踏んだようだった。


「そっちがその気になら、ハンマーから駄目にして差し上げます」

「そうかよッ!」


 ───もし、ここでユウヤがいれば『酸化』でMrs.ブーロンを酸化鉄にして脆くできたのだろうか、などとマユミは考える。

 そして、マユミは思いついた。そんな一瞬で錆びる可能性こそ考えつかなかったものの、それでもカルガンの手伝いにはなると考えたのだ。


「ウォーター!」

 Mrs.ブーロンの頭上に現れる巨大な水滴。それが、Mrs.ブーロンに落下してかかった。それを見て、カルガンは1歩後ろに下がる。


「───ッ!」

「早く錆びてちょうだいよ」

「残念ですが、そんなに早く錆びることはございませんわ。あなたの相手は後でしてあげますから、少しおとなしくしておいて欲しいものです」


「残念ね、もう傍観して仲間を失うのは懲り懲りなのよ。私も最初から全力で戦うって決めたの。サンダー!」

 マユミから放たれる、全身全霊の雷魔法。それは、マユミの保有体力の半分を使用した雷魔法であった。


 回復魔法を捨て、一発の雷魔法につぎ込んだマユミ。その結果は───


「だから、言っているじゃないですか...雷魔法は効かないって」

 全身を鉄に変えて、マユミの攻撃魔法を耐えたMrs.ブーロン。


「残念ね...とどめを刺すのは私じゃないわ」

「あぁ、俺だぜ」


 後ろに下がっていたカルガンが再度動き出す。そして、ハンマーでMrs.ブーロンのことを殴打する。

「───ッ!」

「さて、後何回かな!」


 ───そして、放たれるハンマーでの十六連撃。


 そう、体全体を鉄に変えさせることで、相手の行動を実質的に不能にしたのだ。マユミが予想していた方法ではないが、結果的にMrs.ブーロンに勝利することができた。


 ───そう、Mrs.ブーロンの展性を乗り越えて体を二分割したのだった。



「───これで、勝利だぜ。お疲れだ、マユミ」

「えぇ、そっちこそ」


 ───こうして、マユミとカルガンはMrs.ブーロンに勝利した。

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