第32話 ヘイブ
リカは鉄屋に到着して、鉄を20kg購入する。丁度1万6000ボンだった。手元に4000ボン残ったので道着の懐にしまう。後は、この鉄を持って帰ればおつかいは終了だ。と言っても、鉄20kgは流石に重い。鉄屋は段ボールに入れてくれたが、それを持つのだって一苦労だ。
「はぁ...重いですね...」
「うおぉぉぉぉぉい!誰かいないかぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」
どこかで悲鳴が聞こえる。リカは鉄を持って声のした方向へむかう。野次馬になるが、あんな叫び声をあげてもらっては、何が起こったか気になってしまう。
***
「おいおい!ショウガ!なんで逃げ出してんだよ!」
「そんなのもちろん、お前から逃げる為に決まってるだろ?」
「そうか...そうか...面白いじゃねぇか!でも、逃げれるとは思うなよ?」
ヘイブは手に持っていた玩具の袋をしっかりと手に持つ。その間にショウガは走って逃げた。そして、叫ぶ。
「うおぉぉぉぉぉい!誰かいないかぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」
「おい!叫ぶんじゃねぇ!」
ショウガは裏通りを走り抜ける。途中で左右に曲がった。左に曲がって、右に曲がって、また右に曲がる。
「次は...左にでも曲がるか...」
ショウガは左に曲がる。そして、しばらく進む。ヘイブも左に曲がってこっちの方へ走ってくる。
「このまま行けば...まけるな!まけば...道場に帰って守ってもらおう!」
家が連なっている。分かれ道がこない。そう、行き止まりだ。ショウガは行き止まりに向かって走っていたのだ。
「ふふ...ははは!残念だったな!行き止まりだよ!」
ヘイブは笑いながら、走ってくる。ショウガは遂に端へと来てしまった。木材の壁だ。
「まずい...行き止まり...」
「ははは...もう逃れることはできん!ショウガ...お前はチェスや将棋で言う詰みにはまったのだ!」
ヘイブはそう言うと、玩具を手に持つ。玩具のスイッチを入れると、玩具は激しく振動する。
”ブブブブブブ”
「ま...まずい...このままじゃ...」
「ふふ...目隠しをつけてやってあげたいが...見えてしまっていることが逆に恐怖だな!」
ヘイブは何故かD○Oみたいなことを言っている。時間を止めた後ナイフを止めた訳でもなにのに。
え、なんでショウガが某漫画のことを知っているかって?何故だろうか。
「そこで何をしているの?」
ヘイブの後ろから声がする。そこには、段ボールを持ったリカの姿があった。
「リカ!助けてくれ!こいつに襲われそうなんだ!(性的に!)」
「そうなんですか?私の仲間を傷つけるような人は許しませんよ!」
リカは段ボールの中から鉄の塊を1個取り出す。1個でも5kgはする。それを手に持った。
「よく見たら、昨日のナンパしたお兄さんじゃないですか!」
「昨日の...ショウガちゃんじゃないほうか!邪魔が入ったか...」
ヘイブはポケットからナイフを数本取り出す。ヘイブは走っている間に千里眼で見つけていたのであった。
「ショウガさん...勝ってみせますよ!」
「頼む!リカ!」
リカは鉄の塊を右手に持つ。ヘイブがリカの方へナイフを持って走ってくる。
「く...くらえ!」
リカは鉄の塊をヘイブの方へ投げる。だが、当たらなかった。後ろの壁にぶち当たる。壁は凹んでいた。
「うへぇ...破壊力すげぇ...」
ショウガは少し引いていた。
「残念だったな!お前は死ねぇぇ!」
ヘイブはリカにナイフを刺そうとする。まずい。このままじゃ刺されてしまう。このままでは、死ぬ。
リカの腹にナイフが当たる。だが...
”ポキッ”
ナイフは折れた。ナイフの折れた先はヘイブの爪先に刺さる。
「痛ァァァ!なんでだ!なんでだよぉぉぉ!」
リカは『硬化』の能力に覚醒した。本能的な危機を乗り越えて、『硬化』の能力を手に入れたのだ。
リカは右手に力を入れる。右手は一気に硬くなった。
「ショウガさん!逃げましょう!」
リカはヘイブを右手で平手打ちにする。ヘイブはその場に倒れた。失神はしていない。その間に、リカは鉄を段ボールに戻す。
そして、ショウガの方へ近づいた。
「ショウガさん!逃げましょう!」
「あぁ!」
「おい...よくもやってくれたな?」
ヘイブはゆっくりと立ち上がった。
「リカ...まずそうだぞ?」
ヘイブは道を塞いでいる。このままじゃ、どちらかが捕まってしまう。後ろは壁がある。逃げれない。
「大丈夫です!逃げれます!」
リカは右手で木材の壁を殴る。すると、木材の壁に穴が開いた。
「なっ...」
「ショウガさん!逃げましょう!」
「お、おう!」
ショウガは引いていた。だが、同時に安堵もした。
「おい!待て!」
ヘイブは追いかけてくる。
「ショウガを幸せにできるのは...このヘイブだけだぁぁぁぁぁぁ!」
ヘイブはそう言うとナイフを数本投げてくる。ナイフはショウガに向かって一直線に飛んでいく。
「我のことを舐めないでいただきたい!」
ショウガは『柔軟』を使ってナイフを避ける。ナイフは地面に転げ落ちた。ヘイブのナイフの手持ちはなくなった。
「な...んだと?」
その後、ショウガとリカは地球で言う──警察署、まで逃げていった。そして、一時保護して貰い、ヘイブが誘拐罪と、器物損壊罪・殺人罪未遂で逮捕されることとなった。
そして、リカとショウガはそれぞれ能力が覚醒した。すなわち、手に入れたのだ。
───めでたし、めでたし?
時も止めれないようなやつに、「チェックメイトにはまったのだ」などと言う資格はない!




